コラム

【国の認定を目指せ】技能実習計画

2023.01.11[VISA]




【変わらない技能実習への期待度】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日本で培ったスキルや知識を
開発途上国出身の外国人に移転して、
その国の経済発展に寄与することを目的に
1993年からスタートした、技能実習制度
この制度を活用して
在留する外国人は増加を続け、
現在、技能実習生は永住者に次いで
日本で2番目に多い在留外国人

となりました。

技能実習から実質ステップアップとなる
特定技能制度の創設や
コロナ禍後の水際対策の緩和によって、
技能実習生は今後も一定割合で増加していく
ものと考えられます。
特定技能については、
 以前のコラムでも詳しくご紹介しています。
 ⇒
特定技能評価試験の国内受験資格
 ⇒
特定技能VISAの在留期間更新申請
 ⇒
フィリピンの特定技能手続き
 ⇒
建設分野の特定技能手続き

<厚生労働省:外国人労働者数推移>




企業や団体が技能実習生を擁して
技能実習をおこなうにあたっては、
ただ単純に実施するのではなく
技能実習計画を策定して
国の認定を得なければなりません。

技能実習を初めておこなう際には、
計画の策定方法や準備すべきものについて
迷う実習機関、監理団体の皆さまも
多いのではないでしょうか。
今回は、
技能実習計画の内容や
申請、認定までのながれを
ご紹介したいと思います。




【技能実習計画とは】

技能実習計画とは
国が定める技能実習運用要領にもとづいて、
技能実習の適正な実施を目的として
技能実習実施機関(=企業や団体)が作成する
計画です。
※技能実習実施機関は
 実習
または受入機関とも呼ばれます。

技能実習の実施にあたっては
実施機関が
海外支店や関連企業・取引先などから
直接的に職員を受け入れる
企業単独型

実施機関をサポートする役割を持つ監理団体が
技能実習生を受け入れる
団体監理型
の2種類があり、
前者であれば、
実施機関が自力で計画を策定し、
後者であれば、
監理団体の指導に基づいて計画を策定し、
主務大臣の認定を受ける必要があります。
(技能実習法第8条)

<JITCO:技能実習の2つの方式>



技能実習計画は、
実習生ひとりずつ
実習レベル(1号・2号・3号)に応じて

策定しなければなりません。

たとえば、
3名の実習生を初めて受け入れる場合
実施機関は
1号の実習計画を3つ策定する

ということになります。

また一方、
1号から2号に実習レベルアップ
をするのであれば、
1号から2号に移行が認められている職種
であることを確認して
2号レベルに沿った計画を策定
しなければなりません。

<厚生労働省:技能実習移行対象職種及び作業>

技能実習2号への移行対象職種
 
については、
 
こちらのコラムでも
 詳しくご紹介しています。


注意したいのは、
3号の実習計画で、
移行職種要件に加えて
実施機関と監理団体の両方が
優良認定を受けている

ことが必要で、
トップレベルの技能実習
となります。

策定された技能実習計画は
技能実習機構(OTIT)
が審査します。




【技能実習計画の認定基準】

実習生が持つ技能実習VISA
技能実習が認定されている
ことが上陸許可基準となっています。

すなわち、
技能実習計画が認定されなければ
実習生がVISA申請しても
技能実習VISAの許可を得られない

ということになります。

認定を受けた後でも
実習認定の取り消しなどがあった場合は
在留資格該当性が失われ
実習生は、日本に在留できません。


そのため、技能実習計画は
実習生の在留生活において
非常に重要な位置づけがされています。

ちなみに、
実習認定の取り消しを1度受けると
取り消しから5年間は
実習認定の欠格事由にあたり、
新たに技能実習をおこなうことができません。

(技能実習法10条1項7号)

技能実習計画認定申請においては、
実習の適切性をキープするため
以下のような認定基準が存在します。
(技能実習法9条)



<JITCO:実習生受入人数枠>


※常勤職員数に実習生は含まれません。
※このほか、
 実習生の受け入れ人数
 以下をオーバーできません。
 1号:常勤職員総数
 2号:常勤職員総数x2
 3号:常勤職員総数x3



【技能実習計画の内容】

技能実習計画を具体的に策定する
にあたっては、
記載しなければならない情報や
満たすべき基準、要件が存在します。

厚生労働省では、
各職種の審査基準が公開されており、
これをもとに計画を策定することができます。

<厚生労働省:建設業建築大工実習作業の基準例>


また、技能実習計画には、
次の10項目を明記しなければなりません。



①申請者名、住所
申請者は実施機関となります。
企業や団体の場合は、代表者名を記載します。

②法人の役員名、住所
(申請者が法人の場合だけ)
法人の役員名と住所については
住民票の表記に沿う形で記載します。

③事業所名、所在地
技能実習生が
実際に技能実習をおこなう事業所の住所

を記載します。
たとえば、
本社が新宿区にあり、
実習する事業所が八王子市にある場合は、
八王子市の事業所名と住所を記載します。
実施機関の本社など所在地との間違いが多い
ようですので、注意しましょう。

④実習生氏名と国籍
実習生の名前は、母国によって独特で、
私たちにとっては慣れないスペルが多い
ですので、
丁寧に確認して記載するようにしましょう。

⑤技能実習区分
技能実習VISAは1号から3号のいずれか
となります。
このうち、企業単独型と団体監理型、
どちらか採用している方式と
実習生が取得しているVISAの区分の
組み合わせ
を選んで記載します。

⑥技能実習の目標
日本で修得した技術・知識の移転
という技能実習制度の目的達成のため、
技能実習計画を国に認定してもらうために
実習レベルによって修得目標を設定
する必要があります。

修得目標は、
保有するVISAによって
到達度やレベルが異なり、
1号よりも2号、2号よりも3号
が難易度の高い目標設定がされます。
一般的な目標としては、
技能検定や技能実習評価試験の合格
などとなります。

目標を達成するための技能実習は
必須業務
関連業務
周辺業務
安全衛生業務

の4つに区別され、
各業務の従事時間数が決められています。



⑦実習責任者名
実習生に対して、
実際に技能指導や実習をおこなう
責任者名を記載します。
実施機関は、
事業所ごとに実習責任者を定
し、
技能実習を管理・運営します。

この実習責任者は、
以下の要件を満たす必要があります。



⑧監理団体名、住所、代表者名
団体監理型技能実習の場合は、
監理団体情報を記載しなければなりません。

⑨実習生の待遇
給料、労働時間、休日、
居食住費や宿泊施設など

技能実習生の待遇を事前に具体的に定め、
技能実習計画に記載します。
実習開始後は、
実施機関は決定した待遇内容を
遵守しなければなりません。


⑩そのほか省令で定める事項
建設業の2号、3号実習や介護業など、
特定の業種や実習レベルでおこなわれる実習
の場合は、
省令で定められる情報や資料を
個別に別途提出する必要があります。

技能実習計画認定申請では、
これら技能実習計画のほか、
認定基準をクリアしていることを
証明するための必要書類を合わせて提出します。
実習方式や対象業種、実習機関の形態など
によって、書類の内容は多少異なり、
相当のボリュームがあります。

団体監理型であれば、
実施機関は監理団体のサポートを受けて
書類作成することになりますが、

監理実績の少ない監理団体は
書類内容や作成方法に明るくない
場合があります。

 ⇒当事務所にご相談ください。



【技能実習計画認定までのながれ】

技能実習計画は
技能実習機構に対して認定申請をおこない
認定を受けることが必要です。

技能実習計画の認定を受けないで
VISA申請をしても
出入国在留管理局で
申請が受理されない場合が多い

ですので、注意しましょう。

<JITCO:実習生の入国から帰国まで>


計画認定申請は
実習開始予定日6か月前から
受け付け
られており、
認定審査は1~2か月を要します。

私の感覚としては、どんなに遅くとも、
1号は実習開始予定日4か月前まで
2号は実習開始予定日3か月前まで
3号は実習開始予定日4か月前まで

には申請を済ませたい
と考えます。

また、
3号実習の場合は、
2号実習終了後に
実習生の一時帰国が発生

しますので、
時期的な余裕をもって申請したい
ところです。

技能実習計画が認定されると
技能実習機構より
認定通知書が交付されます。

<技能実習計画認定通知書>

※不認定の場合は不認定通知書が交付されます。




【技能実習計画の欠格事由】

技能実習計画においては、
認定基準に対して
次のような欠格事由も存在します。
(技能実習法第10条)



もしも実施機関が
この欠格事由に該当する場合は、
技能実習計画の認定を受けられません

ので、注意しましょう。




【技能実習生の受け入れへ】

外国人技能実習生を受け入れるため、
技能実習を適切に実施するため、
第1関門として立ちはだかるのが、
技能実習計画です。

技能実習計画は
厳格なルールにもとづいて審査され、
認定を受けるための申請書類や
記載内容が複雑となっています。
団体監理型であれば
監理団体がサポートをしてくれますが、
企業単独型であれば、
知識に明るくない方が自力対応するのは
かなり骨の折れる作業となるでしょう。

WINDS行政書士事務所は
技能実習計画に関する知識や
サポート実績が多数ございます。
実施機関や監理団体の皆さまに対する
書類作成サポートや
制度全般に関するコンサルティング
など、
幅広く承っておりますので、
是非、ご相談ください。