コラム

建設分野の特定技能手続き

2021.06.09[VISA]




建設分野の特定技能

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
14の業界分野における各仕事の
エキスパートとして取得できる、
特定技能VISA
この制度が初めて創設されてから、
2年が経過しました。
※対象14分野については、
 当事務所ホームページでもご紹介しています。
 ⇒こちら


特定技能VISAを取得するためには、
VISAの申請時に、
外国人とその職場(=受入機関)が、
業界分野にしたがった要件に応じて
特定技能手続きをおこないます。

そんな特定技能の手続きで、
対象14分野の中でもっとも手続きがハード
と言われているのが、

建設分野

です。

 
【望まれる建設分野の即戦力

日本で特定技能制度が創設されてから、
建設分野における特定技能外国人は
一貫して増加傾向にあります。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響もありますが、
それでも、
建設現場での即戦力として、
特定技能外国人のニーズは引き続き高い

といえるのではないでしょうか。

<出入国在留管理庁:特定技能外国人数の推移>



建設分野において、
特定技能VISAが取得できるのは、
次の18の作業です。


※各作業の具体的な内容は、
 国からの制度運用方針で公表されています。


建設以外の分野では、
事業者が分野別の協議会に加入、
外国人と雇用契約を締結するなどしたうえで、
外国人のVISA取得まで進めることができますが、
建設分野では、そのほとんどの手続きが、
ほかの分野ではみられない独自のものとなります。


独自の手続きが存在する理由としては、
過去に創設された技能実習制度において、
建設業がほかの業種と比べて、
劣悪な労働環境
実習生の失踪やトラブル

といった問題が指摘され、
建設業界での就労管理を徹底する必要性が高まった
ことがあげられます。




【建設分野の特定技能手続き】

外国人が
特定技能VISAを取得して就業するためには、
外国人自身が資格要件を満たすだけでなく、
雇用先の事業者も
「特定技能外国人受入機関」として
成立しなければなりません。


そのためには、次のご紹介する、
4つの手続きが必要となります。
いずれも特定技能VISAを取得するために
非常に重要な手続きといえます。

①JACへの加入
事業者は、

JAC(Japan Association for Construction Human Resources)

へ加入することが必要です。
※JAC加入にあたっては、会費が発生します。
※JACの正会員である建設業者団体に加入済み
 (=間接加入)の場合は、
 改めてJACへ加入しなくてOKです。


JACとは、
「一般社団法人建設技能人材機構」の英語略称で
2019年4月に設立された社団法人です。
JACの役割は、以下のように規定されています。



JAC定款が一般公開されています。
※外国人の受入後も、その人数に応じて、
 受入負担金が発生します。


②建設キャリアアップシステムへの登録
事業者は、

建設キャリアアップシステム

へ登録することが求められます。

建設キャリアアップシステムとは、
建設技能者の現場スキルアップ
待遇改善の実現

を目的にもうけられている制度で、
技能者の職務履歴
保有する資格などを専用システムに蓄積する

などの運用がされています。

2019年4月より、
官民一体の本格的な取り組みとして進められ、
初年度で約100万人、
5年ですべての技能者の登録
が目標とされています。
建設キャリアアップシステム

<建設キャリアアップシステム広告>



③建設業許可の取得
特定技能外国人の受入機関が
やはり欠かせないのが、
「建設業許可」です。

建設業許可の新規取得までの
期間の目安は2~3ヶ月程度

と言われていますので、

建設業許可をまだ受けていない場合は
早めに申請することをおすすめします。
⇒当事務所までご相談ください。
※許可のカテゴリーは、
 大臣許可と知事許可に分かれています。

 東京都都市整備局:建設業許可




④受入計画の認定
4つの中では、
当事務所でもっとも多くご相談をいただいている
手続きです。


事業者は、

国土交通省に対して、
特定技能外国人受入計画の認定申請


をおこない、
認定を受けなければなりません


この申請は、オンラインでおこなわれます。
(=郵送や持参での申請NGです)


受入計画の認定申請では、

・建設業の許可状況
・社会保険への加入状況
・建設キャリアアップシステムへの加入状況
・労働関係法令の遵守


といった事業者情報を提供します。

また、事業者は、
実際に外国人を受け入れる前
外国人が理解できるような言語(母国語など)で
雇用条件などの重要事項を説明しなければなりません。

※重要事項の説明は、
 登録支援機関に委託してもOKです。


申請から認定を得るまでの
標準的な審査期間は、1か月半~2か月程度です。

国土交通省から認定されると、
受入機関に対して認定証が送付されます。
この認定証のコピーを、
出入国在留管理局に提出することになります。

受入計画の認定審査では
法務省が指定しているテンプレートのものに加え、
労務関連や納税関連の資料
が細かくチェックされます。

申請時点で、
法令を遵守していることはもちろん、


入管の持つ基準をクリアしている
事前手続きが抜け漏れなく終わっている
社内規定や疎明資料が十分にととのっている

事業の実態にそくして現実的に計画されている


ことが必要で
す。

事業規模の小さい事業者さまからは、

社内規定書類が整備しきれていない
給与の算定基準が明確に設定されていない
外国人のスキルアップ計画が確立されていない


といった理由で、

実際の申請までたどりつけない
認定を得るのが遅れた


といったことも多く見受けられますので、
十分な計画と準備をもって進めるべき手続きです。

事業者は、これらの手続きを経て、
建設分野の特定技能VISA申請をおこない、
出入国在留管理局による許可を得て、
外国人は特定技能VISAを取得、
正式に受入機関の従業員として入社します。

建設分野で外国人が
特定技能VISAを取得するまでのながれを
チャート化してみました。




【受入後の対応】

受入機関となった事業者は、
外国人の受け入れ後、
外国人の現場スキルや日本語能力アップを目的に、
外国人に
FITS(一般財団法人国際建設技能復興機構)
が実施する
受入後講習(特定技能スタートアップセミナー)
を受講させる義務があります。

※講習は有料となります。

FITSはまた、
中立的な立場とする適正就労管理機関として、

特定技能外国人の雇用の適正度を確認するため、
1年に1回以上、
受入機関を訪問して就労状況をチェック

します。

受入機関は、このチェックによって、
労働関係法を満たしていないと判断された場合、
すみやかに会社のルールを見直す必要があります。

※受入機関へのFITSの訪問は拒否できません。

そのほかにも、所定の報告義務があり、
出入国在留管理局に対して
定期的または事由発生時に、
届出をおこなうことも求められます。





【建設分野の特定技能手続きの注意点】

建設分野における特定技能の手続きは、
特定技能ビザの申請まで含めると、
手続きに膨大な労力、時間がかかります。
たとえば、
「技術・人文知識・国際業務」VISAに代表される
一般的な就労VISAに比べると、
特定技能VISAは、
その2~3倍もの量の書類(30種類以上)が必要

となります。

少人数で管理業務をこなし、
現場業務で多忙だという、事業者の皆さま。
行政に対する許認可申請において、
スペシャリストである行政書士に
建設分野の特定技能手続きをお任せください。


建設業の許認可申請やVISA申請作業を
行政書士にアウトソーシングすることによって、
申請における作業負担を軽くすることができ、
建設会社さまが収益を上げる活動にも専念

していただけます。

WINDS行政書士事務所は、
特定技能VISAをはじめとして、
VISA全般における申請や要件のご相談を承っております。
お気軽にご相談ください。