コラム

企業の買収=M&A

2021.06.16[事業支援]




【経営戦略のワイルドカード=M&A】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
事業者が経営を続けていくうえで、

後継者不足
業績の見通し
将来ビジョンの開拓
グループ事業の再編


といった懸念事項があるとします。
こういった、業績や経営における課題を抱えるなか、
その解決を見い出すため、また経営の目的を達成するための
選択肢のひとつとして、

M&A

があります。

M&Aとは、”Mergers&Acquisitions”の略語で、
「合併と買収」をあらわします。

現在では、一般的な経営戦略のひとつとなっており、
多くの事業主さまが、
事業の拡大や法人をはかるための選択肢として、
定着しつつあります。

最近は、
 企業の買収
だけでなく、
 業務提携
 個人事業主の事業承継

においても採用されるなど、
事業規模を問わず、自社の生き残りの手段として
採用するケースは増えています。
※事業承継については、
 以前のコラムでもご紹介しています。
 ⇒こちら


【M&Aの実施場面】

M&Aの実施に関しては、
以下の7つの行為場面が想定されます。






【M&Aのメリットとリスク】
M&Aをおこなうことで、
事業主さまが抱えるさまざまな課題を解決しやすくなります。
また同時に、念頭に置くべきリスクも存在します。


私が考えるM&Aのメリットは、次の5点です。

①現経営者が譲渡利益を得られる
M&Aの実施にあたっては、
これが大きなメリットのひとつと
言えるのではないでしょうか。

会社を廃業すると、
廃業費用がかかりますが、
事業主の引退後、経済面に不安がある場合、
M&Aで事業を売却することで、
譲渡利益を得ることができます。

事業主は、
M&Aによって得た譲渡利益を活用して、
新事業にチャレンジしたり、
ほかの事業に注力することも可能です。
※譲渡利益の目安として、
 経常利益の3倍から5倍程度が多いです。


②スムーズな事業承継が実現
親族や社内従業員に事業承継する場合は、
後継者への教育期間が長くなる
ことが多いです。
また最近は、
後継者不足というお悩みも多く見受けられます。
M&Aをせずに廃業となれば、
取引先や社内従業員に迷惑をかけてしまう
というリスクもあるでしょう。

これに対して、
買収企業に事業を引き継いでもらえば、
後継者の教育期間を省け(または後継者なしで)
社会的信用をキープしたまま事業承継が実現

します。

③買収企業の協力で事業発展
会社を経営していくうえで、
売上の低下
人手・資金不足

という課題がある場合、
買収企業の資金やマンパワーの協力を得ながら、
課題の解決策を立てられます。

また、これまで事業主さまが携わっていた
事業の成長を見守ることができます。
また、事実上、
人材やノウハウを獲得でき、
既存の従業員の雇用も維持可能です

④事業強化の効率アップ
買収企業の立場から見ると、
なにもない状態から事業を強化するためには
多くの時間や費用がかかります。

これに対して、
同じ営業エリアの同業他社を買収すれば、
事業をスピーディーに強化できます。
買収する事業がすでに収益性があれば、
それだけ事業強化度合いも増します。

⑤新規事業を始めやすい
業界によっては、
既存企業のシェアが高いため、
新規ビジネスの参入が難しい
ことが多いです。

また、
新規事業を立ち上げるための
コストと時間がかかり、
すぐ軌道に乗るとは限りません
が、M&Aで既存事業を買収すれば、
低リスクで新規事業を始められます
また買収した企業が、
参入予定の業界で一定の売上やコネクションがあれば、
事業失敗の確率を低減できます。



一方、
M&A実施におけるリスクも、
以下のようにあげられます。

①買収条件のアンマッチ
買収を果たした企業の方向性によっては、
社内従業員雇用が保証されない
待遇が悪化

という可能性があります。

最悪のパターンとしては、
M&Aの成立条件がそろわず、
買収相手が見つからないおそれもあります。

②費用と時間がかかる
専門家や仲介機関へ依頼するサポート費用
がかかります。
また、経営統合に時間がかかった分、
組織の運営に弊害が出るおそれもあります。

③親族や社内外の反発
M&Aによって
不満を持つ社内従業員の退社
取引先から反発を受けて契約が打ち切り

となる可能性があります。

④希望どおりの効果が得られない
M&A後、買収企業の組織拡大によって、
買収企業の意思決定が遅くなったり、
統治や管理といった企業ガバナンスが弱体化
するおそれがあります。


【M&A実施のポイント】

ご紹介したメリットの活用、
リスクの回避をしながら、
M&Aを成功させるためには、
次のポイントを踏まえながら
計画、実施につなげていくことが必要です。

①適切なM&A相手を探す
事業者の希望条件に見合った相手を選定します。
M&Aの成功のため、
知識やノウハウのある
行政書士のような専門家や仲介機関を最大活用
するのもよいでしょう。

②社内外への周知
従業員や取引先に理解を得られるよう、
M&Aの実施確定後など

適切な時期に丁寧に説明する
ことが大切です。

M&Aが未成約の段階で情報を広めすぎると、
社内や取引先が混乱してしまい、
従業員の退職取引先の契約打ち切りなど、
会社経営に悪影響が出ることもあります。
場合によっては、
買収企業が難色を示して交渉決裂
となるおそれもあります。

③関係者全員のメリットを考慮
売却側の事業主の希望を追求するあまり、
M&A成約の可能性が低下することのないよう、
自社の現状を把握したうえで、
買収企業側のM&Aの目的を理解
したうえで交渉を進め、合わせて、
社内従業員や取引先のメリットまで考慮
しましょう。

昨今の新型コロナウイルスの影響をはじめ、
日本では非常に難しい経済環境が続いていますが、
少しでも効率的な経営を目指して、
競合企業との関係の見直しをはかるという動きも見えています。
同じ業界、同じサービス提供の中で、無用な競争をなくして、
お互いにWIN-WINとなるM&Aの実現事例も存在します。

事業の将来的戦略をご検討の事業者の皆さま。
WINDS行政書士事務所では、
会社の方向性や出口戦略を一緒に考え、
M&Aや事業計画、承継などにおける
手続きや書類作成のサポートをいたします。
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