コラム

フィリピンの特定技能手続き

2021.04.07[VISA]





【フィリピンの特定技能手続き】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2019年に新たに創設された「特定技能」VISA
外国人が、指定された仕事の分野で専門的な技能を身に付け、
働き手不足である日本で活躍していただく
ことを目的としています。

このVISAの申請においては、
二国間協議を結んだ国によって、
現地での手続きや提出書類が変わります。

その中でも今回は、

フィリピン

をピックアップしてみたいと思います。


【フィリピンとの二国間協定】

日本はフィリピンと、
特定技能に係る協力覚書(二国間取決め)
を締結しています。
これに基づいて、

フィリピン労働雇用省=DOLE
(Department of Labour and Employment)


は、
「特定技能の在留資格における
 日本への労働者の送出しに関するガイドライン」

を公表しています。

このガイドラインには、

OEC=海外雇用証明書の発行条件
当局認定の送り出し機関の情報
労働者からの徴収費用詳細


などが記載されています。

<DOLEによるガイドライン>


<ガイドラインの主な内容>





【「POEA」と「POLO」】

フィリピンは、
まわりを海で囲まれたきれいな島国ですが、
日本の8割ほどの国土に、
およそ1億492万人もの国民が暮らしていますが、
人口密度が高いため、
フィリピン国内での働き口が少なく
国民全員が望む仕事が見つからない
傾向があり、
海外での仕事を目指す方が多くいらっしゃいます。

その結果、これまで、
日本をはじめとした海外の国で働く
フィリピン国籍労働者は、
労働環境や権利の保障が損なわれるリスク
におびやかされ、
社会問題となることも少なくありませんでした。

こうした背景から、
フィリピン政府は、
海外での国民の適正な雇用を監視するため

フィリピン海外雇用庁=POEA
(Philippine Overseas Employment Administration)

を設置し、

フィリピン国籍労働者の海外勤務先の審査
労働契約内容の適正度の確認


をおこなっています。
POEAホームページ

フィリピン国籍労働者を雇用するときは、
POEAが認定した現地送り出し機関との契約が必要
となります。
フィリピン国籍者を直接雇用することは認められません。
※現地の送り出し機関は、
 PRA(Philippine Recruitment Agency)
 の事業者となります。
 ⇒POEA認定のPRA

※送り出し機関との契約は、
 雇用するフィリピン国籍労働者が
 1人であっても、必要です。


<フィリピン人高度人材の直接雇用に関する通達>


このPOEAの
海外支部的なポジションとして、

フィリピン大使館海外労働事務所=POLO
(Philippine Overseas Employment Administratiuon)

が設置されています。
※日本のPOLOは、
 フィリピン大使館・領事館(東京・大阪)
 となり、管轄エリアも分かれています。


 

【POLO審査とPOEA登録】

雇用者がフィリピン国籍労働者を
特定技能外国人として受け入れようとするとき、
VISA申請をする前に

POLOのインタビューや審査をクリアして、
POEAによる特定技能外国人受入機関の認定を受ける

ことが必要です。

これは、在留中の労働者を受け入れる場合でも、
現地から労働者を呼び寄せる場合でも、同じです。

もし、
日本企業の労働条件が劣悪と判断される場合は、
フィリピン当局からインタビューを拒否されます。


雇用者が、
POLOの審査をクリアするためには、
日本国内での労働条件
に加えて、
フィリピンで求められる労働条件

も考慮することが必要です。

この手続きにおいては、
雇用者自身がPOEAやPOLOへ直接コンタクト
当局職員の指示をあおぐ
ことが必要になります。

これに対して、
POLOも、雇用主にのみコンタクトに対して回答します。
手続きにおいて、第三者は介入できません。
 ⇒弁護士、行政書士、人材紹介会社は介入できません。

また、

雇用者の提出書類はすべて英文で作成する
送り出し機関との条件交渉や
POLOからの指摘の確認は
すべて英語で
コミュニケーションする


ことで、進められます。
※審査官とのインタビューは、
 東京のPOLOのみ、オンラインでの実施が可能です。



【審査と事後手続き】

ここまで説明した、
受入機関となる雇用者の手続きは、
次のようなシミュレーションとなります。
 
 受入機関が必要書類を準備&POLOへ提出
 ②VISA申請(POLO手続きと同時並行OK)
 ③
POLOにて申請書類を審査
 ④
受入機関とPOLOにて英語インタビュー実施
  
※全ての書類が揃い、審査内容に不備がない条件で
   
インタビューが実現します。
  
※英語通訳事業者の同席は可能です。
  
※第三者はインタビューに介入できません。
 
POLOは必要に応じて実地調査を実施
 ⑥
POLOにて、登録のための必要書類を受入企業へ案内
 ⑦
POEAにて正式認定、受入機関登録


これらをふまえたうえで初めて、
雇用者は受入機関となり、
送り出し機関の紹介を受けたフィリピン人労働者と
雇用契約を締結することができます。

ちなみに、
フィリピン人労働者が
特定技能外国人として来日する際は、
送り出し機関を通して、フィリピンで、
海外労働者福祉庁=OWWA
が実施するオリエンテーションを受け、
健康診断を受けなければならない
と規定されています。
※査証発給申請と同時進行でおこなうことは可能です。

現地での手続が完了次第、
送り出し機関を通して、OEC交付申請をおこないます。
※在留資格認定証明書の有効期限内で発行されます。

<法務省:手続きの流れ>




【独自のルールを把握して確実な対応を】

フィリピン国籍労働者を
特定技能外国人として雇用するにあたっては、

当局のオリジナルルールがたくさん存在し、
用意する書類も複雑かつ英語対応なども必要となります。

そのため、
手続きにおいて発生する費用
雇用時期のバランス
を考えつつ、
計画的に申請準備していくことが大切です。

WINDS行政書士事務所では、
外国人労働者の特定技能VISAの取得において
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