コラム

技能実習2号VISA移行対象職種の追加

2020.03.04[VISA]




【技能実習2号への移行職種が増えました】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
技能実習制度において、
「技能実習1号」VISAから「技能実習2号」VISAへの
移行ができる職種は限定されていますが、
2020年2月25日付で、

宿泊業:「接客・衛生管理」
が追加


となりました。

これで技能実習2号VISAへの移行対象職種は、
86職種158作業
に増加しました。


※上記のうち、建設業では、
 とび、建設大工、配管、建設板金、保温保冷の5つの職種、
 また上記にないもので、吹付ウレタン断熱、海洋土木工の2つの職種、
 計7つの職種が、
特定技能制度での受け入れが新たに決定しています。
 


宿泊業「接客・衛生管理」業務においては今後、外国人技能実習生を、
「技能実習1号」「技能実習2号」VISAの2つをもって、
最長3年間受け入れることが可能となり、
うち2業務の技能実習生は、在留期間中、日本の宿泊施設で、
フロント、接客、客室清掃・テーブルセッティングなどの
業務実習を受けられるようになります。

※「技能実習3号」への移行職種は従来通り、74職種130作業で変更はありません。
 ⇒「技能実習2号」移行可能職種のすべてが、「技能実習3号」へ移行できるわけではありません。
※技能実習生の夜間勤務は、禁じられています




【移行職種追加の背景】

今回、移行職種が追加となったのは、どういう経緯があったのでしょうか。
宿泊業が、「技能実習2号」への移行対象に新たに選ばれた理由としては、
宿泊業界による外国人人財の受け入れが強く望まれていたためです。

年別の外国人の訪日人数は、昭和40年はおよそ37万人に過ぎなかったのが、
50年以上経った2018年現在では3,120万人と、およそ85倍にもふくれ上がり、
インバウンド需要が高まっています
また、各業界は、
2020年開催予定の東京オリンピックにおける経済効果を見据えて、
施設の建設・整備やサービスの充実など、準備を進めてきました。

こうした経緯から、2019年に差し掛かったころから、
宿泊業界にもより多くの外国人人財を
という声が徐々に上がり始め、
同年5月、政府により、パブリックコメントが実施されました。

e-Govパブリックコメントの結果⇒こちら

一般の皆さまからの意見をもとに、検討の結果、
移行対象職種への追加が待たれていましたが、この2月に正式に施行となりました。


【宿泊業が移行対象となったメリット】

VISAの観点から、
宿泊業が技能実習2号への移行対象に追加となったことによるメリットを、
図にまとめてみました。



「技能実習2号」VISAへの移行を果たした技能実習生は、
①2年目以降も引き続き技能実習を受けることができます
また、「技能実習2号」VISA移行により在留期間が3年を経過すれば、
試験を受けることなく特定技能1号への移行ができるため、
②VISA切り替えの選択肢に、特定技能1号も加わり、希望する在留目的の幅が広がります
※令和2年1月31日現在の特定技能評価試験合格者数は、約1,140名です。

「技能実習」と「特定技能」は名前が似ていますが、
VISAとしての在留目的や制度は異なることに注意が必要です。
(以前のコラムで、「技能実習」と「特定技能」の違いについて触れていますので
 ご参考ください⇒こちら


技能実習制度は、国際貢献を目的として、
日本が誇る技能や知識を開発途上国の人財へ伝授することで、その国の経済発展を支えるというものです。
きめ細やかなサービスや清潔感のレベルを、技能実習生を通して共有できるのは、
素晴らしいことだと思いますし、
実習生の母国での観光産業によい影響がおよぶことも願っています。

今回、「技能実習2号」VISAへの対象職種は増えましたが、
このビザに移行するための要件が厳しいものであることに変わりはなく、
提出書類が複雑であったり、審査も長い期間を要します。

WINDS行政書士事務所は、
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