コラム

【出産前後は大変】外国人の赤ちゃんの関連手続き

2021.08.25[VISA]




【外国人の赤ちゃんが産まれたら?】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

前回のコラムで、
在留外国人自身が行うべき届出手続き
をご紹介しましたが、

赤ちゃんが産まれたときの手続きは
どうすればいいのか
出産に関係する届出も教えてほしい


とのご意見、ご相談を多数頂きました。

国際結婚された日本人と外国人の夫婦や
外国人同士の夫婦、
国際恋愛の未婚のカップルの間に
赤ちゃんが生まれた場合、
日本人同士夫婦やカップルと比べると
出産時の届出手続きの一部が異なります。

VISAの申請はもちろん、
日本で赤ちゃんを育てていくために
便利な制度、
ケースバイケースで必要な制度
もあり、
産まれてくる外国人の赤ちゃんに
関係する手続きは、
あらかじめ確認しておくと便利です。



【出産に関する届出、手続き】

赤ちゃんの出産に伴う手続きは、
出産前出産後のものに分かれます。
行政に対してだけでなく、
生活や健康状態に沿って
すべき届出や手続きも
幅広く知っておいた方が便利ですね。

<出産前>
出産にあたっては、
外国人であっても、日本人と同等のサービスが受けられます。

①母子手帳
出産前後の
母子の健康状態の管理ツールとして、
日本で欠かせないのが、母子手帳です。
母子手帳は、
日本人と同じように、外国人も、
市区町村役場や保健センターで配布されます。

母子手帳は、
基本的に日本語で記載されています。

もしも、お母さんが外国人である場合、
お母さんが読める言語で記載していないと、
手帳の管理は大変になってしまいます。

日本語スキルに自信のない
外国人のお母さんの場合は、
外国語の母子手帳
を入手すると便利でしょう。

外国語の母子手帳は、
住居地の自治体にもよりますが、
現在、最大8か国語
(英語、韓国語、中国語、タイ語、タガログ語、
ポルトガル語、インドネシア語、スペイン語)

対応しているところもあり、
有料で、
市区町村や保健センターから
取り寄せることができ、
ネット販売もされています。
※ネット販売では、
 ベトナム語、ハングル語、英語、中国語、タイ語、
 タカログ語、ポルトガル語、インドネシア語、
 スペイン語の9か国語

 に対応しているものがあります。
 ⇒公益財団法人母子衛生研究会販売サイト


②出産育児一時金
妊娠4か月(85日)以上
のお母さんは、出産したとき、
子ども1人あたり42万円の出産費用
が支給される制度です。
外国人のお母さんももちろん、申請対象です。
流産・死産となっても支給されます。
※産科医療補償制度対象外の出産の場合は、
 支給額は40.4万円となります。

人工中絶の場合は、
 健康上の理由や、
 望まない妊娠(暴行・脅迫など)のときだけが対象。
 ⇒経済的理由では、申請できません。


一時金の申請は、
勤務先の健康保険組合、
国民健康保険に加入している場合は、
住民票のある市区町村に対しておこないます。

ちなみに、
日本の在留期間が3か月以上の外国人は、
国民健康保険に加入する
必要があります。
※手続き内容によっては、
 出生日翌日より2年間の手続きもOKです。

まずは、
お母さんの健康保険の加入状況を
確認しましょう。

出産育児一時金を申請するお母さんは、
このほかに、

・国民健康保険加入者
・勤務先の会社などの健康保険加入者
 or
 加入者から扶養を受けている家族


のいずれかの要件を満たすことが必要
となります。
会社勤務でしたら、
通常、会社側が手続きをすることが多いですが、
自営業者、無職者の場合は、
自分自身で何らかの健康保険に
加入する必要があります。

お母さんが健康保険に入っていない場合は、
出産などの医療費を100%負担

しなければならなくなりますので、
出産後の健康の保障リスク確保のためにも、
加入したいところです。



<出産後>
具体的には、
次のような手続きが必要となります。

①健康保険への加入
勤務先の健康保険組合、
国民健康保険に加入している場合は、
住民票のある市区町村で加入手続きします。
頻繁に通院することも考えると、
出産時に未加入であれば、
速やかにおこないたいものです。
健康保険組合によっては
数日以内の手続きを求められる

こともありますので、注意が必要です。

②出生届の提出
まず最初に、
日本政府に報告をしなければなりません。

両親は、
出生の日から出生日を含めて14日以内
出生した子の本籍地
届出人の所在地
出生地
のいずれかの市区町村に届け出ます。
※両親が届出できない場合は、
 同居者
 出産立会人(医師、助産師又はその他の者)

 の順序にしたがって、届出OKです。
※出産地が海外だった場合は、
 出生から3か月以内に届け出ます。


外国人の場合は、
日本の戸籍がなく、本籍地は存在しないため、
住民票のある、または出生地の市区町村
が届出先となります。



③在留資格取得許可申請
産まれた赤ちゃんの親が外国人同士の場合は、
日本国籍は与えられず、
血統主義によって、
両親のどちらかか
両方の国籍を取得

することになります。

赤ちゃんは、国籍が決定すると、
在留外国人として、
お父さんとお母さんご両親と同じように
VISA(在留資格)を取得
しなければなりません。

この手続きは、
日本に住んでいて、
VISAを取ることが必要な外国人

がおこなうものであり、
親などの法定代理人が、
赤ちゃんの出生から30日以内
住居地管轄の出入国在留管理庁に対して
在留資格取得許可申請
をおこないます。
※両親が内縁の関係であっても、
 申請できます。

※出生後60日以内に出国する場合は
 対象外です。
国籍を放棄する日本人の子
 退役後に帰国をしない米軍関係者
 この申請をします。
※親権のない祖父母や親戚、兄弟は
 届出できません。

 ⇒行政書士を通して申請OKです。
  ご相談ください。


赤ちゃんが取得するべきVISAは、
出生場所や、ご両親のVISAによって、
以下のように選択肢が変わります。
取得が考えられるVISAの選択肢を、
フローチャートにしてみました。

海外で出産した場合は、
 在留資格取得申請ではなく、
 在留資格認定証明書交付申請という、
 呼び寄せ用の手続きをします。

申請が出生から60日を超える場合は、
 オーバーステイとして扱われ

 特別な手続きを経なければならなくなる
 ことがあります。


④国籍留保の届出
赤ちゃんが、
日本人と外国人との間に産まれた場合、
必要となる手続きです。
出生届の「その他」の欄に
『日本の国籍を留保する』

と記入します。

日本は二重国籍を認めていませんが、
この届出をすることで、
赤ちゃんが22歳になるまで、
国籍の選択時期を引き延ばすことができます。
※二重国籍と各手続きについては
 以前のコラムでもご紹介しています。
 ⇒こちら


国籍留保の届出は、
出生後3ヶ月以内が期限となります。
この手続きをしないと、日本国籍を失う
ことになります。
※日本国籍を失ったあとで、
 再度日本国籍を得たい場合は、
 国籍再選択の届出をする必要があります。





⑤外国政府への報告
日本にある大使館や領事館に対して、
出生届出パスポート作成手続き
をおこないます。

両親の国籍が同じであれば、
手続き先は、
その国の大使館や領事館となります。
両親の国籍が異なるのであれば、
赤ちゃんの国籍をどちらにするか
決めたうえで、
手続き先は、
赤ちゃんに与える国籍の
大使館や領事館となります。

もう一方の国の
大使館や領事館への手続きは、
基本的にはいらないと考えてもよいですが、
国によっては、
将来的に必要になるかもしれませんので、
あらためて手続きが必要かどうかを
確認するのもOKです。

出生届に必要な書類として、
市区町村発行の出生証明書
を用意しますが、
翻訳が必要であったり、
公証役場での公証
在日大使館や領事館で手続き不可となり
本国で手続きを必要
とする場合がある
など、国によって事情が異なります。

⑥その他
そのほか、必須ではありませんが、
知っておくと便利と思われる手続き
をピックアップしてみました。
ご参考ください。

◎乳幼児医療費助成金
0歳から一定年齢(自治体によって異なる)
までの子どもの医療費

無料から定額になる制度です。
両親や保護者の所得制限という条件付きであったり、
交付申請期限も、自治体によってさまざまです。

◎出産手当金(働くお母さん向け)
健康保険に加入しているお母さんが、
勤務先の健康保険組合に申請することによって、
産休中に給料が出ない場合にもらえる手当金です。
産休中、給料の2/3を助成してもらえます。
対象期間は、
出産予定日42日以前から
出産56日後までの98日間で
勤務しなかった期間
となります。
※任意継続被保険者、健康保険の被扶養者、
 国民健康保険加入者は助成対象外です。


◎育児休業給付金(働くお母さん向け)
雇用保険に加入しているお母さんで、
育児休暇中に給料が出ない場合、
ハローワークに申請することによって、
育児休暇中、給料の半額を支給してもらえる
制度です。

申請者は、基本的に事業主となりますが、
本人も申請OKのようです。

◎高額療養費制度
出産は基本的に全額自己負担ですが、
切迫早産や帝王切開などは保険が適用され、
1か月間の‏医療費として一定額を超えた場合
勤務先の健康保険組合、
国民健康保険に加入している場合は
住民票のある市区町村
に申請することによって、
一定額を超えた差額が返還されます
一定額は、
収入や加入している健康保険の種類
によって決まります。
非課税者であれば、
自己負担額は約35,000円
年収が500万くらいなら約85,000円

年収1,160円を超えると対象外
となります。




出生における手続きは非常に多岐にわたります。
特に出産前後は、
お母さんや赤ちゃんの心身のケアが欠かせません。
お父さんやご家族の皆さんの
スピーディなサポートで、
一緒に乗り切りたいですね。

WINDS行政書士事務所でも、
VISAや国籍選択など、
外国人のお母さんや赤ちゃんが
健康で穏やかに在留生活を送れるように、
VISAなどの手続きを幅広くサポートします。
在留手続きにおいて、専門家をたよってください。