コラム

【日本と違う?】韓国の戸籍の確認

2021.08.18[行政書士・業務]





【韓国の戸籍を必要とするとき】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

日本で
相続の手続きをするとき
戸籍関係を調べるとき
は、戸籍謄本を必要とする場面が多いです。
戸籍制度は、
世帯や出生、死亡の証明のため、
日本だけでなく、外国にも存在しています。

おとなりの国、韓国の国籍を持つ方も、
日本で相続の手続きや
VISAの申請、帰化申請をするとき、
戸籍情報が必要となりますが、
韓国の制度や手続きをよく理解したうえで、
取得する必要があります。



【韓国の戸籍制度】

韓国で管理されている戸籍情報は、
今から13年前、
その管理方法に大きな変化があったことを
知る必要があります。

①情報管理制度の変更
たとえば、日本の場合は、
家族単位で家族関係が記録されています。
これに対して、
韓国は、
いわゆる家系単位
家族関係が記録されている
戸主制度が存在していました。

この戸主制度ですが、
2008年1月1日付で廃止となりました。

これに代わって誕生したのが、
家族関係登録制度
です。

韓国の家族関係の情報は、
この家族関係登録制度へ
シフトしたことによって、
「戸籍簿」から、
「家族関係登録簿」へ引き継がれ、
従来の家族関係が記録された「戸籍簿」
「除籍簿(=除籍謄本)」に移行しました。
※韓国の「家族関係登録等に関する法律」は、
 2007年4月27日制定、
 法律第8435号として同年5月17日に公布
 され、
 2008年1月1日付で施行されています。
 ⇒大韓民国国家情報法令センター

この制度に続くように、
 ①父性主義原則のカスタマイズ
 ②姓の変更
 ③親養子入養(日本の特別養子縁組に相当)

などの新しい制度も誕生しています。


②家族関係のルーツの確認
家族制度の変更にともなって、
家族関係の調べ方も少し変わりました。

たとえば、
家長が長男である場合、
連続した家族情報をスムーズに確認できる
見込みがたちますが、
家長が次男である場合は、
元々の家系から法定分家した可能性
があるため、
さらに元の家系も調べる必要がある
場合もあります。

③2種類の証明スタイル
家族関係登録制度の変更にともなって、
身分事項に関する証明書の発行スタイルも
変更となりました。

まず、
身分情報を1種類で発行していた
戸籍謄本のスタイルは廃止
され、
2種類の書類を発行
できるようになりました。

ひとつは、
身分の「個人単位」で発行され
身分事項を項目別に複数証明する

家族関係登録事項別証明書
があります。

家族関係登録事項別証明書
家族関係書類の総称であり、
次の5種類の証明書が存在します。


大韓民国法院電子民願センター:家族関係登録制度
※帰化申請の際は、この証明書の提出が必須です。

もうひとつは、
制度改正前(2007年12月31日)までの
戸籍関係を証明する

除籍簿

です。
※帰化申請や婚姻、相続手続きの際には、
 除籍簿が必要です。





【韓国戸籍の取得手続き】

①手続きをする場所
韓国の家族関係情報は、
韓国政府によって管理されているため、
日本の市区町村では対応できません。

そこで、これらの情報を
日本国内で確認するためには、
韓国大使館領事部
で申請手続きをおこないます。

②取得できる方
原則、韓国の戸籍に掲載されている
本人
配偶者
直系血族(実の親or子、祖父母)

だけとなります。
※兄弟姉妹は、
 2016年7月1日から
 請求できなくなりました。


ただし、
委任状を提示することによって、
代理人によって交付請求することが可能です。
委任状には、
本人からの署名と捺印が必要です。
※委任状は、
 署名、捺印、いずれが欠けても、
 交付請求に有効なものとなりません。


また、
受任者も、身分証明の提示を求められます。

<委任状>


※住所などの変更事項に見落としがあると、
 交付請求が認められない場合があります。


③交付期間
韓国大使館領の拠点にもよりますが、
東京・大阪・福岡の韓国大使館では、
オンライン申請のシステムを使って即日交付できます。
そのほかの拠点では、1週間前後かかる見込みです。
※発行進捗によっては、
 即日発行とならない場合もありますが、
 その場合でも郵送受領が可能です。


④必要書類
家族関係登録事項証明書交付申請書
のほか、
身分証明書類
韓国の本籍地がわかる書類
昔の戸籍関係がわかる書類

などを提出します。

<家族関係登録事項証明書交付申請書>


このほかにも、申請時点で
わかり得る戸籍関係の情報がある場合は、
合わせて提出した方がよいでしょう。
※申請者が独身か、所帯者であるかによって、
 確認されるべき身分証明書類の範囲が変わります。
※申請書への記載は、日本語でもOKです。


もしも申請者が、
すでに日本に帰化して、
韓国に自分の戸籍がない場合は、
提出書類が増えます。

ちなみに、
帰化や相続の際は、
両親の間に何人の子がいるのか、
そのうち申請者は何番目の子にあたるかを
確定するために必要となります。
そのため、
申請者に関わる方の生まれてから現在まで
すべての除籍簿を確認する必要があります。
(帰化:申請者の両親、相続:亡くなった方など)

⑤申請のながれ
次のながれで、
証明書や除籍簿の交付申請をおこないます。
①韓国大使館へ申請
②韓国大使館発行の受付票を受領
③受付票と引き換えに証明書や除籍簿を受領

となります。

交付申請は
直接来館または申請書類の郵送
のいずれかによって
おこなうことができます。
※東京・大阪・福岡の韓国領事館では、
 申請データのオンラインシステムを通して、
 登録事項別証明書の即日交付が可能です。

※現在は新型コロナウイルス感染症の影響により
 WEB予約申請の対応が優先となっています。





【手続きが複雑な戸籍確認】

韓国の戸籍情報を取得すること自体は、
難しくはなく、
一般の方であっても対応は可能です。

ただし、
相続や帰化など、
取得が必要なシチュエーションで、
戸籍をたどった結果、
複数の戸籍が必要となる場合が多いです。

その結果、
確認すべき戸籍の数が増える分、
書類の見方や取得方法が複雑
となります。
場合によっては、
特殊な書類が必要になる可能性もあります

確認すべき情報が不足している場合は、
申請手続きがスムーズにいかないため、
何度も領事館とコンタクトをとらなければならず

時間と労力がかかってしまいます。
その場合は、
私たち行政書士のような専門家に、
1度ご相談いただくことをおすすめします。

WINDS行政書士事務所は、
代表行政書士自身が、国籍変更や帰化の経験があり、
戸籍事情についてもノウハウを熟知しております。
申請者さまのご事情に合わせながら、
申請のながれや必要書類についても詳しくご説明差し上げます。
どうぞお気軽にご相談ください。