コラム

二重国籍者の国籍選択と手続き

2020.10.28[VISA]




【「なに人です」と言える証明=国籍】

こんにちは、西新宿の行政書士、田中良秋です。
人は、この世に生を受けてから、
性別や意志、権利を持っています。
また出生後は、国籍を取得します。

日本や世界中の国が存在し続けるためには、
領土と国民が必要です。
国籍は、
特定の国の人間=国民であるための識別であり、
その人が持つ資格であると言えます。

日本国籍の取得のしかたや
喪失する理由については、
国籍法で定められ、
国籍の取得や離脱の届出や
帰化申請による手続きがおこなわれています。
 ⇒E-Gov
 
しかし、
自分がどの国の人間であるのかは、
国の歴史経済情勢によって
変わることがあったり、
その国自体が定めることもできます。

その結果、国によっては、
2つの国籍=二重国籍を持つ
ということも、
十分あり得ることです。
※帰化については、以前のコラムでもご紹介しています。
 ご参考ください。
 ⇒
日本への帰化
 ⇒
帰化申請の許可状況


【出生地主義】

人が、国籍を取得する要素として、
出生地両親の国籍があります。
これらの要素によって取得できる
国籍の数は、原則ひとつだけです。

日本では、以下の要件を満たすことで、
日本国籍を取得します。


しかし、なかには、

その国で生まれた子どもは
自動的にその国の国籍をもらえる


というルールも存在します。
これを、出生地主義といいます。

<Library Of Congress:国別出生地主義の採用状況>
https://www.loc.gov/law/help/birthright-citizenship/global.php



出生地主義を採用している代表的な国としては、
アメリカがあげられます。
アメリカで生まれた子供は、
無条件でアメリカ国籍を取得できます。

たとえば、
アメリカ国内で
アメリカ人のお父さんと日本人のお母さん

との間に子が生まれた場合、
その子は、

日本人のお母さんから出生→日本国籍を取得OK
アメリカで生まれた→アメリカ国籍を取得OK


という2つのルールを満たし、
日本とアメリカの二重国籍が可能となります。

出生地主義とは別に、
二重国籍が認められているかについては、
国によって方針が違います。


二重国籍者であることによる
メリットとデメリットは、
以下のようなものがあげられます。

※アメリカでは、源泉徴収制度を持つ日本と違い、
 国税局の納税制度にもとづいて、
 アメリカ国民は自分自身で確定申告しなければなりません
 ⇒
こちら



【二重国籍に対するスタンス】

たとえば、日本とアメリカでは、
二重国籍者に対する考え方や必要な手続きが異なります。

<日本のスタンス>
日本政府は、
一定の期限までに二重国籍の解消を求めています

※これらの期限までに国籍の選択をしない場合、
 法務大臣から国籍選択の催告を受け、
 それでも選択しなければ、日本国籍を失うことがあります。
※国籍を選択する者15歳未満の場合は、法定代理人が手続きをおこないます。


<アメリカのスタンス>
アメリカ最高裁判所は、二重国籍を
「法律上認められている資格であって、
 両国で国民としての権利を得て、また責任を負うこととなる。」

と言及しており、
法律上は二重国籍の存在を一応認めてはいますが、
政府は二重国籍を強く支持はしていません。

理由としては、合衆国であるがゆえに、
アメリカ国民としての義務を要求する場面で、
自国の法律や制度がもうひとつの国とは違うという
リスクが大きいためです。
※たとえば、アメリカの納税義務について、
 2010年にFATCAという法律が成立しています。




【選択する国籍と手続き】

二重国籍者は、
どの国籍を選択するか
どの国で手続きをおこなうか
によって、
必要な手続きが変わります。


しかし、
仮に日本国籍の国籍選択宣言をしたとしても、
もう一方の国の制度によっては、
自動的に外国籍の国籍を喪失しないことがあります。

この場合は、
外国籍を喪失することは
努力義務
(絶対にしなければならないわけではない)

に留まります。(国籍法16条第1項)
アメリカも、自動的に国籍を喪失しない国のひとつです。



【二重国籍者の手続きは慎重に】

私自身も、現在の日本国籍を持つ前は、
国籍の選択に迫られ、

自分のこれからのライフプラン
どの国籍が自分にフィットしているのか
選択した国籍が自分にどう影響するのか


など、手続きの過程で、
本当にいろいろなことを考えました。
※以前のコラムで、
 私自身の国籍選択や帰化のエピソードをご紹介しています。
 ⇒
こちら

その一方、

生まれ、育った国や、触れてきたコミュニティ、
そして国籍は、
その人のアイデンティティを構成する大事な要素


であることも否定できません。

二重国籍者は、貴重な人財でもあり
日本や海外で活躍できる可能性は無限大である

と考えています。

二重国籍者は、
その権利は大変特別なものがある一方、
義務も決して軽くはなく
手続きに人並み以上の時間を割かれます。
また、どちらかの国籍を選択する場合でも、
手続きには両方の国の書面が必要であるため、
制度を十分に理解して準備することが大切です。

そんな人材の方々をしっかりとサポートできるよう、
WINDS行政書士事務所もしっかり対応させていただきます。