コラム

【在留生活の致命傷】外国人のオーバーステイ

2023.03.08[VISA]





【危険!外国人の「VISA切れ」】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
外国人が、
定められた在留期限を過ぎたまま
日本に在留(いわゆるオーバーステイ
すると、不法滞在者となり、
強制送還などの厳しい措置を受けてしまいます。

じつは外国人のオーバーステイは
毎年およそ7~8万件をキープしている傾向
にあり、
国でもこの事実を重く受け止め、
その取り締まりを強化しています。
実際に、当事務所も
関連するご相談、ご依頼を
多くいただいています。

<出入国在留管理庁:不法残留者数推移と割合>




外国人がVISAを適切に持たないまま、
日本にいることの影響、
またそうした状態における対応方法や、注意点
については、十分に認識したいところです。




【オーバーステイは法律違反】

外国人が持つVISAには
在留期限が定められており、
この期限までの間
日本での在留が認められています。
※永住者VISAは在留無制限です。

しかし、オーバーステイは、
外国人が
本来認められている在留期限を超えて
日本に不法在留している状態

をいいます。

この、
不法在留と呼ばれる立場の外国人は、
次の3つのカテゴリーのいずれか
に該当します。

①不法残留者
VISAの変更や期間更新などの申請をせずに
日本への在留期間経過後も
引き続き日本に在留している者。
オーバーステイはこれに該当します。

②不法入国者
有効なパスポートなしに
日本に入国する外国人を指します。
たとえば、
他人のパスポートや偽造パスポート
を使って入国
するケースです。

③不法上陸者
上陸許可を受けずに日本に上陸する外国人
を指します。
これには、
上陸許可の証印や記録なしに上陸
特例上陸許可なしに上陸

の2シチュエーションが考えられます。
※特例上陸許可とは
 船舶や航空機の乗員や乗客に対する許可で
 寄港地上陸許可、通過上陸許可、
 乗員上陸許可などがあげられます。

※②や③も法律違反者として、
 やはりオーバーステイと同じ立場
 に位置づけられます。





【オーバーステイには厳しい取り締まり】

外国人がオーバーステイとなると、
次のようにさまざまな悪影響が生じます。

①逮捕
オーバーステイは
法律違反であり、犯罪でもあり、
対するペナルティとして、
3年以下の懲役または300万円以下の罰金
が定められています。
出入国在留管理局も警察とともに
常にオーバーステイの調査をしていますので
そのままの状態で在留を続けていると
出入国在留管理局の摘発を
確実に受けることになり、
逮捕の対象となってしまいます。
オーバーステイを知っていながら
なにも対応を取らなかった関係者も
刑事上および行政上の責任

を問われます。

②社会的保証
オーバーステイした外国人は原則、
国民健康保険には加入できません。
該当する外国人がもし
病気やケガなどのトラブルとなった場合、
高額の医療費を負担
しなければならなくなります。

③外国人の在留生活
オーバーステイとなる外国人は
その事実を理由に
日本にとって望ましくない外国人
と扱われます。
その結果、原則、
強制送還または出国命令
の措置を受けることになり、
外国人が希望する在留はかなわなくなる
リスクが非常に高くなります。
これは、
在留期限が過ぎるのを気付かなかったのが
わざとでなくうっかりだったとしても
例外的に取り扱われることはありません。


ちなみに強制送還となると、
送還されてから5年間は
日本に入国できません。

もちろん、
強制送還後に日本に再入国できる
可能性はありますが、
現実的にすぐにというのは、
非常に難しくなります。
送還理由や強制送還の有無、回数など
によって、
半永久的に入国NGとなる場合から
一定期間が経過後に上陸OKとなる場合と
ケースバイケースです。

※強制送還については、
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
こちら

④在留家族の生活
オーバーステイした外国人に
外国籍の家族がいる場合、
①や③の結果、
家族にも在留が認められなくなる
リスクが高まります。
結婚や養子縁組などを考えている方にも
手続き上のハードルが高くなります。





【やさしい措置⇒出国命令】

オーバーステイによる影響の③で説明した
出国命令は、
外国人の自主的な出頭によって
要件次第で適用される制度のひとつです。
いわば、
在留特別許可がかなわないが
強制送還を免れた結果の緩和措置

と考えてよいでしょう。

通常、オーバーステイした外国人は、
出入国在留管理局にその身柄を収容され
強制送還または在留特別許可の手続き
に進みますが、
出国命令の措置を受けた場合は
局収容されずに日本から出国でき、
入国禁止期間は1年と短いものになります。
※出国命令については
 以前のコラムでくわしくご紹介しています。
 ⇒
こちら




【強制送還には在留特別許可】

オーバーステイしてしまった外国人が、
強制送還処分の決定を受けたとしても
在留特別許可を得るチャンスはあります。

在留特別許可とは、
不法滞在となった外国人の
やむを得ない事情
在留継続すべき特別な事情

などを考慮して、
日本での在留を特別に認められるものです。

日本のVISAルール上、
基準省令にフィットして、
在留目的と申請するVISAがマッチ
在留資格相当性といいます)し、
日本にとって利益になる外国人
が許可される可能性が高いです。

これらを考えると、
オーバーステイとなった
それなりの事情があったということを
国に伝え
法務大臣の裁量によって
在留の継続を特別に認めてもらう

ことをしなければなりません。

しかし、
許可を得られる外国人は、
あくまで特別な状況に置かれている
ことが求められます。
また、
オーバーステイの解消にあたっては
外国人が置かれている状況によって
難易度も変わってきます。

この申請にあたっては、
オーバーステイの
原因や状況を冷静に判断しつつ
誠意をもった対応が必要となります。
※在留特別許可が認められない場合は、
 残念ながら強制送還されることになります。
※在留特別許可については、
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
【強制送還を免れる】在留の特別許可
 【在留特別許可のカギを握る】口頭審理手続き




【オーバーステイに対する対処】

オーバーステイとなってしまった
外国人の皆さまに
まっ先に私が必ず伝えているのが、

1日でも早く
なにかしらのアクションをとるべき


ということです。

そのなにかしらのアクションの結果
どのような措置がとられるかは
そのタイミングや事実の重大性
にもよりますが、
より良い結果や可能性に近づくためには
オーバーステイに気が付いた段階で
すぐに対応すべきと考えます。

具体的にとるべきアクションについて
ピックアップしてみました。

①自主的な出頭
オーバーステイに気付いた
または自覚したタイミングで、
後に説明する
②を経たうえで、できるだけ早く
自ら出入国在留管理局に出頭する
ことをおすすめします。
出頭の際には、
帰国したいか在留したいかなど、
外国人の今後の希望を伝えましょう。

出頭によって
オーバーステイの事実が
消えるわけではありません。
不法滞在と判断され、収容されるリスク
もありますが、
必ずしも強制送還になるわけではなく、
オーバー日数が短く悪質ではない場合
また人道的な配慮の結果
在留特別許可や出国命令措置
となるチャンス

も十分あります。
オーバー日数がかさんでいくほど
外国人の在留状況は悪くなります

ので、
早めに対処しましょう。
⇒当事務所にご相談ください。

②必要な書類の準備
在留特別許可や出国命令措置
を見すえるのであれば、
必要な書類を揃えるのが絶対条件です。
①で説明した出頭までに、
できる限りの必要書類を準備しましょう。
すでに出頭した結果、収容されてしまった
という場合は、
原則30日以内(MAX60日以内)で
強制送還処分が決まってしまいます

ので、やはり、
必要書類を早急に準備、提出すれば
在留特別許可申請に間に合うでしょう。

ちなみに
提出書類によって
在留特別許可のポジティブ要素をアピール
できれば、
在留特別許可の可能性が高まります。

※在留特別許可の決め手となる
 ポジティブ要素については
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
こちら

自分で書類の準備や作成ができない
なにを揃えたらよいのかわからない

という場合は是非、
行政書士のサポートをたよってください。
⇒当事務所にご相談ください。

③オーバーステイ理由の整理
通常は在留を継続するために、
VISA期間の更新申請を
在留期限までにおこないますが、
オーバーステイすると
更新申請を受け付けてもらえなくなります。

この状況を打開するためには、
期限までに申請できなかった理由を
誠意をもって説明

しなければなりません。

国は
オーバーステイの理由を
誠実に明確に説明しない外国人を
手厚く保護してはくれません。

オーバーステイの解消や緩和のために、
オーバーステイの経緯や理由、状況を
出入国在留管理庁に
しっかりと伝える必要があります。

1番避けたいのは、
審査手続き中に
申告内容や主張する理由が二転三転すること

審査上、悪い印象を与えてしまい、
審査に大きく影響しますので、
十分に注意しましょう。
⇒当事務所にご相談ください。




【外国人の在留生活を守りたい】

たとえわざとでなかったとしても
在留期限が過ぎてしまうと
その外国人は
オーバーステイの状態になり
原則強制送還処分対象として
手続きが進められてしまいます。
オーバーステイが意図的ではなく、
申請知識やノウハウがないために
せっかく取得したVISAを失うのは
あまりにももったいないですし
その経済的、精神的負担も計り知れません。

そんな事態にならないように、
在留期限を正しく認識して在留生活を送る
ことが大切ですが、
万が一、
オーバーステイになってしまった場合は、
冷静に状況を整理しつつ、
すみやかなアクションを心掛け、
難しい局面を予想できる場合は、
信頼できる行政書士に相談して、
確実な手続きをおこないましょう。

WINDS行政書士事務所は
長年のサポート実績とノウハウを活かして
そうした外国人の皆さまの
スピーディな対応をサポートしております。
迷うときはご遠慮なく、
いつでもご連絡、ご相談ください。