コラム

【フットワークが魅力】合同会社

2022.05.25[行政書士・業務]





【自由な運営!人気の法人スタイル】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
皆さまがもし、
会社を設立しようと思うとき、
どのような形態の法人を思い浮かべますか。
圧倒的に認知度が高いのは、
株式会社ではないかと思いますが、
株式会社よりもフットワークを軽く
楽に運営したい

というリクエストをお持ちの方に
おすすめしたい法人があります。
それが、
合同会社
です。

合同会社は、
出資者がお金を出すだけでなく、
積極的に経営に関わることもできます。

この法人形態が日本に登場してから
10年以上経った今でも、
設立件数は、なお伸び続けています。


e-Stat 「登記統計 商業・法人 年次 2021年」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250002&tstat=000001012460&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000001012462

合同会社であることのメリットをいかして、
日本の有名企業でも、
外資を中心として、
合同会社となっている事例も多いです。


※西友は米企業ウォルマート社の
 子会社となっています。


合同会社の特徴や手続き方法を
事前に知っておくと、
ビジネスの構想検討に役立ち、
設立したいと思う法人形態の選択肢が
広がります。


【合同会社とは】

合同会社は、
日本国内での起業加速のため、
2006年5月施行の新会社法によって
取り入れられた法人形態です。
英語では、
Limited Liability Company
と呼ばれ、
有限責任会社という意味となります。
ビジネス上の会話でも、
LLC
と呼ぶ方も、
多いのではないでしょうか。

合同会社は、
シンプルな組織設計
設立コストがあまりかからない
法人設立におけるハードルが少ない

といった特徴があります。

また、合同会社は、
経営者と出資者が同一
有限責任社員しかいない会社
という法人スタイルです。
つまり、
会社が倒産したとき
負債が発生したときでも、
出資者は
出資額以上の負債は背負わなくてOK

ということになります。




【合同会社のメリット】

合同会社であることによって、
次のようなメリットがあります。

①低コスト
合同会社は、
出資者と経営者が同じですので、
定款の認証が必要ありません。
さらに、定款の形式を
紙ではなく電子にすれば、
定款用の収入印紙代(40,000円)がかからず
設立費用が安く済みます。
⇒当事務所にご相談ください。

設立コストを、
株式会社設立の場合と
シミュレーションしてみました。
コストパフォーマンスが良いのは、
一目瞭然ですね。


また、
役員の任期は無制限
決算公告の義務がない

といった条件が備わり、
登記や決算公告
などに必要なランニングコストが不要

です。

②自由な経営ポリシー
合同会社は、
貢献度に合わせて、
社員間で自由に利益が分配できます。
また、
組織設計も自由ですので、
株主総会などを通さない意思決定が可能
役員の任期がない
という、
フットワークの軽さも魅力です。

③法人ルールの活用
合同会社は、
法人であることから、
法人ならではのルールを最大限活用できます。
たとえば、
ルール活用のひとつとしては、
節税対策
があげられるでしょう。

個人事業主の所得税は累進課税
であるのに対して、
法人の法人税は税率が一定です。
(所得額800万円以下:22%
    800万円以上:30%、など)

また、
設立から2年間は消費税納税免除
も受けられます。

ちなみに、資金調達面では、
社債が発行できることや
出資者が有限責任であることから
自身が出資した範囲内での責任負担で済む
というメリットがあります。




【合同会社のデメリット】

①未知数の信頼性
合同会社は一般的に、
株式会社ほど認知度が高くありません。

そのため、場合によっては
取引先との契約や人材採用面でのハードル
になる可能性も
少なくないと考えられます。

②資金調達方法の制限
合同会社は、株式会社のように
株式の増資による資金調達ができません。
たとえば、
投資家から大規模な資金調達をする場面
が想定されるときは注意が必要となります。

③社員同士の対立
メリットの②番目にあげた、
社員間での自由に利益分配は、
社員間でのもめご
の原因にもなりかねません。
こうした対立は、
会社の意思決定を停滞させてしまう可能性
もあります。



【合同会社にフィットする事業者】

合同会社の設立がおすすめできる
と、私が考える3パターンの事業者を
ピックアップしてみました。

①小規模事業者
スピーディな意思決定、
また利益分配の自由度も高く、
おひとりまたは少数規模のビジネスであれば、
合同会社のメリットが高まるでしょう。

②一般消費者向けサービス事業者
社会的信用面においては
株式会社より劣るものの、
お客さまが法人ではなく、
一般の方中心である
BtoCのビジネスであったり、
個人や組織として
資産よりも能力を活かした事業を展開
するのであれば、
このデメリットはほとんど関係ないでしょう。
たとえば、
ITサービス
アロママッサージ
英会話教室
ペットショップ

など、
合同会社での設立パターンが多い
フィールドの事業といえます。

③コストを抑えたい事業者
年商が、
消費税の納税義務の基準となる
1,000万円以上になるとき、
2年間の消費税納税免除を活用できる
など、
節税効果が期待できます。
また、
それだけ資産にかけるコストを低減
することが可能です。


【合同会社と株式会社の違い】

会社設立をご検討のお客さまから、

合同会社と株式会社のどっちを作ればいい?

というご相談を
お受けする機会がよくあります。

合同会社を設立するかどうかを
検討するときは、
株式会社と比較することで、
そのメリットやデメリットを
違う角度で確認できます。

合同会社と株式会社を比べるときは、

利益配当
出資と経営の関係
コスト


の3つを軸に着目すると、
具体的な比較がしやすいと考えます。


株式会社は、
ひと株あたりに決められた
配当にしたがって
出資者に配当を支払います

経営者は必ずしも
出資者である必要はありません。
また、社会的信用力が高いので、
融資などの資金が調達しやすい
メリットがあります。
VC(ベンチャーキャピタル)などからの
資金調達を頼らないで事業拡大を考えていたり、
採用を進めたりする場合は、
株式会社を選ぶメリットが高いでしょう。

対して合同会社は、
株式の発行がありません。
たとえば、
出資額は少なくても、
それ以外の要素で会社に貢献した人に
多くの利益を分配してあげたい
など、
出資の割合に関係なく
定款で自由に利益配分方法を設定できます。

議決権についても同じ考え方で、
出資額に関わらず
社員は平等に議決権を持つことができます。

経営者に関しては
出資者でなければなりません。
設立費用に関しては、
株式会社に比べて低コストで済みます。

事業者さまがスタートアップ時点で
法人スタイルを検討される場合、

将来、事業拡大や上場を
ターゲットにしているのであれば

株式会社

スモールビジネスやベンチャービジネス
を大切に考えていくのであれば

合同会社


という観点で
検討されるとよいかもしれません。
※合同会社から株式会社への
 組織変更は可能です。

⇒当事務所までご相談ください。




【合同会社設立の手続き】

合同会社の設立は、
いくつかの手順をふんでおこないます。

①設立項目の決定
合同会社設立にあたっての
必要項目を事前に決めていきます。


一般建設業の許認可の場合は、
 自己資本が500万円以上ないと
 許可を受けられません。

 e-Stat:登記の種類別・資本金階級別 会社の資本金の額の変動の件数及び金額

②会社印の準備
法人設立制度上、会社の印鑑届は任意です。
ただ、現状としては、
金融機関から印鑑証明書を求められる機会
がまだまだ多く見受けられます。
登記、金融機関口座の開設
に備えて、
①と並行して
会社の実印を準備しておきましょう。

③定款の作成
①が決まったら、定款を作成します。
合同会社は株式会社ではないため、
株主や機関設計、株式の譲渡制限などは
定款に記載する必要はなく、
決算公告義務もないので、
比較的シンプルな記載構成となります。
※定款の作成や認証については、
以前のコラムでもご紹介しています。

こちら
 定款の作成については、
 当事務所までご相談ください。

※合同会社は、定款の認証不要です。

④資本金の払込み
法人設立登記上、
資本金の払い込みが必要となります。
②が済み次第、
出資金を発起人の個人口座へ振り込むか、
入金
します。
出資金が入金されたら、
自社で払込証明書を作成します。
資本金額が1,000万円以上の場合は、
 設立1年目から消費税の納税義務が発生
します。


⑤法人設立登記
②③④を経て準備した各書類をもとに、
本店所在地を管轄する法務局で
登記申請をおこないます。
この登記によって
晴れて合同会社の設立が完了します。

⑥設立完了後の手続き
⑤の後は、
口座開設
法人設立届出
青色申告承認申請
印鑑証明手続き
給与支払事務所開設届出
社保・労保手続き

など、
会社の規模や会計・組織スタイルにしたがって
必要な手続きを適宜おこないます。


【合同会社の類似組織=LLP】

合同会社の英語表記=LLCと
非常に似た名称、組織として
LLP
というスタイルが存在します。

LLPは、
Limited Liability Partnershipの略で、
有限責任事業組合を指します。

LLPも合同会社と同様、
組織契約で組織のルールを
柔軟に決めることができます。


合同会社との1番の違いとしては、
法人格がない
ことです。
法人格を持たないので、
法人税などが課せられない
というメリットがある反面、
行政への許認可や補助金申請で制限がある
ことや、
株式会社への組織変更ができない
といったデメリットもあります。

LLPは、
すでにビジネスを始めている個人事業主が
数名で新事業をおこないたいとき
法人を設立した方が
新規プロジェクトに乗り出すとき

など、
ハイリスク。ハイリターン事業で
事業リスクを回避するために設立

するケースが多いです。




【自分に向いている法人は合同会社?それとも?】

合同会社は、法人であり、
幅広いメリットがありますが、
株式会社とは異なる特徴があります。

起業しようとするとき
個人事業主からの法人化を検討するとき、
ご自身の事業にフィットする法人スタイル
をチェックのうえ、
合同会社を選択肢のひとつとして、
検討してみてください。

WINDS行政書士事務所でも、
法人設立において、
スタートアップからビジネスの波に乗れるよう
しっかりとサポートさせていただきます。
是非、ご相談ください。