コラム

【充実の救済ルール!!】事業再構築補助金3次募集

2021.08.04[事業支援]





【さらに充実した制度内容に進化】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

そのサポート規模から、
全国の事業者さまより
大きな注目を浴びている補助制度、
事業再構築補助金

現在、第2次募集までの申請受付が終了し、
この夏いよいよ、
第3次募集の申請受付が開始されました。

新たな公募受付がスタートし、
公募要領の骨子自体は、
大きく変更はしていませんが、
第2次募集までにはなかった、
要件の緩和ともとれるような
救済ルールが確認されています。




【第3次募集の制度概要】

事業再構築補助金とは、
新型コロナウイルス感染症の影響によって
需要や売上の回復が難しいなか、
新規事業分野への進出等の
新分野展開、業態転換、事業再編など
に取り組む中小事業者をサポートする
補助金
です。
※事業再構築指針や
 制度詳細、よくある質問についても、
 コラムでご紹介しています。
 ⇒
事業再構築補助金
 【事業再構築補助金】よくある質問
 ⇒
【事業再構築補助金】事業再構築指針
 ⇒
【1次募集から進化!】事業再構築補助金2次募集
 ⇒
【事業再構築補助金】初回公募の採択発表

気になる
第3次募集の申請スケジュールですが、
7月30日、以下のとおり公開されました。



第3次募集の大きな特徴はふたつあります。

ひとつは、
今まで第2次募集まであった4枠に加え、
新たに2つの申請枠が加わった
ことです。



新設された
最低賃金枠と大規模賃金引上枠
という2つの申請枠は、
最低賃金の引上げに向けて、
賃上げの前提となる
生産性向上を図るためのサポート対策

となります。

もうひとつは、
2次募集までとられていたルールの継続が決定
したことです。

たとえば、
緊急事態宣言特別枠は、
第2次募集の公募要領では
第2次募集かぎりで終了を予定

と発表されていました
が、
第3回募集でも、そのまま運用する
ことになりました。

あくまで行政書士としての推測ですが、
補助金の特別枠分の予算が十分に消化がされず
さらに、
新型コロナ感染拡大による
緊急事態宣言の取り組みが
続く現状を最大限考慮された

のではないかと考えられます。

ただし、
第3回公募要領では、

「緊急事態宣言特別枠については、
 予算に限りがあり、
 今回の公募で終了する可能性がございますので、
 申請を検討されている方はご注意ください。」


との案内が出ていました。

緊急事態宣言特別枠は、
仮にこの枠が不採択となっても、
通常枠にまわって再審査をしてもらえる

ので、申請者にとって、
このルールの継続は非常にメリットが大きい
と考えます。

事前着手承認制度は、第2回公募要領で、

「第3回公募以降では、
 対象期間の運用について
 見直しを行う場合があります」


と告知されていましたが、
第3次募集でも、
対象期間の運用に見直しはなく、

以下のとおりとなります。



ただし、
第3回公募要領では、

「第4回以降の取扱いについては、
 今後の状況等を踏まえて判断のうえ、
 取り扱いを変更する場合には
 事前にお知らせします。」


との案内が出ていますので、
事前着手承認制度の利用も
検討に入れる場合は、
できるだけ今回の公募で申請を完了する

ことをおすすめします。



【第3次募集からの変更点】
第3次募集からの公募要領では、
次の6つの変更点があります。
いずれの点も、
最低賃金引上げを踏まえた見直し
が多く感じます。

変更点1⃣最低賃金枠の新設
まず、
最低賃金枠
という申請枠が新設されました。
この申請枠は、
最低賃金引上げの影響を受けて、
その原資の確保が困難な
特に業況の厳しい事業者が
取り組む事業再構築を
サポート
するものです。

最低賃金枠を採用することのメリットは、
次の3点です。


補助率が上がるうえに、
採択率も優遇される。
まさに、
新しい形での特別申請枠
といえるのではないでしょうか。

補助金額と補助率、要件は
次のとおりです。




※補助事業実施期間や補助対象経費は、
 通常枠と同じです。


変更点2⃣大規模賃金引上枠の新設
変更点の2つめは、
申請枠として大規模賃金引上枠が新設
されたことです。

この申請枠は、
たくさんのスタッフを雇用しながら、
継続的な賃金引上げに取り組み、
さらにスタッフを増やしながら
生産性を向上させる

事業者の業態スイッチをサポート
するものです。
すべての募集回で、TOTAL150社限定
となります。



要件と補助金額と補助率は以下のとおりです。





変更点3⃣通常枠の補助上限額
3つめの変更点は、
通常枠のスタッフ数51名以上の場合の
補助上限額が、

6,000万円から8,000万円
へ引き上げられた

ことです。

これも、変更点①と同様、
最低賃金の引上げの負担が大きい
スタッフ数の多い事業者への配慮

とされています。



変更点4⃣10%売上ダウン要件の対象期間
変更点の4つめとして、
売上高10%ダウン要件の対象期間が、
「2020年10月以降」
から

「2020年4月以降」に拡大
しました。

これをうけて、
申請に必須の要件のひとつが、
a)b)のように定義しなおされました。

また、
売上高10%ダウン要件
を満たさない場合
であっても、
c)d)の2項目を満たすことで
申請可能となりました。



これは、
売上は増えたものの、
利益が圧迫され業況が厳しい事業者に対する救済策

とされます。
※付加価値額とは、
 営業利益+人件費+減価償却費
 と定義されています。


変更点5⃣新規性の判定時期
変更点5つめとして、
事業再構築補助金を活用して
新たに取り組む事業の
「新規性」の判定時期が、
「過去に」
から

「コロナ前」に変更
されました。

これは、
7月30日に更新版として公表された
事業再構築指針の手引きにて、
「新規性」の定義として
以下のとおり、
赤文字の箇所が、
新たな文言として追加されたことによります。

【注】「新規性」とは、
事業再構築に取り組む
中小企業等自身にとっての新規性であり、
世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。
2020年4月以降に
新たに取り組んでいる事業について、
「新規性」を有するものとみなします。


変更点6⃣早期申請による救済
第3回公募要領では、
次の項目が追加されています。

申請期限に余裕を持って
 申請完了
されたもののうち、
 形式的な不備等により、
 申請要件を満たさなかった事業者に対しては、
 申請締切り前にその旨を通知し、
 再度申請することを可能とします。

 具体的な日程については
 別途事務局HPを通じてお知らせいたします。」

これは、
「形式的な不備はお知らせしますので、
 再度申請してください」

という、
比較的親切なアプローチを示すものです。

ほかの補助金制度では、
あまり見られない傾向のものですが、
初回公募結果で見受けられた
「応募の1割が要件満たさなかった」
状況を受けての、事務局側の対応
となります。
※初回公募の結果については、
 以前のコラムでもご紹介しています。
 ⇒【事業再構築補助金】初回公募の採択発表


補助金の申請においては、
書類不備などがないことがのぞましいのですが、
事業者のケアレスミスによって
補助金交付ロスの発生を防ぐという観点でも、
非常にありがたいルールといえますね。


【新要領の変更点や特徴を把握して早期申請を】

今回ご紹介しましたように、
第3次募集とともに公表された
新たな公募要領は、
申請類型の新設やルールの緩和など、
事業者の皆さまにとって、
さらに充実した補助内容となりました。

これから申請を検討している
前回募集からのリベンジ申請を果たしたい


そんな事業者の皆さまに、
今回の要領の内容を十分に把握され、
早めの申請をされることを、
おすすめします。

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