コラム

農地の取り扱い

2020.10.07[行政書士・業務]




【農地の取り扱い方】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
私たちの毎日の食糧を作る、田んぼや畑といった農地。
この農地を、

相続財産としてゆずり受けたが他の人に売りたい
持て余しているので知り合いに貸したい
コンクリートを敷いて駐車場や建物を作りたい


などの理由で、
地主さまやオーナーさまが
取り扱いの変更を検討される場合があります。

しかし、
農地が各自の都合だけで勝手に売られたり、
他の目的に使われてしまうと、
国内の食糧供給に大きな影響が出てしまい、
国民の健康にも関わる大問題に発展します


このため日本では、
「農地法」という法律によって、
農地を簡単に売ったり、
他のものに変えたりできないよう、
取り締まりがされています。


【農地法の取り締まり】

「農地法」で取り締まりの対象となる農地は、
登記簿上、田んぼや畑地となっているものです。
また、宅地であったとしても、
外見上、田んぼに見える土地で認められれば、
農地として扱われます。

農地に対する取り締まりの対象行為は、
「農地法」の条文別に分類することができます。

①「売却」「貸与」は第3条!
農地法第3条では、
自分の農地を売ったり貸したりすることを
規制しています。
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。

②「転用」は第4条!
農地法第4条では、
自分の農地を農地以外のものにすることを
規制しています。
農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。

③「売却後の転用」は第5条!
農地法第5条では、
自分の農地を農地以外にするときに
権利の設置や移転を伴うことを規制しています。
※不動産屋などに農地を売って店舗や住宅として使う場合など
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。



【申請と区域別の取り締まり】

ご紹介した規制をもって、
農地の取り締まりが運用されていますが、
住宅を建てたり、別の土地として活用するなど、
どうしてもその農地を変えたい場合は、
行政庁に対して、
農地転用許可申請をすることで、
それがかなえられる場合があります。

面積が4haまでの農地を対象とした
転用許可申請は、
都道府県知事に対しておこないます。
その場合、
標準処理期間は、6週間前後です。

面積が4haを超える農地を対象とした
転用許可申請は、

農林水産大臣に対しておこないます。
標準処理期間は、12週間前後です。

これらの規定や許可要件に違反した者
違反の転用について工事を請け負った者
偽りその他不正手段で許可を受けた者は、


3年以下の懲役または300万円以下の罰金
法人は1億円以下の罰金


が科せられるなど、
農地法において、
非常に厳しい罰則が科せられています。
※違反して転用した農地は、原状回復義務も発生します。
 ⇒許可を得ないで住宅地に転用した場合、
  その住宅を取り壊して元の農地に戻してから
  再申請が必要となります。



【農地転用が認められにくい地域がある】

農地転用居申請に対しては、
許可が得られやすい地域と、そうでない地域が存在します。

<市街化区域>
すでに市街地としてさかえていて、
これからも活性化させていきたいと
考えられている区域
を言います。
そのため、農地よりも、
店舗や住宅や駐車場を増やていくという区域です。
市街化区域での農地転用においては、
届出で済みます許可は不要

<市街化調整区域>
農地を守るため、勝手に市街化されることを
行政が調整して抑えていくことを考えられている区域です。
市街化区域とは反対に、
市街化調整区域での農地転用においては、
行政の担当官が納得できる理由の説明が必要
です。

また、以下のように、
農地としての優良度や条件によって、
転用を認めるかどうかの農地のボーダーラインも
設定されています。




【農地における許可は慎重に】

私たちの命の源にもなっている農地は、
地域の発展や進化と共存しながら存在しています。
この農地が、相続手続きや、売買などの契約ごとに
課題となる場面は多くあります。

その際、有効に農地を取り扱い、
適切に管理をしていくためには、
農地における制度を正しく理解しなければなりません。

農地の販売や転用は、頻繁に発生するものでもなく、
また手続きが複雑で、
揃えるべき書類もたくさんあるため、
一般の皆さまが単独では、
手続きの進め方がわからない
スムーズに進められない

というご意見もよくお伺いします。

そのような場合でも、
WINDS行政書士事務所がきめ細かく丁寧に
お客さまの申請や契約ごとのサポートをさせていただきます。
どうぞいつでもご相談ください。