コラム

各種施設の受動喫煙防止対策

2019.12.04[風俗営業法]



【喫煙行為に対する措置の強化】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

2020年東京オリンピックの開催が間近に迫り、
よりクリーンな環境での競技の実施、観戦体制作りが行われています。

喫煙行為に対する措置も、そのひとつ。
昨今は、公共施設や野外、また飲食店や遊技場にも広く影響が及び、
喫煙ができる場所も目に見えて減ってきている印象を受けます。

最寄りのカフェ、また皆さまの職場。
数年前と比べると簡単に喫煙できる場所を探すのも大変になった。
おたばこを吸われている方で、そういうお声もちらほらお伺いします。
皆さまのまわりでは、いかがでしょうか。

この喫煙所の設置について、
東京都内の各種施設で対応すべき事項が定められていますので、ご紹介いたします。



【東京都の「受動喫煙防止対策」】

2018年6月、東京都議会にて「東京都受動喫煙防止条例」が可決、
2019年1月1日より施行されています。
また、2018年7月、「健康増進法」が改正されました。
これら法令により、東京都は「健康ファースト」の名のもとに、
たくさんの方々が利用する施設等においての喫煙の禁止が掲げられ、
喫煙条件に関しても、施設ごとに、

 敷地内禁煙
 原則屋内禁煙


に区別がされることになりました。

これら法令に基づき、
東京都内の各種施設は、以下の対応義務が定められました。

 要件に該当する施設の、喫煙器具や設備の撤去
 要件に該当する施設の、喫煙所の設置
 施設内での喫煙室等の標識の設置


 ※東京都福祉保健局: 東京都受動喫煙防止条例について
  www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/tokyo/kangaekata_public.html

このルールはすでに段階的な適用が開始されており、
2020年4月には、すべての条項が施行となります。

各喫煙要件に該当する施設は、以下の図のようにカテゴリー分けされます。


原則屋内禁煙対応のカテゴリーとなる施設に関しては、
以下の場所で限り、
施設等の管理権原者が標識を掲示すれば、喫煙することができます。

 喫煙専用室 喫煙のみを目的として作られ、受動喫煙を防止するスペース。
       飲食はできません。
 喫煙可能室 受動喫煙の防止するスペース。飲食は可能です。
       従業員の設置は認められません。
 
指定たばこ専用喫煙室 加熱式たばこ(アイコス、グロー、プルームテックなど)をはじ
            めとした、「当該たばこから発生した煙が他人の健康を損なうお
            それが明らかでないたばこ」として、厚生労働大臣が指定するも
            のを喫煙するスペース。


  • 【法令に違反した場合は?】

    法律や条例に違反した場合は、
    それぞれのケースに応じて、行政処分として過料が規定されています。
    具体例を挙げてみたいと思います。

    <条例違反>
    従業員がいないことを証明する書類(確定申告、住民票等)がなかった⇒2万円以下
    立入審査を拒否した、妨げた⇒
    2万円以下
    喫煙禁止場所であるにも関わらず喫煙者がいて、退出命令に従わない⇒
    3万円以下
    喫煙可能室設置施設で、従業員を配置し、灰皿等置いていた⇒
    5万円以下

    <法律違反>

    個人が喫煙禁止場所にて喫煙をしていた⇒30万円以下
    法人が喫煙スペースを設置せず、灰皿のみ置いていた⇒
    50万円以下
    =条例違反の10倍!!
    ※刑事罰である「罰金」ではなく、行政処分としての「過料」となることにご注意ください。



    【全面施行に対する救済制度】
現在は2019年12月。
全面施行まですでに6か月をきっています。

残りおよそ5か月で喫煙専用室などの設置対応を行うことは、現実的に難しい。
飲食店を経営され、まだ対応をされていない個人事業主・中小企業の方で、
そう思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これに対して、
一定の要件を満たせばご利用可能な制度もございますので、ご紹介いたします。

<その① 経過措置>
一部の飲食店は、一定の要件を満たす場合、経過措置が認められています。
※経過措置期限は定められていませんが、
 措置の再検討や見直しには「5年」を目安とする場合も多いです。


<その② 補助金>
東京都内の宿泊施設や中小飲食店の場合は、その規模や設備要件に応じて、
400万円を限度額とし、補助率最高10分の9まで、補助金を受けることが可能です。



【皆さまのお店はどの対応義務が必要ですか?】


「去年オープンしたうちの飲食店はどの対応カテゴリーになるの?」
「うちのお店はまだ対応していないけど、経過措置は使えるの?」
「施設の中で、この場所にこの材質で、喫煙室と標識を設置しても、問題ないの?」
「喫煙可能室を設置するために、うちの施設でも補助金は受けられるかな?」


受動喫煙防止対策におけるいろいろなご不明点や対応策につきまして、
WINDS行政書士事務所にて、より詳しいご説明、最適なご提案をすることが可能です。
是非お気軽にご相談ください。