コラム

【似てるけど同じ?違う?】番地と番と地番

2024.01.24[日々のあれこれ]




【住所に付いているいろいろな番号】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

日常生活やビジネスにおいて、
手続きや申込みなどで住所を求められるとき、
私たちは自分や相手の住所を確認する機会
がよくあります。
そのときにチェックすべき項目は
市区町村のほか、
なん丁目、なん番地
といった番号でしょう。
これらの番号は、
番地、また地番
などに分けられます。

普段何気なく使い、
目に、耳にする、これらの表現ですが、
実は国や法律のルールに基づいて、
まったく違う意味を持つことは
ご存じでしょうか。

それぞれの意味や根拠ルール、使用場面など、
掘り下げると少々マニアック
にもなりますが、
覚えておくと非常に便利です。




【土地の番号:地番】

まず、
従来から住所を示す番号のひとつに、
地番があります。

地番は以前より、
法務局(登記所)のルールに基づいて
土地に対してナンバリングされており、
国では
日本の不動産をこの番号で管理されており、
これを利用して
不動産登記徴税の処理に使われています。

一方、
地番が付けられていない土地
もあります。
これらの土地は、
誰にも所有されていない=未登録で
登記や納税が不要のもの

たとえば、
道路や河川・水路、河川敷、鉄道敷
などの官有地や国有地

などが該当します。
※国有地などのなかには、
 このケースに含まれず、
 広大な区画をひとつの地番管理する
 場合もあります。


地番が付けられた土地は、
一筆、二筆とカウントされます。
※相続などにともなって 
 複数の地番をまとめる合筆
 ひとつの地番を分割する分筆
 というルールもあります。


こうした用途から、
地番は一般的な地図には記載されていない
ことが注意点として挙げられます。
そのため地番は、
次のようなツールで調べることができます。






【住居表示:番地or番、号】

昔はの住所表示には
慣習的に地番が使われていました。
たとえば、
当事務所の住所を地番ベースで示すと、

東京都新宿区西新宿17番地14

となり、〇丁目が抜ける形となります。

しかしこの地番ベースの住所は
あくまで土地にちなんだ表示ですので、
町同士の境界と
道路などの物理的なボーダーラインとが
必ずしも一致しない
ことが多くありました。
また、
相続などによって分筆や合筆が繰り返され、
その土地の地番が
どの場所を指すのか特定が難しい

という場面もありました。
このままでは、
郵便配達などがされにくくなるなど、
日常生活やビジネスに悪影響
が出てしまいますね。

これを受けて市街地のルールは整備され、
1962年5月10日に施工された
住居表示法による住居表示
が定められました。
この制度に基づいて設定されたのが、
街区符号(=番)、住居番号(=号)
です。

住居表示の構成としては、
市区町村名+街区符号+住居番号
または
道路名+住居番号
となります。
つまり、土地を基にした地番ではなく、
建物を基にした住所が設定された
ことになり、
現在では住所が特定しやすくなる
など、
この住居表示によるメリットは大きいです。


住居表示上の「〇丁目」には、
 アラビア数字が使われます。


私たちが実際に住んでいる住所も、
登記や住民登録で
住所の構成に
「番地」と「番」のどちらが付いているか
「号」が付いているかどうか

を見て、調べることができます。
       
住居表示は都市部を中心に導入され、
政令指定都市では
京都府京都市以外で採用されています。

一方、
農村部や昔からの住宅地などで、
古くから住居表示が未実施のエリア

もまだあります。
これらのエリアでは、
引き続き地番ベースの住所表記
が使われています。

ちなみに住居表示は
最初から国や自治体が設定するわけではなく、
更地に新しく家や建物が建てられた際に、
自治体に住居表示を申請
しなければなりません。
この申請が受理されることによって、
自治体は現場の玄関の位置を実地確認し、
住居表示に必要な
市区町村名、街区番号、住居番号
を採番、設定します。

私たちの住居表示は
次のようなツールで調べることができます。






【ハイフン表示で意味が変わる?】

ちなみに、
こうした住居表示に合わせて
次のように住居表示を
「-」(ハイフン)で簡略化
したような表現も多く見られます。

東京都新宿区西新宿
7-17-14-〇〇〇(部屋番号)

実はこのハイフン表示にも、
住居表示と地番の住所で意味が異なります。

〇号という住居番号は、
日本では街区方式というメインルール
に沿って採番されています。
街区とは、
道路、河川、鉄道などに囲まれた一定エリア
を示し、これらのエリアに
〇番という街区符号が付けると、
〇番街区と設定され、
さらにその街区にある建物に
〇号という住居番号が付けられます。

<街区符号の採番>


<街区番号の採番>


※街区符号は、1番街区を起点として、
 隣の街区が連続するように
 千鳥蛇行式に採番されています。
※都内23区内の1番街区は、
 皇居の方角が街区の起点となります。

 新宿区:住居表示実施基準

ここまでで
建物のための符号や記号が設定されたうえで、
さらに今度は
各建物に対する号番号が付けられます。
この号番号は、
街区を囲む道路を
5~10メートルの間隔(フロンテージ)に区切り、
時計回りに基礎番号を採番し、
建物の入り口に面する基礎番号が、
その建物の住所になります。

※住居番号の起点となる方角は
 各市区町村で定められています。
 新宿区:住居表示実施基準

これで、

新宿区西新宿7丁目17番14号
という住所にあるこの建物は、
西新宿7丁目17番14号の〇番街区の建物で
その入口は
〇個目のフロンテージに面している

ということが特定されます。

建物の入口が分かるということは、
たとえば
郵便物や宅配便を
住居番号の順番に配達すれば効率的

に進むのかもしれないですね。

場所によっては
複数の建物が
この街区方式のルールで決められた
同じ住所になってしまう
ということもあり得ます。
この場合は、
表札の設置や追加の枝番採番
などして対応することになります。
※地番の場合、
 枝番の採番可否は自治体によって異なります。




【地番と住所の活用シチュエーション】

地番と住居表示の違いとして、
使用場面が挙げられます。



このなかで、
私たちが日常生活に活用するものは
住居表示の方が多いと考えられます。
ただし、
住居表示が未反映のエリアや土地の登記
などに対する万が一の備えとして
地番も知っておくと便利です。

ちなみに、
同じ住所だと思っても、よくよく調べたら
地番と住居表示が全然違う

という場合もよくあります。
市区町村が住所ではなく、
地番のままであってとしても
登記目的上問題ないと判断されている場合は
地番のままの住所表示となります。


【本籍地は地番?住所?】

許認可申請や、
帰化許可後の設定項目のひとつに、
本籍地情報がありますが、
これは、
地番ベースと住居表示ベース、
どちらの方法でも使うことができ、
本籍地の設定においても、
日本国内であればどこにでも可能
となっています。




【改めてハッとする!住所の表記】

住所は、
建物や施設の場所を示しています。
そしてその住所を構成する要素として
地番は土地の場所や権利の範囲を示す番号
住居表示の番地(番)や号は
建物の場所の識別番号
となっています。
※地番ベースでも
 住所として成立する場合もあります。

これらの違いから、
活用場面や調べる方法もさまざまですが、
こうした情報を頭にインプットしながら
皆さまのお住まいを改めて確認すると、
思わぬ気付きを得られ、
興味深く感じられると思います。
是非、日常生活やビジネスにご活用ください。