【似てるけど同じ?違う?】番地と番と地番
2024.01.24[日々のあれこれ]
![](/files/user/202401191330_1-418x266.jpg)
【住所に付いているいろいろな番号】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日常生活やビジネスにおいて、
手続きや申込みなどで住所を求められるとき、
私たちは自分や相手の住所を確認する機会
がよくあります。
そのときにチェックすべき項目は
市区町村のほか、
なん丁目、なん番地
といった番号でしょう。
これらの番号は、
番地や番、また地番
などに分けられます。
普段何気なく使い、
目に、耳にする、これらの表現ですが、
実は国や法律のルールに基づいて、
まったく違う意味を持つことは
ご存じでしょうか。
それぞれの意味や根拠ルール、使用場面など、
掘り下げると少々マニアック
にもなりますが、
覚えておくと非常に便利です。
![](/files/user/202401191330_2-419x226.jpg)
【土地の番号:地番】
まず、
従来から住所を示す番号のひとつに、
地番があります。
地番は以前より、
法務局(登記所)のルールに基づいて
土地に対してナンバリングされており、
国では
日本の不動産をこの番号で管理されており、
これを利用して
不動産登記や徴税の処理に使われています。
一方、
地番が付けられていない土地
もあります。
これらの土地は、
誰にも所有されていない=未登録で
登記や納税が不要のもの
たとえば、
道路や河川・水路、河川敷、鉄道敷
などの官有地や国有地
などが該当します。
※国有地などのなかには、
このケースに含まれず、
広大な区画をひとつの地番管理する
場合もあります。
地番が付けられた土地は、
一筆、二筆とカウントされます。
※相続などにともなって
複数の地番をまとめる合筆
ひとつの地番を分割する分筆
というルールもあります。
こうした用途から、
地番は一般的な地図には記載されていない
ことが注意点として挙げられます。
そのため地番は、
次のようなツールで調べることができます。
![](/files/user/202401191244_1-410x269.png)
![](/files/user/202401191330_3-414x297.jpg)
【住居表示:番地or番、号】
昔はの住所表示には
慣習的に地番が使われていました。
たとえば、
当事務所の住所を地番ベースで示すと、
東京都新宿区西新宿17番地14
となり、〇丁目が抜ける形となります。
しかしこの地番ベースの住所は
あくまで土地にちなんだ表示ですので、
町同士の境界と
道路などの物理的なボーダーラインとが
必ずしも一致しないことが多くありました。
また、
相続などによって分筆や合筆が繰り返され、
その土地の地番が
どの場所を指すのか特定が難しい
という場面もありました。
このままでは、
郵便配達などがされにくくなるなど、
日常生活やビジネスに悪影響
が出てしまいますね。
これを受けて市街地のルールは整備され、
1962年5月10日に施工された
住居表示法による住居表示
が定められました。
この制度に基づいて設定されたのが、
街区符号(=番)、住居番号(=号)
です。
住居表示の構成としては、
市区町村名+街区符号+住居番号
または
道路名+住居番号
となります。
つまり、土地を基にした地番ではなく、
建物を基にした住所が設定された
ことになり、
現在では住所が特定しやすくなる
など、
この住居表示によるメリットは大きいです。
![](/files/user/202401191244_2-604x312.png)
※住居表示上の「〇丁目」には、
アラビア数字が使われます。
私たちが実際に住んでいる住所も、
登記や住民登録で
住所の構成に
「番地」と「番」のどちらが付いているか
「号」が付いているかどうか
を見て、調べることができます。
住居表示は都市部を中心に導入され、
政令指定都市では
京都府京都市以外で採用されています。
一方、
農村部や昔からの住宅地などで、
古くから住居表示が未実施のエリア
もまだあります。
これらのエリアでは、
引き続き地番ベースの住所表記
が使われています。
ちなみに住居表示は
最初から国や自治体が設定するわけではなく、
更地に新しく家や建物が建てられた際に、
自治体に住居表示を申請
しなければなりません。
この申請が受理されることによって、
自治体は現場の玄関の位置を実地確認し、
住居表示に必要な
市区町村名、街区番号、住居番号
を採番、設定します。
私たちの住居表示は
次のようなツールで調べることができます。
![](/files/user/202401191306_1-412x192.png)
![](/files/user/202401191330_4-300x0.jpg)
【ハイフン表示で意味が変わる?】
ちなみに、
こうした住居表示に合わせて
次のように住居表示を
「-」(ハイフン)で簡略化
したような表現も多く見られます。
東京都新宿区西新宿
7-17-14-〇〇〇(部屋番号)
実はこのハイフン表示にも、
住居表示と地番の住所で意味が異なります。
〇号という住居番号は、
日本では街区方式というメインルール
に沿って採番されています。
街区とは、
道路、河川、鉄道などに囲まれた一定エリア
を示し、これらのエリアに
〇番という街区符号が付けると、
〇番街区と設定され、
さらにその街区にある建物に
〇号という住居番号が付けられます。
<街区符号の採番>
![](/files/user/202401191306_2.png)
<街区番号の採番>
![](/files/user/202401191306_3-428x304.png)
※街区符号は、1番街区を起点として、
隣の街区が連続するように
千鳥蛇行式に採番されています。
※都内23区内の1番街区は、
皇居の方角が街区の起点となります。
⇒新宿区:住居表示実施基準
ここまでで
建物のための符号や記号が設定されたうえで、
さらに今度は
各建物に対する号番号が付けられます。
この号番号は、
街区を囲む道路を
5~10メートルの間隔(フロンテージ)に区切り、
時計回りに基礎番号を採番し、
建物の入り口に面する基礎番号が、
その建物の住所になります。
※住居番号の起点となる方角は
各市区町村で定められています。
⇒新宿区:住居表示実施基準
これで、
新宿区西新宿7丁目17番14号
という住所にあるこの建物は、
西新宿7丁目17番14号の〇番街区の建物で
その入口は
〇個目のフロンテージに面している
ということが特定されます。
建物の入口が分かるということは、
たとえば
郵便物や宅配便を
住居番号の順番に配達すれば効率的
に進むのかもしれないですね。
場所によっては
複数の建物が
この街区方式のルールで決められた
同じ住所になってしまう
ということもあり得ます。
この場合は、
表札の設置や追加の枝番採番
などして対応することになります。
※地番の場合、
枝番の採番可否は自治体によって異なります。
![](/files/user/202401191330_5-415x277.jpg)
【地番と住所の活用シチュエーション】
地番と住居表示の違いとして、
使用場面が挙げられます。
![](/files/user/202401191306_4-462x367.png)
このなかで、
私たちが日常生活に活用するものは
住居表示の方が多いと考えられます。
ただし、
住居表示が未反映のエリアや土地の登記
などに対する万が一の備えとして
地番も知っておくと便利です。
ちなみに、
同じ住所だと思っても、よくよく調べたら
地番と住居表示が全然違う
という場合もよくあります。
市区町村が住所ではなく、
地番のままであってとしても
登記目的上問題ないと判断されている場合は
地番のままの住所表示となります。
【本籍地は地番?住所?】
許認可申請や、
帰化許可後の設定項目のひとつに、
本籍地情報がありますが、
これは、
地番ベースと住居表示ベース、
どちらの方法でも使うことができ、
本籍地の設定においても、
日本国内であればどこにでも可能
となっています。
![](/files/user/202401191330_6-416x277.jpg)
【改めてハッとする!住所の表記】
住所は、
建物や施設の場所を示しています。
そしてその住所を構成する要素として
地番は土地の場所や権利の範囲を示す番号
住居表示の番地(番)や号は
建物の場所の識別番号
となっています。
※地番ベースでも
住所として成立する場合もあります。
これらの違いから、
活用場面や調べる方法もさまざまですが、
こうした情報を頭にインプットしながら
皆さまのお住まいを改めて確認すると、
思わぬ気付きを得られ、
興味深く感じられると思います。
是非、日常生活やビジネスにご活用ください。
![](/files/user/202401191330_7-420x280.jpg)