コラム

【人気急上昇】介護のしごとができるVISA

2021.12.08[VISA]




【コロナ禍でも外国人雇用が急増】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
外国人が日本で仕事をするためには、
就労VISAを取得しなければなりません。
その、就労VISAを取得するためには、
外国人自身のバックグラウンドと
仕事の内容がマッチしている必要がありますが、
どんな仕事に就くのか
ということも、決めることが大切です。

日本で外国人がもっとも選択する仕事として、
オフィスワークや通訳、ITワーク
が中心にあげられますが、
このコロナ禍でも
外国人の雇用件数が急激に伸びている
業種があります。
それが、

介護

です。

外国人が、
日本で介護の仕事をするために、
取るべきVISAはいくつかあり、
クリアしなければならない要件
もさまざまです。




【外国人の介護人材に注目する理由】

現在の日本は、
人口に占める高齢者の割合の増加=高齢化
と、
出生率の低下による若年者人口の減少=少子化
が同時進行する少子高齢化社会となっています。
その高齢化率は約10%程度上昇の見込みです。

<内閣府:高齢化の推移と将来推計より>


この状況から、
高齢者をケアする介護人材不足を補うため
外国人が介護現場で働けるように、
さまざまな施策が組まれ、

現在はかぎられたVISAを取得することにより
介護の仕事ができる運用となっています。

介護の仕事をしたい外国人は、
ライフプランやキャリアプランを見すえて
自分にフィットするVISAを選べる

ことも、
介護の仕事に人気が集まる理由
のひとつと考えます。

業種別の特定技能外国人の推移を見てみると、
このコロナ禍にありながら、
介護分野増加傾向
にあります。

<特定技能外国人数推移>


<厚生労働省:EPAに基づく介護福祉士候補外国人数推移>





【介護の職種】

介護業界の会社に入社
することを想定すると、
介護業界の職種は
そのサービス範囲や規模によって、
次のようなものがあります。

①介護士
介護業界における代表的な職種です。
お年寄りや身体が不自由な方の
掃除、洗濯などといった生活援助や、
食事、入浴、排泄、移動などの日常生活サポート
が中心とした業務をおこないます。
介護士は、資格がなくても、
一定の条件のもとで介護の仕事ができますが、
介護福祉士という国家資格を持つと、
介護現場のリーダー的な役割
に立つことができます。


②ケアマネージャー
介護サービスの利用者やご家族と
介護事業者の間に立って、
サービス利用計画を策定したり、
サービスの適切性を定期的にチェックする、
いわば、
介護サービスのコーディネーターです。
介護支援専門員
という名称でも知られており、
都道府県の認定資格が必要です。

③相談員、営業職
介護サービスを受ける利用者やご家族が
抱える悩みや相談に応じたり、
連携機関との連絡調整、手続きなどを
サポートする存在として、
相談員があります。
また、
老人ホームの入居や介護サービス利用における
自治体へのサービスの案内、
営業活動をする営業職も、
縁の下の力持ち的なポジションです。

④管理職
ホーム長、所長や理事、管理者など、
介護施設のトップにあたるポジションです。
介護施設の規模が大きくなると、
フロアリーダー・ユニットリーダーなどの
リーダー職、
職掌や部署(人事・経理・総務・企画)
も分かれてきます。

⑤ケアクラーク、フロント
ケアクラークは
介護保険制度にしたがって、
利用者の負担費用の計算や請求手続き、
国や自治体に対しても介護報酬の請求、
さらにはコミュニケーションや
老人・障害者心理、医学一般の知識
に基づいた評価をおこないます。
また、
施設によってはフロント担当が、
利用者や来訪者の対応や発注管理
などの業務を担当します。

⑥清掃・リネンスタッフ
介護施設は、
利用者が長時間過ごす場所として、
施設や個室の清掃、食事の配膳、
ベッドメイキングや片付け、
社用車での送迎など、
生活に密着したさまざまな作業を担当します。
利用者や施設の職員と接する機会も多いです。

これらの職種のなかで、
外国人が目指す傾向が高いのは、
①介護士
です。

外国人が介護士としてはたらくために
必要なVISAは、4種類あります。
要件やメリットなどをまとめてみました。


※職種②③⑤は人文知識VISA
 職種④は経営・管理VISA
 職種⑥は技能実習VISAや特定技能VISA
 がマッチします。
※各VISAについては、
 当ホームページでもご紹介しています。
 ⇒こちら


今回はこのなかの、
介護VISA
特定活動VISA

をピックアップしてご紹介します。




【介護VISAの取得】

介護VISAは、
日本の公私の機関との契約に基づいて、
日本の介護福祉士の資格をもつ外国人が
介護や介護の指導に従事できるVISAです。

超高齢化社会となった現在の日本の
高齢者の介護人材不足を補う施策の一環として
外国人を介護現場で雇用できる介護VISAが
2017年より運用されています。

介護VISAのメリットとしては、
MAX5年の在留
家族の帯同

が認められることです。
また、
ご家族自身によって
家族滞在VISAの申請

もできます。

外国人が介護VISAを取得するためには、
次の要件をクリアしなければなりません。



この中で1番大きいハードルとして、
外国人に立ちはだかるのは、
介護福祉士資格の取得
ではないでしょうか。

介護福祉士資格を得ることを前提に、
介護VISAの取得は、
3つのルートから選ぶことができます。

①養成施設ルート
留学生として来日後、
介護福祉士の養成学校で知識習得
介護福祉士の資格取得

を経て、介護VISAに変更します。
このルートが
VISA取得ルートのスタンダードと言われています。



在留中は勉強が中心となり、
国家資格の取得までフォローアップ
していく必要があるため、
介護士としての仕事に
すぐに従事することは難しい
です。

②実務経験ルート
勉強中心の①とは違って、
実務経験を活かした取得ルートです。
介護VISAの創設当初、
介護VISAを取得できるのは
①のルートをパスした外国人だけでした

が、
2020年4月からの介護VISA運用の拡大
によって、
認められるようになりました。



③福祉系高校ルート
指定された福祉系の高校での就学
を経たルートです。
②と同時に、
2020年4月から認められるようになりました。



④海外からの呼び寄せルート
①~③のルートではなく、
すでに日本の介護福祉士資格を保有して
海外に在住
する外国人
が使えるルートです。



これらのルートのうち、
①②③のルートをパスする外国人は、
次のような
特例措置がとられています。
特例措置の適用を受けるためには、

特定活動VISAに変更することが必要
となります。






【EPA特定活動VISAの活用】

外国人が日本の介護士としてはたらく
ためのもうひとつのVISAとして、
ご紹介したいのが、
特定活動VISAです。
特定活動VISAは46種類の
取得パターンがありますが、
このうち、
EPAを活用して、
介護福祉士候補者として雇用されるパターン
をとります。
※特定活動VISAについては、
 以前のコラムでもご紹介しています。
 ⇒こちら


EPAとは、
人やお金、物流、知的財産の保護
などのさまざまな分野を対象にした、
2国間または地域間の
外国との密接な経済連携協定

です。

介護VISAと比べると、
VISAの許可要件が豊富であること、
介護福祉士の資格を習得するまでの4年間と
資格習得後の3年間が
在留期間として認められる
こと
が特徴です。

ただしこの活用ができるのは、
インドネシア、フィリピン、ベトナム
の3か国
人数制限は各国300名

と限定されており、
さらに、
各国がその外国人人材を
EPA介護福祉候補者と認める
ことが必要です。
(告示特定活動16・17・21・22・28・29号)

外国人人材はいずれも、
来日後3年の実務経験を経て、
4年目に介護福祉士試験の合格を目指す
ことになります。

EPA介護福祉候補者となる要件は、
次のとおりです。
国籍によって
求められる学位や日本語能力に違いがあります。

また、
日本語研修期間中は、就労NGです。


JICWELS:EPA介護福祉士候補者受入れの手引き
候補者向け介護福祉士試験は、
 日本人が受けるものとは違い
 難解な漢字にふりがな付き、試験時間も1.5倍
 疾病名は英語併記
、と優遇されています。


EPA介護福祉候補者の受け入れ方法は、
適用できる国別に用意されている
2つのコースから選択します。
これまでの受入実績では、
 就労コースの方が圧倒的に多い
です。


いずれのコースも、最終的には、
介護福祉士の試験に合格することで、
EPA介護福祉士として就労できます。



万が一、不合格だった場合、
外国人は帰国しなければなりません

が、
在留期間の残り1年は
引き続き介護の仕事に従事し、
次の年に受験することが可能
です。


【VISAの要件をおさえて確実な申請を】

外国人が日本で
介護の仕事に携わるためには、
いろいろなVISAの選択肢があります。
特に介護VISAは、
即戦力として期待され、
メリットもたくさんあります。
VISAの種類によって、
取得要件が変わってきますので、
雇用する事業者さま側も、
要件は十分にチェックしたいところです。

WINDS行政書士事務所でも、
就労VISAの申請や要件マッチのご相談、
必要書類の整備など、
VISA申請までサポートをさせていただきます。
特にVISAに関しては
選択肢が多い分、
迷われることも多いかと思いますので、
是非、VISA申請の専門家を頼ってください。