【一体化、2枚持ち、あなたはどうする?】マイナ免許証
2024.09.25[日々のあれこれ]
【来春誕生!マイナ免許証】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
皆さまが自動車などを運転するために
携帯が必要な運転免許証ですが、
来年3月末から
お持ちのマイナンバーカードと合体し
マイナ免許証とすることが可能になります。
マイナンバーカードと言えば、
今年12月2日には健康保険証と一体化し、
以降、健康保険証は新規発行ストップ
となることで話題となっていますね。
※デジタル庁:マイナンバーカードの健康保険証利用
免許証と一体化するマイナ免許証は、
これに続くナショナルイベントとなります。
一方、
新制度であるがゆえの特徴は
私たち国民としても
気になるところではないでしょうか。
マイナ保険証ってどんなもの?
今までとどう変わる?
行政書士の目線で
メリットやデメリットも分析しつつ
この新運用制度を詳しく解説します。
【マイナ免許証ってどんなもの?】
<誕生の背景>
政府は現在、
マイナンバーカードを活用した
行政手続きのデジタル化を進めており、
実際、各許認可申請や申し込み手続きは
オンライン化が増えてきています。
そんななか、
マイナンバーカードとほかのカード類の一体化も
最優先で検討、促進されているところです。
※2022年4月には道路交通法が改正、
希望者にかぎり
マイナンバーカードに運転免許証情報を
記録できることになりました。
⇒警察庁:国民の利便性向上・負担軽減に向けた取組
※今年12月2日からは
マイナンバーカードに健康保険証の機能を
一体化したマイナ保険証の運用がスタートし、
この日以降、
健康保険証の新規発行はなくなります。
⇒厚生労働省:マイナ保険証利用
そして今年6月、
デジタル社会の実現に向けた重点計画
が閣議決定され、
政府は
2024年度末までの少しでも早い時期に
マイナンバーカードと運転免許証の一体化
しかも、
上記目標期間よりもできる限り前倒しする
という計画方針を示しています。
<運用スタート時期>
マイナンバーカードに運転免許証の一体化は
2025年3月24日スタート
とする方針が正式に決定しました。
<対象者>
運転免許証を保有し
マイナンバーカードとの一体化を希望する者
が対象となります。
現時点で
マイナ免許証は希望申告制となっており、
強制ではありませんので、
マイナ免許証を希望しない場合は
マイナンバーカードと運転免許証を別管理
=2枚持ちでもOKです。
マイナ免許証に一体化させるか
2枚持ちにするかで
免許証の更新手数料が改定
(マイナ免許証が1番オトク!)
予定となっており、
来年3月24日以降、私たちは、
マイナ免許証保有者
運転免許証保有&マイナンバーカード未発行者
マイナンバーカード&運転免許証2枚持ち者
の3者に分かれることになります。
⇒各手数料について後ほどご紹介します。
<必要な手続き>
保有するマイナンバーカードや運転免許証を
運転免許センター
または
システムが整備された警察署
に持ち込み、申し込むことで
マイナ免許証を作ることができます。
マイナ免許証として
ふたつのカードを統合することによって
運転免許証情報は
マイナンバーカードのICチップに記録され
カード間の情報がひも付けられます。
カードの表面に
有効期限を含めた免許証情報が
印字されることはありません。
<警察庁:マイナ免許証機能イメージ>
※免許証を自主返納したい場合は
ICチップから運転免許証情報だけを削除
するので、
マイナンバーカード自体は返納しません。
そうすると、
自分の免許証の更新はどうすればいいか
とドキドキしますね。
これに対して警察庁は現在、
専用の読み取りアプリケーションを開発中で、
マイナ免許証にある有効期限を読み取り確認
更新時期の事前お知らせ
といったサービスを始める予定
としています。
※免許更新時期のお知らせはがきも
従来どおり送付されます。
また、運転免許証の更新の際に
手続きする現地で更新講習の受講が
義務付けられていますが、
この運用に伴って、
講習の実施方法はオンライン
となることが計画されています。
【マイナ免許証のメリット・デメリット】
<メリット>
①役所手続きのワンストップ化
引っ越しであれば転出/転入届
結婚や離婚であれば婚姻/離婚届
など、
ライフイベントにおける役所手続き
が必要ですが、
運転免許証もそれに合わせて
後から変更手続きをしなければならず、
手間がかかるものでした。
これに対して、
マイナ免許証とすることで
役所に届出をすることで
免許証の変更手続きもまとめて完結でき、
わざわざ警察署や運転免許センターに
行く必要がなくなります。
異なる組織、システム管理されている
カード類が統合管理され
ワンストップで手続きを終えられるので
普段お仕事や家事などで忙しい毎日のなか
非常に助かりますね。
※2023年5月からは
Android携帯端末にマイナ機能を搭載する
モバイル運転免許証の運用も始まっています。
⇒デジタル庁:スマホ用電子証明書搭載サービス
②強制なく自由選択
マイナ免許証の運用スタートと同時に
国民はカード使用頻度や考え方
に合わせて
カード保有形態の3種類を選べますが、
政府はあえて希望する保有形態の選択肢を
残すよう、配慮しています。
その理由としては、
オリジナルの運転免許証が必要を迫られる運転者の存在
が挙げられます。
※フランスやイタリアなどでは、
運転の際に
日本のオリジナル運転免許証が必要です。
⇒警視庁:外国免許・国外運転免許
③免許更新講習のオンライン化
従来、運転免許の有効期限がせまると
運転免許センターに出向いて
免許更新講習を受講しなければなりません
でしたが、
マイナ免許証を保有の場合は、
更新講習をオンラインで受けることが可能です。
オンライン講習のアクセス手段は24時間自由
ですので
パソコンやタブレット、スマートフォンで
いつでも手軽に講習が受けられます。
移動や待機にあてていた時間も有効に使え、
事情や体調、予定の問題があっても
講習を受けることができます。
ただし、
更新講習は次の条件がありますので
十分注意しましょう。
※現在においても一部の自治体で
マイナ免許証要件に関係なく
オンライン更新講習の運用が試験導入
されています。
⇒千葉県
⇒北海道
⇒京都府
⇒山口県
④手数料がオトク
マイナ免許証の制度は希望選択制で
保有するカード形態によって3者に分かれる
という説明をしましたが、
この3者で、
免許証の更新手数料が異なり
実はマイナ免許証保有者が
最も安くなるよう改定される
ことが決まりました。
2025年3月24日から改定される
免許証の新規・更新手数料は
次のとおりとなります。
マイナ免許証の手数料が安いのが
一目瞭然ですね。
反対にほかのマイナ免許証以外の2形態が
値上げとなってしまう理由として、
警察庁は、
従来免許証の材料費や作成設備費
人件費の高騰など
を挙げています。
また、運転免許更新の場合は、
上記に加えて更新講習手数料を支払いますが、
有料/一般運転者が200円
(現行比較300円↓)
違反運転者が1,400円
(現行比較900円↑)
と設定される予定です。
<デメリット>
①紛失手続きの煩雑
万が一、マイナ免許証を紛失してしまった場合、
再発行の手続きをとらなければなりません。
ここで必要な手続きですが、
マイナ免許証を
そのまま再発行することができず
市区町村でマイナンバーカードの再発行
(手数料800円)
運転免許証の再発行
(手数料2,250円)
マイナ免許証として一体化
(手数料1,500円)
と、
再発行コスト4,550円をかけて
マイナ免許証にするプロセス
をふまなければなりません
ので、
マイナ免許証を持ったら
絶対になくさない
ように、気を付けたいですね。
ちなみに、
再発行時点でマイナ免許証とはせず、
2枚持ちとすることは可能です。
②不所持期間は運転NG
運転免許証の機能が備わるマイナ免許証
を紛失、盗難となると、
当然ながら運転免許を持たない状態
となり、その間は
車やバイク、電動キックボードなどを
運転することはできません。
現時点で
マイナンバーカードの再発行だけでも
1ヶ月前後
さらにマイナ免許証として一体化までに
長期間が見込まれますので、
その間運転ができなくなるのは
日常生活やビジネスに大きく影響が及ぶ
と考えられます。
③更新手続きは別々
マイナ免許証は
ふたつのカードの有効期間が統合されず
マイナンバーカード自体を更新しても
運転免許も自動的に更新されるわけではなく
マイナンバーカード(ハード)は10年
マイナ免許証は3年から5年
と有効期間のずれが発生し、
運転免許有効期間が迫ると
免許更新手続きが必要となります。
マイナ免許証の表面には
運転免許の有効期間は記載されないので
通知はがきなどで有効期間の管理をチェック
することが必要です。
また、必要な更新手続きでは
メリット③でご紹介した更新講習のほかに
写真撮影、視力検査、免許情報の書き換え
などがありますが
これらについては
オンラインでおこなうことはできず、
現行どおり警察署や運転免許センターに
出向かなければなりません。
もうひとつ、
初回更新者、違反運転者はオンライン講習NG
となっていることにも、注意しましょう。
④情報漏洩・プライバシーリスク
私が行政書士の目線で
もっとも大きな懸念と認識する点です。
マイナ免許証は、
ふたつのカード類の情報
そして私たちにとって大切な個人情報
が内蔵されるカードです。
これらの情報漏洩は、
非常に大きなデメリットです。
カード情報の漏洩は
紛失や盗難だけではなく、
統合それ自体の作業ミス
など、
本人では防ぎようのない場合もあり得ます。
漏洩にともなって不正利用のリスクが広がる
ことのダメージは計り知れないでしょう。
過去、自治体や業者ミスによる情報漏洩
のニュースも少なくなく、
万が一セキュリティ対策が
十分に取られなかった場合、
個人のプライバシー侵害が懸念される
点については反対意見も根強くあります。
※堺市職員による個人情報漏洩
※尼崎市USBメモリ情報紛失
※企業クラウドデータ漏洩の記事
※マイナ保険証情報ひも付けミスの記事
カード情報の漏洩以外でも
各カードの単独利用ができなくなるため、
マイナンバーカード、運転免許証
どちらかだけの提示でいい場面でも
提示不要の情報が含まれ、不快
プライバシー侵害の不安
を感じるという意見もあり、
今後も大きな課題と言えるでしょう。
【デジタルツールを日常生活に有効活用!】
来年3月にいよいよ制度スタートする、
マイナ免許証。
マイナ保険証に続き、
行政の強い推進によって
マイナンバーカードの活用の場は
ますます広がっていくと考えられます。
方針としては選択希望制ですので、
一体化するかどうかは任意となっていますが、
統合後には
手続きやコスト面のメリット
情報漏洩や不正利用面デメリット
をそれぞれ考慮のうえ、
ご本人自身の情報管理手段のひとつとして
十分に活用していきましょう。