コラム

【調べたら違う?!】医療法人の形態

2024.03.06[医療法人・クリニック]





【医療法人ってみんな違うの?!】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

法人が病院やクリニックを開設し
営業していくためには、
都道府県の許可を得て
医療法人を設立することが必要です。
この医療法人、じつは、
いろいろな形態・種類に分類される
ことはご存じでしょうか。
皆さまも街中で、
医療法人と名の付く呼び名を目に、耳に
することがあるのではないでしょうか。
今回は、
医療法人のパターンとその違いについて
くわしく説明しましょう。 




【医療法人の形態】

医療法人は、そのスタッフ構成や保有財産のバランスによって、
次の6種類に分けることができます。



①社団医療法人
社員によって構成される団体、
いわゆる社団が設立するスタイルです。
医療法人ルールで定義される社員
所属する従業員とは違い、
株式会社における株主に近い立場で、
法人運営を左右する権限を持ちます。

設立に必要な財産は、
個人(または法人)から拠出される
基金拠出型法人と呼ばれます。
※基金は貸付金として、拠出者に返還できます。

2023年3月現在、医療法人は
このスタイルでの設立者がほとんどです。


厚生労働省:種類別医療法人数の年次推移

社団医療法人はさらに、
持分の定めがある法人と、そうでない法人
に分けられます。

医療法人においての持分とは、
医療法人設立時に出資者が持つ財産権
を指します。 
※財産権とは、
 お金や資産のような有体物をはじめ、
 それらを直接支配する権利
 のすべてを言います。


この持分があるということは、
出資者に対して残余財産の配当行為ができる
ことをあらわしますが、
じつは現在のルールで
持分の定めが認められる医療法人は
2007年4月以前に設立された医療法人だけ

で、
持分の定めがある医療法人は
設立を認められません。

※これらの法人は、
 2007年4月1日以降、
 経過措置型医療法人として当面の間は
 解散時の配当行為が認められます
 が、
 相続税などの税制上リスクが懸念され、
 持分なしへの移行目的で
 移行計画の認定制度が存在
します。

※持分の定めなしへの移行計画は
 2020年9月までの限定とされていますが、
 特別に税制措置が講じられ、
 さらに移行へのさまざまな要件が緩和されています。


したがって、現在のルールで

設立できる医療法人は
持分の定めがない医療法人だけ

となり、
出資者に対して残余財産の配当行為NG
であることをあらわします。

②財団医療法人
社員を基に構成される①とは違い、
個人や法人からの寄附金を基にする、
いわゆる財団として設立する医療法人です。
医療法人全体で医業法人財団が占めるのは
1%未満と非常に少ないです。
設立の基となる
寄付金には、持分を定めることが認められません。

③社会医療法人 
地域医療の安定を目的として
公益性の高い事業をおこなう機関として、
2008年4月よりルール化された医療法人です。

ここでいう公益性の髙い事業とは、
次のようなものが挙げられます。



このスタイルの医療法人として
都道府県知事の認可を得るには、
次の要件を満たすことが必要です。


厚生労働省:社会医療法人の認定について

④特定医療法人
公的運営をおこない、
医療の普及向上社会福祉への貢献
そのほか公益増進に多大に寄与
が見込める医療法人です。
持分の放棄やさまざまな規制など、
次のような要件を満たすことで、
国税庁長官の認可を得ることによって
設立が認められます。



もうひとつの特徴としては、
法人税で
通常23.2%のところ、19%の軽減税率適用
といった、税制優遇があげられます。
厚生労働省:特定医療法人制度について

⑤広域医療法人
複数の都道府県にクリニックを持つ場合は、
広域医療法人と呼ばれることがあります。
ただし、このスタイルの医療法人は
オフィシャルに定義されている
わけではありません。


この理由としては、
9年前の法改正にあります。

かつて広域医療法人は、
厚生労働大臣によって認可されていましたが、
設立手続きが複雑であったこともあり、
2015年4月の法改正で
認定者が
厚生労働大臣から都道府県知事に変更

となりました。
※現在の手続き難度は
 同一県内の分院開設手続きとほぼ同程度
 となっています。 


⑥1人医師医療法人
⑤と同様、
オフィシャルに定義はされていない
設立スタイルです。

一般的な医療法人とこの医療法人は
じつは法律上同じもの
となりますが、
開設するクリニックに常勤する
医師または歯科医師が、
一般的な医療法人が3名以上
に対して
1人医師医療法人は2名以下

と異なることから、
便宜上、1人医師医療法人と
呼び分けられているに過ぎません。

医療法上は、
営利目的の医療法人設立を法人に対して、
都道府県知事は
医療法人設立の許可を
与えないことができる

と定められています。

第7条 病院を開設しようとするとき、医師法第16条の4第1項の規定による登録を受けた者及び歯科医師法第16条の4第1項の規定による登録を受けた者でない者が診療所を開設しようとするとき、又は助産師でない者が助産所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。 

(中略) 

6 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、第4項の規定にかかわらず、第1項の許可を与えないことができる。 (医療法7条)


この条文のとおり、
医療法人の認可を得られる者
病院やクリニックの開設時に
医師でない者or歯科医師でない者

となりますが、 
そもそも
個人クリニックの開設においては
この規定に該当しないため、
都道府県知事の許可が不要です。





【医療法人形態の決め手は?】

⑤と⑥というイレギュラーなものを除くと
医療法人①から④のスタイルは
構成要素と持分の有無によって
このようにまとめることができます。



ちなみに法人数的には、
法改正以前に設立された
持分の定めありの社団医療法人圧倒的
ですが、
先ほど説明しましたとおり、
経過措置として持分の定めなしへ
移行を促されている
ため、
新設医療法人のほとんどは
持分の定めがない基金拠出型社団法人

となります。




【形態ごとのメリット・デメリットはさまざま】

設立される医療法人は、
改正を経てブラッシュアップされてきた法律
に加えて、
公益性や税金といったメリットやデメリット、
今の時勢に合わせて考慮されてきた結果、
さまざまなスタイルのものが存在します。
組織構成や優遇措置の違いから
どのスタイルを選ぶことができるか。
また、どのスタイルがフィットするか。
を、
認可申請前によく吟味していくことも
大切と考えます。

設立のタイミングが固まりましたら
行政書士など、信頼できる専門家に相談のうえ、
余裕をもった申請準備をしていきましょう。
WINDS行政書士事務所では、
医療法人設立のための申請から、
設立後の書類サポートも承っております。
どうぞお気軽にご相談ください。