コラム

【J-Skip/J-Find】高度な人材のための新VISAルール

2023.05.10[VISA]





【高度人材に新たなルール誕生】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
在留外国人の中でも、
高度人材と評価される外国人には
高度専門職VISAが付与されていますが、
4月21日から
この高度人材ルールに
プラスアルファの制度が加わりました。

J-Skip
J-Find

と呼ばれるこれらの制度は、
優秀な評価を受け、
教育機関を卒業した留学生や
高所得の外国人を対象に、
日本での就労を促すものです。 
両制度を利用できる
外国人はどのような要件をクリアすべきか?
気を付けるべき点は?
について、解説したいと思います。




【特別高度人材J-Skip】

J-Skipとは、
特別高度人材と認められた外国人
を対象
に、
高度専門職VISAの取得を許可
する新ルールです。

従来からの
高度専門職VISAの取得要件は、
出入国在留管理庁が指定する計算式で
70ポイントを獲得
することです。
このVISAは、
入国前に新規で取得することも可能ですが、
ほかのVISAで在留を続けながら
要件を満たすまで
ポイントを積み重ねて変更する

場合がほとんどです。
※高度専門職VISAについては、
 以前のコラムでご紹介しています。
 ⇒
こちら

ここでやはり壁になるのが、
ポイント数です。
70ポイントまであと数ポイント足りない
70ポイントあるはずだが
書類や資料で証明できない

との理由で、
もどかしく思う外国人が多かった
のも事実です。

対してJ-Skipを利用すれば、
ポイントを計算は必要なく
一定の水準以上の証明によって
高度専門職1号VISAを得られます。
(高度専門職VISAの取得要件が
 もうひとつ加わった
 といった感覚でとらえて良いでしょう。)


J-Skipを利用した
特別高度人材と認められるためには、
次の要件をクリアする必要があります。


※大前提として、
 契約機関・活動機関となる
 日本国内の企業・団体

 の存在が必要です。
※年収については、
 契約期間や活動機関から支払われる
 予定年収額を指します。


高度専門職VISAを取得することができれば、
ほかのVISAにはないメリット
を活用することができます。
※高度専門職VISAの持つメリットについては
 以前のコラムで詳しくご紹介しています。
 ⇒
こちら
 
J-Skipの利用におけるメリットを
4つほど、ピックアップしてみました。



追加メリット①家事使用人の雇用
高度専門職VISAを持つ外国人は
家事使用人を雇い、
日本に呼び寄せることができます

が、
そのために、これまでは、
13歳未満の子
or
配偶者が病気などで家事ができない
or
帯同入国1年前から家事使用人を雇用

などの要件をクリアすることが必要でした。
J-Skipではこれら条件が取り払われ
しかも家事使用人を
1人だけではなく2人まで雇用できます。

追加メリット②配偶者の就労OK
高度専門職VISAを持つ外国人の配偶者
は、就労が可能
ですが、
原則、週28時間まで
もしフルタイム希望の場合は
ほかの在留資格の条件をクリアする

という条件が付いていました。
この点、
J-Skipを利用することで
高度専門職外国人の配偶者は
ほかの在留資格の条件をクリアせずとも
週28時間制限なく=フルタイムで
就労が可能
となります。

追加メリット③保安検査場の優先利用
J-Skipを利用して
高度専門職VISA1号を取得すると、
プライオリティレーン(優先保安検査場)を
優先的に利用
することができます。

規模の大きい空港にある
保安検査場では、
たくさんの乗客が
出入国手続きをおこなうため、
長蛇の列に並ぶ
ことが想定されます。
これに対して、
ファーストクラスやビジネスクラスの乗客
フライト会社の上級会員

などは、
このプライオリティレーンを利用して、
出入国検査を受けることができます。

<成田空港のプライオリティレーン>


新型コロナウイルスも
収束を見せている現在、
国内外の大きな空港では
出入国窓口の混雑が報道されていますが、
J-Skipを利用すれば
並ばなくても
スムーズに出入国手続きができます。


追加メリット④高度専門職2号への移行
J-Skipを利用して
最初に取得され得るのは
高度専門職1号VISA(特別高度人材)
です。
これまでのルールで、
高度専門職1号から2号に移行
するためには、
1号VISAで3年以上在留期間経過
することが求められていましたが
J-Skipを経た1号VISAであれば
在留期間を1年以上経過すれば
2号へのVISA変更申請が可能

となります。

2号VISAとなれば、
在留期間は無制限となり
再入国許可の対象期間も伸びる
ので、メリットが倍増しますね。
※1号VISAと2号VISAの比較を
 以前のコラムでご紹介しています。
 ⇒
こちら




【未来創造人材制度J-Find】

J-Findとは、
優秀な海外の大学や専門学校などを卒業
したり
大学院の学位を修了
した外国人を
未来創造人材と認め、
特定活動VISAの取得を許可する制度です。

現在の社会では、
国内外の優秀で若い人材の獲得競争
が激しくなっているなか、
東南アジアや欧州各国は、
優遇措置を設けて自国に集めよう
とする制度があります。
対する日本はこれまで、
外国人が就職活動をしたり
企業活動をするた
には、
短期滞在(観光)VISA
起業するためには、
スタートアップVISA(外国人創業活動促進事業)
が用意されていましたが、
いずれも
在留期間が短く
外国人の活動期間としては不十分

との意見が飛び交っていました。

J-Findを利用することで、
能力のある外国人人材
長期間日本に在留しながら
余裕を持って必要な活動をおこない
日本企業や団体、マーケットを
見極めたうえで定着する環境を目指す

ことができます。
J-Findに類似した制度としては、
 
香港の
 Top Talent Pass Scheme
 (高端人才通行證計劃)
 があります。


J-Findはまた、
人材の確保において
受け入れ先の企業が主導
(スポンサーベース)
ではない状態で
VISA手続きが認められる
ことが
これまでの制度とは違う大きな特徴です。

J-Findを利用して、
特定活動VISAを取得する要件は、
次のとおりです。



これらの要件を満たして
特定活動VISAを取得した外国人は
家族の帯同もでき、
帯同した家族もまた
資格外活動許可を経て、
週28時間以内のアルバイト就労ができます。

J-Findの要件①で定められている
3つの世界ランキングは、
QS World University Rankings
World University Rankings
ShanghaiRanking’s Academic Ranking of World Universities

となります。
出入国在留管理庁ホームページ
 でも、
 対象大学が公開されています。


ちなみにもし、
特定活動VISAでMAX2年間の在留中に
就職や法人設立、経営をすることが
決まった場合
は、
在留活動目的に応じて、
各就労VISAへの変更申請が必要となります。




【世界と渡り合う新水準が加速】

海外から優秀な人を招き入れ
日本企業の競争力アップを目指す
J-SkipとJ-Find。
日本でのサクセスストーリーを思い描き、
才能あふれる外国人人材にとっては、
非常に便利で魅力的な制度と言えます

岸田文雄総理大臣は
海外からの有能な人材の受け入れにあたり、
「世界に伍する水準の
 新たな制度の創設を含め改革を進める」

とコメントしていました。
日本経済新聞の記事

この表明はまさに、
今回開設したふたつの制度で
具体策が定められたことを意味しますので
チャンスのある外国人人材は
申請を検討されてはいかがでしょうか。
VISAに関わる入管法は
今後も新たな制度がプラスオンされる可能性
があります。
私も最新ルールを
注視していきたいと思います。

WINDS行政書士事務所は、
豊富な実績をもって
J-SkipやJ-Findをはじめ
外国人VISAに関わるサポート
を承っております。
お気軽に当事務所までご相談ください。