コラム

【難しいの?勉強大変?】行政書士試験

2022.11.09[行政書士・業務]





【行政書士試験の季節到来!】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
皆さまは、
行政書士の試験に、ご興味はありますか。
今年も行政書士試験が迫ってまいりました。
2022年度の試験は
11月13日の日曜、13時からおこなわれます。

行政書士試験の難易度については、
興味をお持ちのお客さまや、受験生さんから
毎年この時期によく質問をお受けします。

行政書士試験は一般的に難関資格に分類され、
合格知識を習得して試験に合格するためには
ある程度の勉強時間が必要
と言われています。
また、その難易度や合格率は、
数字と実際の感覚に
ギャップを感じたりもします。

私自身は、
これまで試験について話したことは
あまりないのですが、
かつて試験に合格した身として、
当時のことを思い出しながら、
自分自身が感じた試験の状況を
皆さまにお話できればと思っていますので
法律に関わる実務に携わることを
目指そうという皆さまに
少しでも参考にしていただければ
うれしいです。




【行政書士とは】

そもそも行政書士ってなんの仕事をしてるの?
司法書士や弁護士となにが違うの?


といった質問をよくお受けします。
これは、
試験のことをお伝えするのにも
とても重要なことだったりします。

行政書士の仕事は、
行政書士法で定められています。
 
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
(行政書士法第1条2)

 
第一条の三 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
(行政書士法第1条3)

これをまとめると、
大きく次の3つに集約されます。

行政書士の仕事のうち
許認可申請のなかには、
審査が厳しく、内容も複雑で
数年がかりの準備が必要

なものもあります。

そのため、
個人で申請することがほとんどなく、
多くの事業者さまから
私たち行政書士に
サポート依頼をいただいています。


申請においては、
審査に通るための要件を
クリアしているかどうか

といった
重要な判断を委ねられる
コンサルティング的な役割

も承っています。

<行政書士の仕事>


<ほかの法律家にも頼める行政書士業務>


※具体的な行政書士業務については
 日本行政書士連合会でもご紹介しています。
 ⇒
http://yukimasakun.jp/
※皆さまが
 行政書士にサポート依頼するメリットを
 以前のコラムでご紹介しています。
※行政書士の資格を持っていない者が
 行政書士の独占業務をした場合、
 行政書士法第19条第1項違反として
 1年以下の懲役
 または
 100万円以下の罰金
 が科せられます。


お客さまのご依頼を受けて、
こうした業務をするためには、

法律
業界マーケットや社会一般


の両方の知識が欠かせません。

社会や法律のルールは、
国内外の情勢や政府の方針によって、
その在り方が180度変わることもあり、
変更内容にしたがって、
ビジネスに関わる在るべき書類や
国におこなう許認可申請の内容も
180度変わることが、十分にあり得ます。

もっとも身近な法律家として
お客さまのニーズにお応えするために、
こうした情勢やルール改正を
しっかりとキャッチアップしていますが、
最低限必要なのが、
この行政書士試験への合格となります。




【行政書士試験の難易度】

行政書士試験については、
受験生時代に私自身も
いろいろなうわさや評判を耳にしました。

実際に受験して試験に合格した身としてお伝えしますと、
行政書士試験は、
国内のさまざまな資格のなかでも難易度の高い試験
と断言できます。

<行政書士試験の科目と得点配分>


私自身の経験としては、
試験に合格するために、
司法書士や宅建、
公務員や司法予備試験の
過去問題を解いて対応した経験があります。
必ずしも
同じような勉強する必要性は
まったくありませんですが、
行政書士になれるほどの知識を身に付ければ
司法試験にも十分パスできるほどの力がつく

ことを証明できるのではないでしょうか。

気になる合格率は、
近年、10%前後となっており、
合格者は11人から12人に1人
と、非常に低いものとなります。
大学偏差値に置き換えると60~65あたり
となりますので、
1,000人の受験生のうち、
60位から150位までに入る知識を身に付ける

ことが、合格する条件となるでしょう。

<過去20年間の行政書士試験の合格率推移>


ただ、私が断言できるのは、

合格率は合格のための参考にならない

ということです。

毎年度の受験者数は変動があっても
合格者と合格率はあまり変わらない

からです。

行政書士試験が
狭き門となっているのは、
次の5つと考えます。

①年にワンチャンスの試験
行政書士試験は、
毎年度11月中旬に実施され、
念に1回の一発勝負となります。

そうすると、
1年で苦手科目をできるだけなくして
合格ラインのトータル知識を
きっちり仕上げなければならず、
試験日に合わせて
体調・スケジュール管理も重要
となります。

加えて最近では、
いろいろな法律の改正が進んでいますので、
不合格となってしまうと
次の改正知識をアップデートする

という苦労をしなければなりません。
※行政書士試験では、
 改正内容の問題もよく出題されます。


②無制限の受験資格
行政書士試験は、
年齢や学歴、国籍にとらわれず
誰でも受験資格があります。
しかしその試験内容は、
ガチガチに法律の専門知識が問われ、
試験問題全体の60%
を正解しなければなりません。
特別法や関連法も加えると
出題される法律範囲は、非常に多岐に渡ります。


まさに、本当の意味での、
平等公平な試験と言えますね。

受験生の皆さまの
この資格に対する熱量や取り組みが
合格率の中に自分が入れるかどうかを左右する
と考えてよいと思います。

③膨大な勉強範囲
国家資格の中には、
複数年のうちに複数科目を持ち越しながら
試験をパスする
というスタイルもありますが、

行政書士試験に関しては、

基礎法学
憲法
民法
行政法
商法・会社法
一般知識等


といったメイン科目全体の得点が
絶対評価されます。

各試験科目については、
難しいというよりも
とにかく覚えることがたくさん
覚えた知識を応用する考えも問われるので
対応、理解するために時間がかかる

というのが、私が持っていた感覚でした。

④記述式問題のハードル
行政書士試験問題のほとんどは、
選択肢から正解を選ぶマークシート式
になっており、
1問4点となっていますが、
1点20点という高得点
(法令問題のおよそ25%!)
で、
40文字程度で回答しなければならない

という、
記述式問題が3問あります。

法知識に加え、
ドラフティング能力も問われますので、
知識のごまかしが利かない問題となっており、
試験対策も非常に重要となっています。
個人的な感覚では、
全60点あるなかで
合格するためには30点以上は得点

したいところで、
これらの問題の対策が難しい
という点も、
合格率が低い一因と考えられます。

ちなみに、
毎年度の試験で出題される記述式問題は
肢選択問題の点数に応じて
採点が調整される傾向

がみられるため
年度によっては
記述式問題での採点数が大きく変動する
(=記述式問題だけは相対評価寄り?)

という評判もあります。

⑤科目ごとの足切りライン
受験生の皆さまでは、いわゆる
足切りライン
の話を聞いているのではないでしょうか。

行政書士試験では、
得点クリアすべき合格基準があります。
たとえば、
ある科目で合格基準をクリアしても、
ほかの科目で設定されている
合格ラインを下回ると、不合格になります。


<行政書士試験の足きりライン>


特に、
一般知識等
という科目は、足切り科目と呼ばれており、

政治経済や社会情勢
歴史や著名作品
文章解読問題
など
非常に出題範囲が広く、
勉強はもちろん、
近年の世の中の動きを
どれくらいキャッチアップできているか

が問われます。
法令科目は満点だったとしても
一般知識等で足切りに遭って不合格
ということも、十分にあり得るわけですので、
少しドキドキする科目ですね。
※資格に合格するほかは、
 公務員として17年以上勤務してきた方が
 特任制度を利用して
 行政書士になることができます。
 (行政書士法第2条6項)





【合格のための勉強時間】

私が受験、合格した当時に
よく耳にしていた、
合格するための勉強時間は
600~1,000時間
でした。

この時間は、
必要な知識をインプットして、問題を解く
だけでなく、
法律的な目線で横断知識や応用知識を把握
することも含むものですが、
数字以上に、1日が24時間では足りない
と感じていた肌感覚です。

法律は、
私たちの日常生活の中でも欠かせない
ものですので、
法律に興味を持って
資格の取得を目指す方も少なくない
と思いますが、
弁護士や司法書士などが
中途半端な勉強では試験に合格できない
と同じように
行政書士試験も、
決してライトな難易度ではない国家試験

と言えます。

私自身は正直、
合格するまでに何時間勉強したのか、
カウントをしなかったので
わからない、というか、覚えていない
というレベルで、
毎日工夫して勉強時間を捻出しました。
そうして勉強してきた経験と知識は、
行政書士として
お客さまのサポートをするうえでの、

ロジカルシンキング
臨機応変な対応
冷静な判断


につながっています。




【合格対策はシンプル?】

私が行政書士試験に合格するために
とった対策ですが、
合格するための知識を備えるため勉強する
という当たり前の前提条件以外は、
次の4つをご紹介できます。
受験をされる皆さまに、
参考にしていただければうれしいです。

①ゴールを見据えた計画
行政書士試験の合格を目指す
受験生の皆さまは、

行政書士試験に合格すること。
実務家となること。
実務家になって活躍すること。


これらのどれかをゴールとして
いるのではないでしょうか。

いずれも非常に素晴らしいです。
どうか、
このゴールがぶれることなく
毎日をお過ごしください。

私の場合は、
自分自身が設定したゴールから逆算して、
合格のためにやるべきことを整理して
バランスよく、メリハリを付ける

ことを心掛けました。

②自分の武器を磨く
科目ごとのクリア得点と、
自分自身の得意・苦手科目を
徹底的に研究しました。
バランスよく勉強して
合格ライン得点を目指すことも大事ですが
やはり伝家の宝刀といえるくらい
自分の武器を磨きあげる
のは自信にもつながると思います。

私の場合は、
民法と会社法が特に大好きで、
この両方の法令知識が自分の武器
といえるくらい
知識に磨きをかけました。

自分(=自分の武器)を知ることによって
敵(試験)を知ることにもつながります。


一般知識等については、
勉強したというよりは
新聞やネット記事で
そのときにホットな話題を
拾い上げてすかさず情報収集する
ことに専念しました。

③使えるツールは最大活用
スマートフォンのアプリケーションや
YouTubeの法律関連チャンネルなど、
現在は、私が学生時代だった頃よりも、
いろいろ便利なツールが多くあります。
私も、そうしたものをよく活用しました。

また、
法律を題材にしたテレビ番組を観ることは、
受験生目線としてではなく
一般の目線で法律の問題を確認

することができたので、
理解を早める起爆剤にもなりました。

④試験ではポイントゲットに集中
試験日当日になると、
緊張した面持ちで臨む方も多いかと思います。

私も試験中、
完全にリラックスしていた
かといえばうそになりますが、
勉強の成果を
試験会場に置いてくることに集中

ことだけを心掛け、
試験時間の間は
私は人間ではなく、点取りマシーンだと
自分に言い聞かせて臨みました。




【皆さまの合格を心よりお祈りしています】

行政書士試験の合否発表は来年1月末です。
今週末、受験される皆さまは
志と正しい努力の結果、
きっと、合格されるでしょう。
限られた時間のなかで
たくさんの想いがあるかと思いますが、
皆さまそれぞれのゴールに向かって、
日々を大切にされてください。

その間、日常生活を送るうえで、
計画的に正しい方法で
モチベーションをキープしながら
勉強を続けるのは、なかなか大変です。
1日の多くの時間を
試験勉強に費やす方もおられると思います。

最近では
そんな受験生の皆さまをサポートしてくれる
資格指導校や通信講座なども
充実しているので
活用されるのもよいかもしれません。

受験をされる皆さまが
1人でも多く無事にパスできること
皆さまにとって、
行政書士という存在の理解が広がること
を、心から願っています。