コラム

【飲食店のオプション営業】飲食料のテイクアウト販売

2022.08.17[風俗営業法]





【今やスタンダード!飲食店のテイクアウト】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
お休みの日や、特別な日に
飲食店を利用しての食事は
非常に楽しく、幸せな気分になりますね。
そのときに召し上がったお料理やお酒を
自宅でも楽しみたい
と思われた方も多いのではないでしょうか。
数年前から、このコロナ禍においては、
配達サービスの充実とともに
各飲食店で
出前に代わる、テイクアウトが定番化

してきました。

一方、
たくさんの料理やお酒を提供し、
私たちの胃ぶくろをわしづかみにする
飲食店にとっても、
お客さまのリクエストにこたえて
お料理やお酒のテイクアウト販売
をオプションサービスとして定着すれば、
飲食店の売上や知名度アップ
にもつながります。

こうしたテイクアウト販売は、
あらかじめ申請をして許可を得ることが
必要な場合があります。
加えて、
飲食店としても
テイクアウトにおけるさまざまな注意を
はらいたいところです。




【飲食店のテイクアウト販売】


飲食店は、その営業をするにあたって、
通常の飲食店営業許可(飲食店営業1類)
を受けることが必要です。
飲食店営業許可を受けるためには
次の要件を満たすことが必要です。






※東京都23区の場合、
 食品衛生責任者になれる者は
 栄養士、調理師、製菓衛生師、
 食鳥処理衛生管理者、
 と畜場法に規定する衛生管理責任者
 もしくは作業衛生責任者、
 もしくは船舶料理士の資格
 or食品衛生管理者
 もしくは食品衛生監視員となることが
 できる資格を有する者
 食品衛生責任者の資格取得のための
 養成講習会修了者

   となっています。

さらに、
テイクアウトするものによっては
ほかの許可が必要な場合とそうでない場合
に分かれます。




①店内提供料理のテイクアウト
通常の飲食店営業許可を受けることによって、
料理のテイクアウトが可能です。
それ以外の許可は特に必要ではありません。

②お総菜やお弁当のテイクアウト
飲食店営業許可のみでOKな場合と
そうでない場合に分かれます。

まず、
次の条件に該当する場合は、
通常の飲食店営業許可で
テイクアウト販売OK
です。



ただし、
お惣菜やお弁当を別の場所で製造し
違う場所で販売する場合


お惣菜やお弁当を実際に作る場所で
許可(飲食店営業3類)が必要

となり、さらには、
販売場所における届出などが必要
になります。

③特定の飲食品のテイクアウト
①や②に対して、
飲食店営業許可以外の
別の許可を必要とする料理や食品

が存在します

たとえば、
テイクアウト品が
ケーキやパン、アイスクリーム

といった場合は
食品衛生法上
菓子製造業やアイスクリーム類製造業の許可
が必要になります。
※これらをデザートとして
 
店内飲食する場合は、
 通常の飲食店営業許可のみでOKです。


また、
飲食店が加工や料理するための原材料を
個別販売する場合
(例:寿司屋が魚の刺身をテイクアウト)

は、食料品等販売業
個別販売する原材料が精肉である場合
(焼肉屋が牛タン肉やカルビ肉をテイクアウト)

は、食肉販売業
の許可が必要となります。

飲食店営業許可とは別の許可が必要になれば
当然、冷凍庫や製造機、焼成設備など
許可取得要件を満たすための
設備工事が発生する可能性

も検討しなければならないでしょう。

これら許可の有無の判断は
各自治体によって異なります。
料理のテイクアウト販売を検討するときは
各保健所の最新情報を確認することが必要です。
⇒当事務所にご相談ください。



④お酒のテイクアウト
当事務所で
もっとも多くのお問い合わせを
頂いているのが、この、
お酒のテイクアウト販売です。

コロナ禍における
緊急事態宣言発令をきっかけとして
お店で飲んだこのお酒が恋しい
ボトルキープしておいた
お気に入りのあのお酒を持って帰りたい

といったお客さまのリクエストが
現在も多いようです。

深夜でない時間帯で
飲食店内で飲むためのお酒の提供

にあたっては、
通常の飲食店飲食店営業許可のみ
でこと足り、
ほかの特別な許可は必要ありません。
これは、
店内で開封済みのお酒を
その場で顧客が飲むためのものとして
提供する
という条件であれば、問題ない

ことになります。

しかし、
飲食店の店内で提供して
顧客が飲みかけとしたお酒
をテイクアウト販売する

となれば、
酒税法による制限がかかり、
酒類小売販売業の免許が必要
となります。

ここで、
酒税法がハードルとなる理由
としては、
飲食店で提供するお酒と
テイクアウト販売するお酒は
仕入れや販売、会計にいたるまで、
区別して管理しなくてはならない

というルールにあり、
店内飲食用に提供するお酒は
店内でしか飲めない
(=テイクアウトNG)

という解釈がなされます。
※蔵元やワイナリーなどの酒造業者が
 酒造現場で販売する場合は、
 新たに許可を取得する必要はありません。


酒類小売販売業の免許を取得すべきか
の検討材料としては、
テイクアウト用と店内提供用の
仕入先
商材(銘柄を含む)
ストック
販売価格
会計処理
を明確に区別できるか

といったハードルがあり、
免許取得要件にも影響します。

飲食店事業主の皆さまは、
お酒のテイクアウト販売をするために、
お店の内装工事やレジ管理の区別
までおこなう必要性や緊急性があるか

を十分に考えたうえで
対応したいところです。




【飲食店だからこその細心の注意】

テイクアウト販売するための
対象商材や要件の概要も重要なのですが
やはり、
飲食店としてもっとも大切なのは、

 店内の衛生管理
 商材のテイクアウト加工、包装管理
 店外飲食における注意喚起


といった、
営業や販売の実態ではないでしょうか。

お客さまに喜ばれ、リピートいただく
テイクアウト販売のために、

 テイクアウト販売時期や時間帯の設定
 旬や話題の食材の取り扱い
 商材ごとの容器や包装の準備
 店外飲食を十分考慮した厨房の衛生管理
 賞味・消費期限の設定
 早めに召し上がって頂くようにお声掛け


といったことを実践していき
要素をクリアすることは
避けて通れません。

テイクアウト販売後は、
お客さまが口にする食べ物や飲み物が
どのような状態か
お店の目の届くところにあるとは限らず
調理や保存の方法を誤ったり
原材料管理が雑になってしまうと
食中毒などを引き起こしかねない

からです。

こうしたリスクを防ぐには、
店内提供にはない、
キメ細かな配慮や煩雑な作業も想定されます。
テイクアウト販売の採算が
ある程度計算できるまでは
こうした注意事項に細心の注意をはらって
効率的な販売を目指すことの両立も
心構えておきたいところです。




【テイクアウトからますます広がる飲食サービス】

飲食店の営業は、
今回のテイクアウトだけにとどまらず、
通販サイトでのお取り寄せグルメ販売や
自社でオンラインストアなど
そのサービスの幅は確実に増えていく
と予想します。
今後も、
店内飲食提供にプラスオンする形で、
さまざまな営業を見せていくことでしょう。

飲食に関係する営業や販売には
細かな取得要件をクリアして
許可を得る必要があります。
テイクアウト販売のように
取り扱いメニューや販売場所によっては、
個別の許可が必要な場合と
そうでない場合があり、
衛生面の配慮も欠かせません。

飲食店の営業許可以外の許可
を取得する場合でも、
各自治体の保健所によって
許可までの運用の違いが見受けられます。
事業者さまは
テイクアウト販売における必要手続きや要件を
入念に確認していきたいですね。

WINDS行政書士事務所でも、
飲食店の開業から販売にいたるまで、
さまざまな事例を対応しております。
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