コラム

【付けなきゃダメ?!】ドローンのリモートID

2022.04.20[行政書士・業務]





【ドローンに搭載する「リモートID」】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
公共エリアやレジャー施設などで
大活躍のドローン。
その幅広い用途から、
最近では、
テレビドラマや映画のワンシーンでも
見かける機会も多くなり、
認知度も広くなってきましたね。

そんなドローンの飛行使用において、
今年2022年は
大きなターニングポイントとなる年です。
6月からは、
一定の要件を満たすドローン(無人飛行機)は
機体登録(DRS)が必須となります。
※ドローンの飛行申請や事前登録については、
 以前のコラムでご紹介しています。
 ⇒
こちら

並行して、
ドローンを取り扱ううえで
念頭に置いておく必要があるのが、

リモートID(RID)の搭載

です。

当事務所にも、

「リモートIDを付けるとなにが違うの?」
「リモートIDって必要なの?」
「リモートIDは絶対付けなきゃダメなの?」


といったお問い合わせを
よくいただきます。

リモートIDが、
今後のドローン運用において
重要な要素であることは、間違いありません。




【リモートIDの役割】

ドローンなどの無人飛行機における
リモートID(RemoteID=RID)
とは、

ドローンなどの無人飛行機を
識別するためのものです。
自動車でいえば、
ナンバープレートのようなもの
と想像されるとわかりやすいと思います。

航空法改正によって
2022年6月20日から本格スタートする
ドローンの事前登録制度では、
機体登録対象のドローンには
原則すべてRIDを搭載する

運用となっています。
また、
ドローンを飛行させるにあたっては
登録番号を提示しなければなりません。
※ドローンを違反飛行させた場合、
 航空法第157条の5に基づき、
 50万円以下の罰金が科されます。


ドローンに搭載されるRIDには、
機体情報だけでなく
機体のオーナーをも識別する情報が
備わっています。

このRIDから、
1秒に1回のインターバルで
Bluetoothを経由して
機体情報が発信されます。
警察官や重要施設関係者、航空局などは
受信装置を使って機体情報をキャッチし、
飛行中の機体情報を把握することが可能
となります。


※ASTM F3411-19(ASTM規格)
 の規定によって
 英語表記が定められています。
※行政機関による登録記号の把握によって、
 個人情報の通知はされません。


国としては、
不審な飛行をするドローン
ドローンの飛行エリア近くでオーナー不明
を発見したときは、すぐに、
機体やオーナーが簡単にわかるようになる

というわけです。

ちなみに、
登録対象となる機体は、
総重量100g以上の機体です。
このスペックに該当するドローンを
6月20日以降に所有している場合
機体登録を終え
RIDを搭載しなければ
使用できない

ということになります。

登録運用は、
経過措置期間が設定されており、
2021年12月20日から
事前登録の受付がすでにスタート
しています。
機体登録制度については、以前のコラム
 【6月からの新ルール!ドローン登録】
 でご紹介しています。


<国土交通省:無人飛行機登録制度>


機体登録には登録手数料がかかり
登録する機数申請方法によって
料金の幅があります。






【リモートIDがいらないドローン】

近い将来に
機体登録の義務化が決定している
ドローンですが、
現時点で
の要件のいずれかを満たせば、
例外として
RIDを搭載しなくても済みます


①経過期間内の事前登録
経過措置期間内に
事前登録を済ませたドローンは、
RID搭載義務対象から外れます。
つまり、
6月19日までに
機体の事前登録を済ませ
れば、
RID機能を搭載しなくともよい
ことになります。

このルールとなった背景としては、
ドローンの飛行運用における
パブリックコメント(意見公募手続き)
によって
ユーザーから発せられた様々な意見
を検討したことが大きく、
法律の趣旨にも沿う形で
ドローンの適正な利用ができると
判断された方針といえます。
※国土交通省:パブリックコメントの結果
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000218683


スペックや飛行場所関係なく
どの機体でもRIDを搭載する必要がない

有効な方法といえますね。

②販売用としての所有
ドローンの機体登録は、
あくまで
飛行や使用目的のための登録です。
この登録対象から外れる機体として、
たとえば、
商品として購入し
販売目的で在庫として所有する場合

が該当します。
一方、
レンタル用として所有するドローンは
飛行使用を目的としますので
機体登録の対象となる=RID搭載必要
となることに、注意したいところです。

③100g未満のスペック
機体登録が義務付けられるドローンは、
エンジンなど内蔵物を含め
100g以上の機体

です。
反対に読み替えると、
重量が99gまでのものはRID搭載不要
ということになります。
一般的には、
トイドローンと呼ばれる
ドローンビギナーや子ども向けのドローン
などがこれに該当します。

④飛行場所や方法の限定
たとえば、
次のような使用を前提とするのであれば、
RIDを搭載する必要はありません


※用途や飛行方法の制限においては、
 DIPSの登録とは別の登録手続き
 が必要です。


⑤ハイスペックな機体の所有
もともと、RIDの搭載は、
一定の規格を満たす意味合いで考えられ、
登録記号を識別するための措置
とされていますが、
所有するドローンに
RID機器に代わる技術規格に
フィットした機能
があれば、
RIDを搭載しなくてすむ
ことになります。

ただし、現状の法ルールでは、
RIDが機体のスペックを
どのくらい補えるかが明確ではない
ことも、確かですので、
6月の完全登録義務化を境にして、
これから詳細が明らかになってくる
ものと思われます。




【ハプニング発生時のリスク】

仮に、
機体登録やRIDの搭載が済んでいたとしても、
ドローンにかかわるさまざまなハプニング
が発生した場合は、どうすればよいでしょうか。

<CASE1:機体の買い替え>
1度登録した機体が破損した場合や
使用しなくなった場合、
新しい機体に買い替えることが想定されますが、
この場合でも、
スペックや買い替え時期を確認のうえ、
登録対象のものは機体再登録とRIDの搭載
をしなければなりません


<CASE2:機体の修理>
機体に不具合や破損が見つかった場合、
その機体を修理することが想定されます。
この場合でも、
機体登録番号やペックの変更によって
機体再登録とRIDの搭載が必要

な場合があります。
※修理の結果、同一パーツの交換は
 ロットナンバーは変更ありませんが、
 フライトコントローラーや
 機体フレームの交換は、
 ロット番号変更によって
 機体の再登録が必要です。 

※大手ドローンメーカーであるDJI社の場合は、
 修理を依頼した際
 新品または違う機体が納入
 されることが多いです。


さらには、加入済みの保険においても
同様の理由から、
保険適用外となるおそれもありますので、
十分に注意したいところです。

<CASE3:機体のカスタマイズ>
機体を飛行させていくなかで、
よりハイスペックにしたい
ほかのパーツも付けたい
という思いも出てくるのではないか
と思います。

この点、
6月の機体登録前と比べて
明らかにスペックが違う
ものは
改造とみなされ、機体登録やRID搭載の対象
となります。

ただし、
取り外し可能なパーツを付ける場合は、
重量に含まれず、
機体再登録対象とならない場合があります。

また、
外付けのRIDを搭載する場合
重量要件を満たさないものであれば

付属品扱いとされ、
機体再登録からは外れます。





【来たるRID搭載義務化に向けて】

改正航空法によって、
飛ばすドローンの最適運用と規制が
6月から本格的にスタートします。
RID搭載は、
今後ドローンの標準装備として
定着していくでしょう。

機体登録ルールは、
これらの目的を目指すのと並行して、
国側の運用負担の確認
というタスクも担っています。

WINDS行政書士事務所では、
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