コラム

【就労VISA】学歴の重要性

2022.01.05[VISA]




【就労VISAのための重要要件「学歴」】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日本で仕事をするために在留を希望する外国人は、
就労VISAの申請をして、
出入国在留管理局の許可を得なければなりません。
この就労VISAの許可要件として、
勤務先での業務内容とともに重視されるのが、

外国人の学歴

です。

私自身は、
学歴が人の判断材料のすべてとは考えてなく、
それぞれの皆さま培ってきた
品格や感性、人生経験は
最大限尊重されるべきだと考えています。

しかし、
VISA申請の審査となると、
話は変わってきます。
取得したい就労VISAに求められる
学歴要件を満たさないと
不許可となってしまうからです。

就労VISAを無事に取得するために
必要な学歴。
申請者となる外国人も
勤務先となる事業者さまも
VISA申請前に知っておく必要があります。




【学歴要件が必須の就労VISA】

就労VISAは、
その業務内容にフィットした学歴を
許可要件としているものが多いです。
学歴審査は、
卒業や学位のほか、
どのような科目を専攻していたのか
きめ細かくチェックされます。

学歴を必要とする就労VISAと、
必要とされる学歴は、次のとおりです。


※各VISAの種類と仕事の内容については、
 当事務所ホームページでもご紹介しています。
 ⇒こちら


また、ここ数年のVISA審査は、
大学卒業にかぎり、
在籍学部に関してはあまり厳密には問われず
比較的柔軟に取り扱われている

傾向があります。




【就労VISAに必要な学歴】

就労VISA取得のための学歴要件としては、
次のようなものを満たすことが必要です。

①大学or大学と同等以上の学校を卒業
大学or大学と同等以上の学校とは
国内外の
大学や短期大学、日本の専門学校

のことをいいます。
VISA申請の審査では、
卒業証明書
在学証明書
成績証明書
などで
学位や称号を確認されます。

学位としては、
次のようなものがあげられます。
社会的地位の評価としては、
博士>修士>学士という傾向にあります。



ただし、
各国の学校制度はそれぞれ違う
こともあり、
外国の学校で授与された学位や称号が
求められるVISA審査の要件に当てはまらない
場合もあります

たとえば、
外国人が卒業した学校を大学と考えていても、
学校のカリキュラムをチェックした結果、
日本のVISA審査基準では、
日本の専門学校相当程度だった
いうこともあります。

②日本の専門学校を卒業している
もうひとつの学歴要件として、
日本の専門学校卒業も、
①と同等の扱いになります。
専門学校を卒業すると、
文部科学大臣が認めた専門学校から
Diploma=専門士
と呼ばれる称号を授与されます。


※一般的には、短期大学士と同等レベルと扱われます。
※4年以上の専門学校卒業者は、
 Advanced Diploma(高度専門士)が与えられ、
 大学卒業と同等の商号となります。
 VISAの審査基準に照らすと、
 在学年数に関わらず、専門学校は同じように扱われます


ここで注意したいのは、
専門学校でなにを学んだか
です。

専門学校の専攻内容は、
IT、介護、会計、服飾など
非常に幅広いという強みを持つ反面、
取得したい就労VISAの学歴要件に
あてはまらないものもある
という落とし穴もあります。
ヘアメイク、美容、保育士などは、
現在規定されている就労VISAには
フィットしません

※介護の専門学校を卒業した介護福祉士は、
 介護VISAの要件を満たします。

 ⇒以前のコラムでもご紹介しています。



【高度専門職VISAの学歴要件】

高度専門職VISAは、
職種の制限はなく、
日本に受け入れることで国益がある
と判断される
優秀な外国人だけが取得できる就労VISA
で、
ほかの就労ビザとは少し毛色が違います。

高度専門職VISAの審査は、
学歴・職歴・年収などによるポイント制

となっていて
70ポイント以上カウントできれば、
高度専門職1号VISAが取得できます。

<法務省:高度専門職ポイント計算表>


ポイントを見ていくと、
学歴が高いほど
高度専門職VISAの取得に近づく

ことがわかります。
たとえば、
学歴要件の加点項目で、
博士号取得は30ポイントと、
許可基準の半分近く高いポイント
を受けられます。
さらに、
文部科学省から補助金を受けている
スーパーグローバル大学
に指定された大学を卒業した者には、
10ポイントの加点が約束されます。
※スーパーグローバル大学創成支援に採択された大学は、
 現在37校です。




【学歴が足りない場合は?】

それでは、
学歴が定められた要件に満たない場合は、
就労VISAは取得できないのでしょうか。

結論としては、
学歴が満たない場合であっても、
10年以上の実務経験
を満たすことで、
就労VISAを取得することができます。

10年以上の実務経験は、
申請者が履歴書などを提出して
自己申告するだけでは、
正当な証明としては認められません。
国内外問わず、
以前在籍していた勤務先や現在所属中の会社に、
在職証明書を発行してもらい、
取得したい就労VISAと同じ職種で
TOTAL10年以上の職務経歴

を証明する必要があります。
※必ずしも学歴・職歴が必要でない
 就労VISAであっても、
 在職証明書で一定の実務経験を
 証明することによって、
 VISAの審査は有利になる場合もあります。




【学歴やバックグラウンドはしっかり確認】

就労VISAの取得要件として、
学歴は大きなウェイトを占めます。
必ずしもすべてのVISAで必須ではありませんが、
技術・人文知識・国際業務などのVISAは
一定の学歴要件のクリアは避けて通れません。

学歴要件を満たさず、
就労VISAの審査を通らなければ、
内定先での雇用バランスを調整できなくなる
のはもちろん、
外国人自身も、
日本での在留手段が限られてしまいます。

雇用する事業者さまサイドでは、
日本人スタッフを雇用するときよりも、
さらにしっかりチェックを行いたいところです。

外国人の方を採用、内定をされる際に、
就労VISAを取得できるかどうかは
WINDS行政書士事務所でも
非常に多くお問い合わせを受けております。
VISA取得に必要な要件のチェックや
証明書類のコンサルティングなど、
申請サポートのご相談をお待ちしております。