コラム

Youtuberのマネジメント契約

2021.05.12[契約]




【今、注目の職業「Youtuber」】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
最近、幅広い年代を対象として、
YouTubeの閲覧機会が急増している
ように感じます。
私自身も実際、
録画などをする必要がなく、手軽に利用できることから、
興味のあるキーワードを検索して
いろいろなチャンネルを閲覧する機会が増えました。

また、
Youtuberは、
子どもが将来なりたい職業のトップランク

に食い込むようにもなり、
令和に生きる子どもにとっての憧れの存在として
認知されるまでになりました。

<学研教育総合研究所:小学生が将来就きたい職業ランキング>


Youtuberの皆さまは、
チャンネル登録数や閲覧数で利益を上げていく一方、
その業務もしっかりと管理する必要があります。
業務の管理は、ご自身でされることもあれば、
マネジメント会社に所属という形で、
お願いするということもあります。
現在も、マネジメント会社さまの中では、
多くの有名Youtuberが所属し、実際に株式上場して大手となっている
ところもありますね。
こういったマネジメント会社と、Youtuberの所属にあたっては、
適切な契約を結ぶ必要があります。


【Youtuberマネジメント契約のメリット】

YouTuberはマネジメント会社と
マネジメント契約を締結することによって、

セールスサポートを受けられる

というメリットを得られます。

Youtuberが得られるセールスサポートとは、
具体的に次のようなものがあげられます。

①企業からの広告案件の獲得
有名なYouTuberが持つ商業的な影響力は非常に大きいため、
企業が、自社の商品やサービスの販売促進のため、
YouTuberに広告動画の制作や出演を依頼することがあります。
このとき、
マネジメント会社がいてくれることによって、
広告案件の獲得がしやすくなります
Youtubeでは、
閲覧にともなう広告収入だけでなく、
企業から広告収益も受け取ることが可能ですので、
Youtuber、マネジメント会社ともに、
大きな収益を得られる広告案件は魅力的と考えます。

②イベントの開催
マネジメント会社は、
YouTuberをイベントに出演させ、
自ら主催や運営をおこなうことがあります。
Youtuberを、フェスやショーといった、
集客規模の大きいイベントへ出演してもらう
ことによって、
Youtuberの認知度やチャンネル再生回数の向上
にもつながります。

③トラブル対応
YouTuberの皆さまが
顔を出したり本名を公表して活動する場合、
敵対的感情を持つ存在、
俗にいう、「アンチ」から危害を受ける
というリスクがあります。

最近では、
個人情報を特定され、
Youtuberの自宅まで乗り込む
ご家族への危害
ご本人に対する誹謗中傷


などの事例も少なくありません。

このような被害に対してYouTuber自身が対応すると、
「炎上」と呼ばれるさらなる誹謗中傷
のリスクが高まります。
またトラブル対策のために費用や労力を費やされると、
動画制作など今後の活動に影響がおよび、
収益減に直結します。
マネジメント会社が間に入ることによって、
YouTuberと一緒にトラブル解決に尽くしてくれます
また、YouTuberのチャンネルやアカウントが凍結された場合でも、
マネジメント事務所がYouTuber本人に代わって
YouTube側と交渉することが可能となります。


【Youtuberマネジメント契約のデメリット】

マネジメント契約を締結するデメリットも、
次のように考えられます。

①収入の減少
YouTuberがマネジメント会社とマネジメント契約を締結すると、
マネジメントフィーを支払います。
この額が高い場合、Youtuberとしては、
所属するマネジメント会社が適正か、
マネジメントの質にあったフィーなのかの見極め

が必要となります。

②言動や活動内容の制約
マネジメント会社にとって、
所属するYouTuberは、いわば自社商品となります。
YouTuberが企業のタイアップや広告事業に参加している場合、
Youtuber本人が問題のある言動をとったり、
現場でのキャンセルなどが発生した場合、
採用企業のイメージダウンに直結し、
損害賠償の問題に発展することになります。
YouTuberにとっては、
マネジメント会社が言動のチェックや監督をすることによって、
ある種の言動の制約を受けることになり、
希望する活動の幅が狭まると感じ、
わずらわしさを感じることになるかもしれません


③マネジメントのアンマッチ
YouTuberがマネジメント会社にマネジメントフィーを支払い、
業務管理を依頼しても、
実際はマネジメントフィーに見合うサポートをしてくれなかった場合、
Youtuber自身の活動にも大きく影響をおよぼします。
このような状態を避けて、
時間や場所に拘束されない活動を望む
Youtuberの方々も多いのではないでしょうか。




【Youtuberマネジメント契約の性質】

Youtuberのマネジメント契約は、
YouTuberの知名度や収入アップを目的として
セールスサポートを実施し、
その対価として、
YouTuberの収益の一部をマネジメントフィーとして
事務所に支払う

ことが基本事項となります。

この契約の法的性質としては、

準委任契約
(マネジメント会社がYouTuberに依頼した
 企業案件、広告案件を受託
請負契約
(マネジメント会社の依頼にしたがって
 YouTuberが動画などを制作

といえます。
※準委任と請負が混在する場合は、
 民法に定義されない契約タイプになることから
 「非典型契約」「無名契約」と呼ぶこともできます。


契約タイプが上記のどちらであるのかによって、
それぞれの立場での収益性が変わるので、
実際の活動とマネジメント内容を照らし合わせて、
契約書に反映することが必要です。




【契約における重要ポイント】

Youtuberとマネジメント会社との間で合意のうえ、
署名・捺印されるべきマネジメント契約書は、
次のような項目を柱として
作成することが必要と考えます。
各項目は、
契約や取り扱いのコンテンツの内容によっては、
個別契約で定めることも可能です。

(図)


Youtuberとマネジメント会社という2者の契約形態は、
今まで使われてきた、
民法上の典型的な条文だけではおさまらない

ものが多く、
実際に現場で起こっていること、両者の立場が
より適切に正しく反映されていることが必要
です。

また、Youtuberがいわゆるバズる(一躍有名になる)
ことによって、
活動自体も広がっていくことを考慮し、
マネジメント契約の締結も、トラブルなく長く、
契約関係が継続するものであるべき

ですので、
契約書に記載されるべき条文の内容も
慎重に配慮しなければなりません。

時代のながれとして、
スポットライトを浴びている、Youtuber。
マネジメント会社との契約は、
比較的新しいスタイルといえます。
しっかりとした契約書を作成し、
Youtuberの皆さまには、しっかりした管理のもと、
自由で楽しいコンテンツを展開していただきたいですね。

このようなマネジメントをはじめとした
さまざまな契約形態に応じて、
WINDS行政書士事務所は契約のながれのコンサルティング、
必要書類の作成といったサポートをしております。
契約ごとに関して、どうぞお気軽にお問い合わせください。