コラム

会社の「解散」手続き

2020.12.16[行政書士・業務]




【会社の「廃業」⇒「解散」】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
会社を設立したものの、

業務をおこなっていない


または、
想像することをはばかられますが、

業績が悪化した
後継者がいない


などの問題が発生することもあり得ます。

実際に事業をおこなっていない会社であっても、
存続している間は法人住民税が課税され、
税務署に対して決算申告もしなければなりませんので、
対応にあたる時間やコストがかかり続けます

事業を経営するうえで、
事業者さまがもし、
会社の存続価値がないと判断された場合、
ご自身の会社を解散させる
という選択肢がございます。

この、会社を解散する、という行為は、
具体的にどのような手続きをおこなうのでしょうか。


【会社を「解散」させるとは】

経営していた会社を廃業するとき
その会社は法律上、
会社解散することになります。

会社が解散すると、
今までおこなってきた事業はすべて停止します。

しかし、会社自体は、
解散によってすぐに消滅するわけではなく、
法律上消滅するまでの間、
清算会社として存続します。

清算会社は、清算期間に入り、
会社は法的にその存在を消滅させるため、
会社の持つ資産や負債を0にする処理を行います。

また、
これまで株式会社で就任していた取締役等の役員は、
事業活動をおこなわないため、
その存在意義はなくなります
これら役員に代わって、
株主総会などにて選任された清算人
残務処理として、会社の清算事務をおこないます。
※清算人は代表取締役がそのまま就任することが多いですが、
 第三者でも就任できます。





【解散手続きの流れ】

①解散の決定
たとえば、株式会社の場合は、
次のいずれかの方法をとることによって解散します。


※銀行や保険会社の場合には、
 それぞれの適用法で規定された解散事由に該当すると、
 解散になることがあります。


解散後、
会社は事業活動を継続することができなくなり、
清算事務の範囲内でだけ、存続します。
※破産、倒産を選択した場合、
 株主総会で解散決議をとることはできません。
 (裁判所の関与で手続きがおこなわれるため)


通常株式会社がとるもっとも多い方法は、
株主総会決議ですが、
この場合、株式会社は以下の対応をおこないます。


※解散の決議日は、解散日とするのが一般的です。
※登記業務は司法書士の専門業務です。

②会社の清算事務
次のような作業がおこなわれます。
この清算事務が終わらないと、
清算結了することができません。



※会社の規模や保有財産の状況や
 債権債務の条件によって、
 清算手続きにかかる時間に違いがあります。
※実際の清算手続きは、
 会計帳簿上の処理や決算、清算申告にも影響します。


③債権者保護広告
株主会社の解散登記と清算人選任登記の後、
清算事務と同時に債権者保護公告をおこないます。
債権者保護手続き等にかかる官報公告等をは
最低でも2ヶ月以上おこない、
債権者の申し出の確認や対応をおこないます。
この公告期間が終わらなければ、
債務を弁済することはできません。
※債権者がひとりもいない場合でも、官報公告は必要です。
※会社が帳簿などで把握している債権者に対しては、
 個別通知(催告)を出します。


④清算の決了
会社の清算事務手続きが終了したときは、
以下の対応をおこない、清算を決了します。



※登記業務は司法書士業務です。


⑤会社の消滅
清算結了登記をもってはじめて、
会社は法律的に消滅します。



【会社にまつわる手続きはたくさん】

会社がその営業をクローズして消滅する
までの一連の手続きをご紹介しましたが、
同じ解散手続きでも、
株式会社でない形態の法人では、
その手続き方法や考え方が異なります。

また、会社という存在や
活動意義を見直す行為としては、
解散のほかにも、
休眠措置をとったり、
合併分割事業譲渡
などの選択肢も存在します。

会社としての存在をどのようにするのかは、
その見通しを踏まえて、
適切に判断していくことが必要です。

WINDS行政書士事務所は、
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