コラム

特定技能制度の現在

2020.08.26[VISA]




【特定技能外国人はどのくらいいるの?】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
特定技能制度の創設から、1年が経過しました。
この1年間で、
特定技能制度は、
どのくらい日本に浸透しているのでしょうか。


最新情報では、
特定技能外国人の人数は、
6,000人まであと一歩というところです。
令和元年度の想定最大受入人数は47,550人でしたが、
これに対して、
およそ1割とどまっています。

まだ新しい制度であるために
浸透しきれていないこともありますが、
新型コロナウイルス感染拡大によって、
外国人人材が日本に入国できない

また受け入れる企業が経済的ダメージを受け、
内定の保留や見送りが続いている

という事情も大きく影響しています。

しかし、
在留外国人を中心としたVISAの取得としてみると、
堅実な人数の伸び
を見せている
さらに新型コロナウイルスの感染が収束し、
入国制限が本格的に解除された後は、
伸びしろは十分期待できる
という風に、見ることもできます。
※以前のコラムで、
 特定技能VISAの更新申請についてご紹介しました。
 ⇒こちら


(法務省:在留外国人数データ参照)



【特定技能がもっとも多い職種】

特定技能外国人が働ける業種は、14分野です。
※特定技能の対象業種を
   ホームページにてご紹介しています。
 ⇒
こちら
※緊急措置として当面の間、
 繊維・衣服関連職種で「マスク製造」
作業も
   認められています。


このうち、
もっとも特定技能外国人が多い業種は、飲食料品製造
次いで、農業外食となっています。

飲食料品製造農業は、
いずれも技能実習からの移行対象業種となっており、
技能実習を終えた外国人の再就職や転職の手段として、
期待ができます。

また外食は、
技術・人文知識・国際業務VISAと
類似する業務につくことから、
ほかの就労VISA以外に取得する選択肢として、
専門知識や技能を身に付けることができます。

(技能実習移行対象職種)


新型コロナウイルスの影響を直接受けている業種として
サービス業があげられますが、
特定技能業種の中では、
旅館やホテルなどの仕事である宿泊伸び悩み
となっています。

(法務省:在留外国人数データ参照)


今後、
伸びしろがもっとも期待できる業種のひとつとして、
私は、

 介護

をあげたいと思います。



介護は、
新型コロナウイルスの感染拡大が進行しながらも、
2019年末と比べて、
もっとも高い増加率を示していました。
また、外国人と受け入れ企業、両方の立場でみても、
資格取得のための手段が複数用意されていることや、
将来的なキャリアプランが立てやすい
手薄だった人材が確保しやすい

といったことも、強みといえます。

(特定技能14業種の直近6か月間の増加状況)


ほかには、
技能実習から移行対象電子電気機械
試験合格を経て、ほかの就労VISAへの
幅広いキャリアパスが検討できる
外食
が、介護に続き、高い増加率を示しています。


【特定技能外国人の出身国】

現在、特定技能外国人でもっとも多いのはベトナムです。
全体の6割にもせまり、
『特定技能=ベトナム』と言えるほど、
大変多くのベトナムの方が、
特定技能外国人として日本で活躍されています。
勤勉で柔軟性が高く、また親日家が多いことが、
特定技能の仕事をこなすにあたって
最大のアドバンテージではないかと考えます。
※以前のコラムで、
 ベトナムの特定技能ガイドラインについて
   ご紹介しました。
 ⇒こちら


2位の中国は、
日本語でも使用される漢字に慣れていること、
豊富な人材が多いことから、
今後の推移にも注目したい国のひとつです。

また、どちらの国も共通して、
直近での大きな経済発展が背景にあげられます。


※割合の上位を占めている国は、
 技能実習でもほぼ同じ割合で上位を占めています。





【特定技能の取得ルート】


外国人の皆さまが、特定技能VISAを取得する選択肢は、
次の4つのルートに分けることができます。

①技能実習からの移行
 技能実習を終了した外国人が、
   引き続き日本で仕事するため、
 特定技能への変更を希望し、別の企業へ転職する
   ルートです。
 在留期間が3年または5年以内と
   限定されている技能実習VISA
に対して、
 技能実習終了後からさらに最大5年、
 2号を取得すれば無期限で在留できる特定技能VISA
   
は、外国人からも受け入れる企業の立場からも、
 キャリアプランを組み立てやすい
 魅力的なVISAと考えます。

②留学生の内定
 日本に留学していた外国人学生の方々が、
 卒業後の進路を考えるうえで、
 特定技能VISAは、専門性を身に付けることができ、
 多様な仕事が選ぶことができる

 魅力的なものに映るのではないでしょうか。
 在学中に特定技能のための試験に合格する
 時間と学力を十分備えられ
 企業の内定を受けてVISAを変更するこのルートは、
 就職活動がスタートしているこの今の時期から、
 問い合わせやご相談も増えています。
 
③各種試験の合格
 日本での在留経験がない、
 またはほかのVISAを取得していた外国人の皆さまが、
 その専門知識の習得や待遇を目指して、
 特定技能VISAの取得を目指すルートです。
 また企業にとっては、
 技術・人文知識・国際業務をはじめとする、
 これまで別の就労VISAではたらいていた外国人を
 特定技能外国人として迎え入れたい
という場合にも
 検討できます。
 特に外食宿泊は、
 ほかの就労VISAから、また
   ほかの就労VISAへの移行

 というキャリアプランを見込めます。
 ※以前のコラムで、
      特定技能評価試験についてご紹介しています。
  ⇒こちら

 
④その他
 養成学校修了生や、EPA候補者を施設で受け入れ、
 専門資格を取得することで、
 技能評価試験や日本語試験を免除してもらえる
 
というメリットをもって、特定技能VISAを取得する
   ルートです。
 たとえば、
 特定活動VISAを併用し
 
介護福祉士などの資格を取得する
 というキャリアパスにフィットします。
 企業側としては、
 人材の確保がしやすく
 特定技能2号取得以外にも
   多彩なキャリアプランを考えられる
 
というメリットがあります。


特定技能制度は、
現在の外国人在留資格としては1番新しく、
新型コロナウイルスという不意の影響はあるものの、
私は行政書士として、
まだまだ発展する可能性を十分に感じています。

特定技能が、外国人のキャリアプランに
一層フィットしやすい制度となることによって、
外国人の皆さまも特定技能VISAの取得に向けて、
モチベーションを高められ、
ひいては、日本の社会にさらに浸透し、
ますますニーズの広がりを見せるのではないか
と考えています。

WINDS行政書士事務所は、
特定技能VISAの取得を目指す外国人の皆さま、
外国人人材の活用をお考えの企業の皆さまのために、
よりよいVISAの選択、キャリアパスについて
今後もサポートをさせていただきます。