コラム

技能実習や特定技能等VISAへの特例措置

2020.04.17[VISA]




【法務省の新たな特例措置】


こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
コロナウイルス感染症が拡大されたことにより、
影響を受けているのは、日本人だけではなく、
日本国内に在留している外国人の方々もたくさんいらっしゃると思います。

中でも、

技能実習生
特定技能外国人
晴れて内定が決まった留学生


の皆さまも、この状況の中、
実習と生活の両立、
または受入企業の経営悪化などを原因として
技能実習の中止や雇い止め、内定の取り消しといった不幸に直面し、大変苦労されているという報道をよく目にしています。

こうした状況に対して、
4月17日、法務省が新たな特例措置を設け、技能実習生の救済に乗り出しました。



【就労・実習外国人は異職種への再就職が可能に】

今まで、技能実習・特定技能VISAを持っている外国人の皆さまは、
同じ業種の間で就労することしか許されていませんでした

しかし今回の特例措置により、
解雇された技能実習生の皆さまは、異業種への転職が可能となります。
また、
失業した特定技能外国人
内定が取り消しとなった留学生
も、再就職がしやすくなり、
日本国内で雇用が継続できる環境がととのいます。

特例措置による申請対応は、以下のとおりです。



<出入国在留管理庁:転職・再就職対象の14職種>


<出入国在留管理庁:雇用維持支援の概要>



※技能実習については、コロナウイルスの感染が終息次第、
 本来の実習に戻れるための措置もはかられる予定です。
   ⇒技能実習生が自由に転職できるわけではありません。
※雇用する事業主・企業は、
 転職・再就職が決まった特定技能外国人・留学生に対して、
 日本人と同等以上の報酬額を支払う必要があります。


ほかの職種へ就労を希望する外国人の申請情報に関しては、
出入国在留管理庁が取りまとめ、
自治体や業界団体などを通して、事業者へ情報提供をおこなうことにより、
各業界のビジネスマッチングがはかられます

【各業界への救世主となる?外国人人材】


事業者が外国人を解雇する場合は、
業績不振などのやむを得ない理由があること、
また本来は、同じ職種の範囲でのみ、再就職先を探すことを求められていました。

しかし、緊急事態宣言の発表による経済情勢の悪化に伴って、
各地域や業種内で、外国人の受け入れ先を探すことは困難であるケースが増えています。

また一方、緊急事態宣言より前の段階においても、
一部の業種や職種では、
依然として人材不足は解消されていませんでした。

実際、農業分野では、人材不足による危機感から、
時給額のおよそ500円程度補助に踏み切るといった先行措置、
また同様にウイルス感染拡大の影響により、
大幅な業務の縮小がされていると見受けられる観光業や建設業でも、
一時的に農業をはじめとする他分野でも働いてもらおう、
という構想がすでにあがっています。
(農林水産大臣の記者会見は、以前のコラムでリンクをご用意しております⇒こちら

こうした課題にも一石を投じられることが期待できます。

今回の特例措置は、たとえば今まで、

ホテル業界で働いていた外国人が、農業へ
介護職に就いていた外国人が、マスクの製造へ


就業することができ、ひいては、

外国人の職業選択の自由の拡大
多様性の尊重


という歴史的展開にもつながるのではないでしょうか。

現在、転職に悩む外国人の皆さまにとって、
強力なサポートとなることは間違いありません。

技能実習や特定技能と新たに創設されたVISAが、
こういった場面で活用されることによって、
このコロナウイルスの危機が乗り越えられること、
また異文化が共生できる日本社会として、
ますます認知が高まることを、期待してやみません。