コラム

【最悪実名公表!身柄拘束も?!】補助金・助成金の「不正受給」

2025.12.10[事業支援]





【不利でしかない「不正受給」】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
個人、法人問わず、
ビジネスや取り組みにおいての資金調達手段
として活用できる、補助金と助成金。
返済不要という大きなメリットがある一方、
近年は不正受給という
ネガティブな事実が問題視されています。
中には、
申請者や関係者にその気がなくても
様々な要因が重なり不正受給やその関与
の疑いが持たれることも少なくありません。

不正受給をした場合には当然、
補助取り消しをはじめ
相当のペナルティが待っており、
行政調査によって多くの事案も発生しています。

今回のコラムでは、
不正受給の発生事例やリスクとペナルティ、
申請者や関係者が
ペナルティに巻き込まれないための
対応策などを紹介します。




【当てはまってる?不正受給の定義】

補助金、助成金における
不正受給とは、
受給要件を満たしていないにも関わらず
虚偽や不正な手段によって
補助金や助成金を受給するorしようとする行為

を言います。

意図的な=故意の不正があるため、
行政手続き上の単純なミスとしては
決して片付けられるものではなく、
法的に明確に拒絶される行為
に該当します。

その責任は、
申請事業者はもちろん、
組織や団体であればその役員やスタッフ、
代理人その他申請に関与した者などすべて
が連帯して問われる

おそれがあります。
たとえば、
法人を申請者とする補助金の申請で
社員が不正行為をした場合、
代表者、上司など含めて
法人と個人どちらも責任を負い、
ペナルティが適用される
ことになります。
※故意に該当しない、
 確認不足や誤解などに起因する
 過失の場合は、
 その責任が減免される場合もあります。


また、
実際に補助金や助成金を受給していない
としても、
不正な書類作成・申請提出
の時点で、不正受給が成立します。



 

【不正受給は「バレる」ようになっている】

補助金や助成金の不正受給は、
厳格な行政調査をはじめ、
私たちの想像以上にさまざまな構造によって
非常に高い確率でバレる
のが事実です。

公表事案から、
不正受給の発覚プロセスは、
次のようなものがわかっています。



不正受給が最も大きく取り上げられた
コロナ禍の給付金や助成金では、
関係者の内部リークによる発覚ケース
が多く、
多くの事例が報道され
申請者だけでなく
関与者、企業も摘発されたことは、
記憶に新しいところです。
文春オンラインの記事
朝日新聞の報道

また、行政機関の調査も
近年は不正受給への対応を一層強化

不正受給の意図や計画性、反復性
などが認められて悪質と判断された場合
警察本部と密接に連携を図り
積極的な刑事告発を進めています。

常に事前予告なく
調査や情報提供がおこなわれるため、
不正受給は必ず発覚するリスクがあります。
補助金や助成金の申請にあたっては、
不正が隠し通せるという危険な考えは改める
べきであることを認識しなければなりません。




【不正受給事例のパターン】

不正受給となる要素は
その手段、プロセスから多岐に渡り、
おもに次のようなものが挙げられます。
※いずれも故意の発生が想定されています。



①虚偽申請・報告
補助金・助成金の
申請or採択後の実績報告において
申請者情報、事業実態や成果など
事実を偽る行為で、
意図的な詐欺行為とみなされます。

補助金や助成金とは
制度の毛色が異なりますが、
コロナ禍の給付金においては
要件を満たさない者によるこの行為からの
不正受給の発生が世間を騒がせました。

また補助金では、
事業が進んでいないにも関わらず
進捗しているとの虚偽報告で、
概算払いを含めた補助金の受給
をねらう行為も見受けられます。
経済産業省:給付金の不正受給
※事業の開始や終了時期を偽った申告
 もこれに該当します。


②架空経費計上
実際に支出していない経費を
架空の請求書や領収書を作成、準備
or
実際の発生経費を
わざと高額に水増し計上
する行為
です。

外部業者への委託費用水増しや
未実施の研修やセミナーを報告のうえ
請求書の偽造して計上
取引先に協力してもらい
実際より高額な請求書の発行で過大費用計上
といった行為が事例として挙がっています。

③補助金の目的外使用
申請、採択、報告を経て
支給された補助金や助成金を
制度目的以外に使用する行為
です。

たとえば、
設備投資のための受給金を
水道光熱費や接待交際費などへの流用
サービス展開と題して
実際は会社役員が私腹の肥やしにしていた
などのケース事例があります。
文部科学省:研究機関不正使用事案

④二重申請・受給
同じ事業、発生経費に対して
複数の補助金や助成金を申請し
結果的に重複受給する行為
です。

基本的に補助金・助成金は
ひとつの制度上、
同じ経費、同じ事業に対して
利用できるのは1度だけ

意図的に2回以上申請できません。
実際、ほぼすべての補助・助成制度で
ほかの補助金や助成金制度との併用NG
のルールが定められており、
発覚した場合は
一定期間制度活用が認められず
主管省庁のブラックリストにも載るなど、
受けるペナルティは長きに渡ります。

ただし、
類似経費でも異なる事業や期間で
同一事業で発生する経費を切り分けて
複数制度に申請し受給するのはOK
です。

⑤偽装取引
取引や外注がないにも関わらず
申請者が業者に協力してもらい
注文や納品、検収などのサービスを受けた
と取引を偽装して申告する行為
です。

この行為においては、
外部業者との偽装協力を確かにするために
受給した補助金や助成金を
キャッシュバック・キックバックなどで
協力業者に還流させる
というスキームがとられるケース
が多発しており、
組織的・計画的な不正行為として
悪質さが際立っているといって良いでしょう。

⑥不適切な事業計画変更
通常、補助金や助成金は
制度目的に沿って申請がおこなわれ
コンテスト方式で選ばれた事業が
採択、そして事業実績報告によって
最終審査を経て受給します。

しかし何らかの事情で
その事業が急遽ストップor延期
or
事業内容が変更
したにも関わらず
事前に事務局に申告をせず
制度活用のうえ受給
すれば、
この不正行為に該当してしまいます。
※ほぼすべての補助金・助成金では
 事業の重大事項に関わる
 計画や実施内容などの変更は
 必ず届け出て、事務局の許可や承認を
 受けることが義務付けられています。


⑦従業員の名義貸し
実際には雇用されていない従業員の名義で
補助金・助成金を申請のうえ、受給する行為

で、いわゆる名義貸しとして
不正行為とみなされます。

該当傾向としては、
補助金よりも雇用関連の助成金に
多く見受けられるケースで、
何人雇えばor担当者がいれば
審査優遇、加点項目になるなどの特別ルール
を目当てに友人や親族の情報を使って
実体のない雇用実態を装い、
事業スタッフ水増しの傾向が見受けられます。
※雇用関連など、厚生労働省主管の助成金
のサポートは、行政書士ではなく
社会保険労務士などの専門業務となります。


⑧そのほか
①~⑦以外のケースとして、
 
  • 会社定款や会計書類の改ざん
  • 指定期間から外れた事業実施や経費計上
  • 事務局指定の提出や説明の期限未遵守

なども、不正受給につながる行為に該当します。

補助金の事例として、
稼働スタッフの人件費計上のための
対象書類である勤怠データが
労働法違反とならないよう勝手に変えられていた
という事例があります。



 

【不正受給の適用ペナルティ】

補助金や助成金の不正受給は、
国家に対する欺罔行為

として犯罪と扱われ
経済制裁や社会制裁、刑事罰など
さまざまなペナルティが適用

されるほか、
事業継続そのものに致命的な影響
を及ぼします。
ペナルティの種類によっては
申請者に対する影響や
迫られる対応も異なります。
小規模事業者持続補助金:不正行為とその対処

実際の事例から
適用されるペナルティをご紹介します。

①補助・助成取り消し
不正受給が発覚した場合、
正当な申請とは認められず
補助金・助成金の採択は取り消しとなります。
採択が取り消されることになれば
当然支給も取り消されます。

②補助金・助成金返還&罰金
不正受給発覚時に
すでに補助金や助成金を受給している場合は、
事務局から返還命令が出され、
申請者は命令に応じなければなりません。
返還命令には返還期日が定められ、
それまで返還しなければ、
加算金延滞金も発生します。
さらに、
不正受給という事実が発覚した時点で
受給額の20%相当の違約金が上乗せされ、
実質受給額の120%以上の金額返還が求められる
ことになります。
IT導入補助金:補助金の返還



ここ注目すべきなのが、
返還金額が
不正発生日を含む期間以降の全額

である点です。
たとえば、
受給対象期間の途中で
ひとつでも不正が発生した場合、
その後の受給全額が
その当時にさかのぼって返還対象として算定
されます。
さらに20%の加算金+延滞金が上乗せ
となれば、
事業者としての財務を破綻させるほど
の強力なダメージとなるでしょう。

③不正事実の公表
発覚した不正受給額が100万円以上の場合、
行政庁は例外なく、
申請事業者名、代表者名、不正事実の内容
を公表します。

特に実名公表は、
事業主にとっての社会的制裁のインパクト
は計り知れません。
仮に刑事罰に問われなかったとしても、
ビジネスにおけるあらゆる面で信用を失い
取引停止や契約解除、融資停止など
を引き起こすおそれも大きいです。

実際にIT導入補助金では、
不正事実を発覚の都度、
実名とともに公表しています。
IT導入補助金:2025/11/18付支援事業者登録の取り消し

④制度利用制限
不正受給が発覚すれば
行政庁は対象申請者申請者に対して
今後の助成金・補助金申請資格の制限措置
⇒不正受給申請者の情報をブラックリスト入り
を講じます。

これは正式な行政処分であり、
新設されるものも含めて
5年間は補助金・助成金の活用が
できなくなります。

※不正受給発覚時に並行申請した
 補助金・助成金においてもすべて不受理
 と扱われます。


公的資金の申請や受給資格を失われることは、
ビジネスのための資金調達手段のひとつが
断たれることになり、
経営の自由度がなくなるのは痛手でしょう。

⑤刑事告発
発覚した不正受給が
非常に悪質と判断された場合、
刑法や特別法違反として刑事告発
されるおそれがあります。

刑法違反の適用となる犯罪としては、

 詐欺罪(国や自治体を騙した)
 私/公文書偽造罪(書類偽造し公金を搾取した)


があり、

 MAX10年の拘禁刑
 MAX100万円の罰金(法人の場合MAX3億円)


のいずれかor両方が科せられます。

仮に身柄拘束となれば、
逮捕期間と合わせて
MAX23日間警察署内留置施設へ収容
&取り調べを受ける
ことになり、
事業者は業務停止に陥ることになります。

また
補助金・助成金に対応する特別法
においては、
補助金適正化法違反
が挙げられます。
e-Gov:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律

この法律違反で、

 MAX5年の拘禁刑
 MAX100万円の罰金


が科されるだけでなく、
申請者はもちろん、
関係者や関与者も処罰対象
となる

 両罰規定


が設けられており、
事業者のコンプライアンス体制不備にも
鋭くメスが入ることになります。



⑥申請者以外の関係者への波及
⑤でも少し触れました、
不正受給が発覚した場合、
多くのケースでは
申請事業者だけでなく、
協力や関与した従業員や関係者、業者
なども処罰規定の対象になります。

法改正によって、2019年4月以降、
不正受給に対する処罰が厳格化され

不正受給に関与した代理人も罰則対象
となりました。
この
代理人には、
私のように

申請代行やコンサルタントをおこなう
行政書士なども例外なく含まれます。

お客さまがこうしたペナルティに巻き込まれず、
適正な申請と事業実施がおこなわれるよう、
私自身も常に気を引き締めて
サポート対応を心がけています。




【不正受給が発覚したら?必要な対応】

不正受給を意識した行為であったかどうか
を問わず、
不正受給につながる該当行為が発覚した場合には
事業者の将来を見据えて適切な対応が必要です。
そのときに申請事業者とそて必要な行為を
ピックアップしてみました。

どの対応においても、
真摯な反省
そして
問題解決に積極的に協力する姿勢を示す

ことで、
刑事告発などを免れる可能性もあります。

①事業者内の実態事実確認
不正受給してしまった場合、
結果的に補助金・助成金事務局を通して
関係省庁に報告が必要ですが、
そのためには
申請者として冷静、客観的に
不正受給と発端となった不正行為の
事実関係を把握
することが大切です。

行政機関は
不正受給の事実を知ると
事業者としての内部の会計・勤怠等資料や
事業実態・通信などの記録、
申請事業実施のため外部と取り交わした書類
などを精査し、
不正度合いや、関与者、故意の有無
を徹底チェックします。

不正受給を引き起こした行為の裏側に
悪質な支援者がいて、
本意ではない不正であった場合は、
キックバックスキームに巻き込まれている可能性
もありますので、
申請事業者が被害者でもあることと
事実関係を切り分け、法的に主張できる姿勢
を整えることもできるでしょう。

②行政への申告・返還
不正受給発覚後での対応として、
補助金・助成金の事務局や関係省庁などの
行政機関に事実関係の申告が必要不可欠です。

この申告を
関係省庁から促されておこなうよりは、
法的・刑事的な制裁の回避や
ペナルティの減免を目指して、
また取引の信頼を可能な限り維持できるよう
①の確認時点で、
早期に自主申告、受給額の自主返還

することが望ましいでしょう。
実態がクリアにならない内容であっても
「現在も調査中」と報告することも必要です。

最終的に行政機関は、
申請事業者から受ける実態報告を受けて
制度ルールに基づいて処分が決定、
返還や加算支払額の算定をおこない
申請事業者に通達します。
IT導入補助金:自主返還について

③告発対応
万が一、行政機関から刑事告発
となってしまった場合、
将来的に警察や検察による捜査が
おこなわれることが懸念されます。
この状態になれば、
情状酌量の余地や起訴猶予
の判断材料を探ることになりますので、
この分野に精通する弁護士などの専門家に
早い段階で相談、依頼すべきです。
行政処分を最小限に抑える
包括的なリスクマネジメントが、
状況解決のキーポイントと言えるでしょう。




【不正受給をしないための予防策は?】

一方、
補助金・助成金の不正受給においては
申請が適正でない、不備などが原因で、
気付いたらそのような事態になっていた
(過失)という状況で
発生したとみなされることもあり得ます。

しかし、過失があったといっても、
不正受給の事実は覆せません。
意図したつもりではないのに
不正受給と判断され、
行政からペナルティを言い渡された
となるのを未然に防ぐ対応方法についても、
以下のとおりご紹介します。

①余裕をもった準備と申請
一般的に、補助金や助成金は、
公募回数や時期、申請受付期限が
設定されています。
特に、
事前準備が遅れて
事業計画があいまいなまま
申請受付期限ギリギリで申請しようとして
根拠のない事業内容や数値を記
入すれば、
採択が危ぶまれるどころか、
虚偽申告リスクも高まります。
資料や書類を急いで作成しようとすると
たいてい、記載の抜け漏れや間違い
といったケアレスミスも発生しやすくなるものです。
公募ルールや申請スケジュールは事前に確認
のうえ、
提出期限1~2か月前までには
申請準備を計画し、余裕を持って適正に申請

しましょう。

②申請内容のチェック徹底
補助金・助成金の申請でアピールする
事業内容は
制度にフィットし魅力的である

ことが求められますが、
これはあくまで正確で整然とした書類が
ベースにあるべきで、
書類にミスがなく、不備にも不正にもならない
ことが求められると考えます。

申請において準備した申請書類は
担当者とチームメンバー、
さらには上長や代表者などもまじえて
ダブル、トリプルチェックしたり
準備書類の担当を分けて作成、準備
とすることで、
作業負担やストレスの分散、
ひいては申請ミスリスクも低減できます。

③正確な申請、実績報告で締めくくる
近年、
補助金や助成金の申請や採択後の実績報告
紙書類の郵送提出ではなく、
オンラインが主流となっており、
指定形式や容量に収めて書類をデータ化
書類データのアップロード
申請項目への入力
といったデジタルタスクが控えています。
これら作業をミスした場合に
意図的でなくとも、不正受給につながる行為

とみなされることもあります。

よく分かんないけどとりあえずこれでいいや
時間ないしワンチャンこれで申請しとけばいけるっしょ


などの感覚で
申請や実績報告を終えることなく、
定められた申請手順に沿って丁寧、確実な申請作業
をおこなうことで、
万が一、申請事業者自身で
申請ミスや不正受給リスクに気付いた場合でも
申請の取り下げも事業者の不利益を避ける

選択肢として有効でしょう。




【不正受給は絶対NG!取り組みに適切な制度活用】

国や地方自治体が展開する補助金・助成金は、
返済不要の貴重な資金繰り手段として、
事業者の成長戦略や安定した経営
を支える制度です。
その不正受給は決して許されるものではなく、
対象事業者に対しては
厳格なペナルティが科されるため
信用失墜や法的措置にもつながりかねません。
たとえ不正の意図がなくとも、
確認不足などによる申請ミスも
不正受給と見なされる可能性があります。
補助金・助成金の申請においては、
その条件やルールを十分に確認し
適正に利用しましょう。

そして万が一、不正受給が疑われる場合は、
関連省庁への報告や自主返還などを
迅速に進めることで
ペナルティやビジネスリスクの回避可能性
が高まります。

補助金や助成金の申請サポートはもちろん、
不正受給問題でお悩みの場合は、
WINDS行政書士事務所までご相談ください。
ペナルティ確定や取り返しがつかない状態
となる前に、
御社状況詳細のヒアリングのうえ、
解決策へと導けるよう、
コンサルティングをさせていただきます。



 
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