【技能実習から厳格化】育成就労の「外部監査」
2026.01.14[VISA]
※育成就労のグランドルールについては、
過去のコラムで解説しています。
⇒【廃止の技能実習を受け継ぐ】新制度「育成就労」
⇒【2027年施行!どうなる?】育成就労の対象分野と職種
⇒【育成就労の強力なサポーター】監理支援機関
⇒【技能実習より要件大幅緩和!】育成就労の「転籍」

【育成就労でも必須!外部監査人】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2024年6月に改正出入国管理法が可決・成立し、
育成就労法の交付によって
育成就労のグランドルールが明らかになりました。
特定産業分野での就労を通して
人材の育成と確保を目的とするこの新制度は、
2027年4月に
現行の技能実習制度を発展的に解消
して運用スタート予定で進められています。
育成就労を実施する機関の運用サポートは
監理支援機関がサポートしますが、
この団体の成立にあたり絶対条件
とされているのが、外部監査人の設置です。
技能実習でも存在している外部監査人ですが、
制度的に比較してみると
要件は厳格化されています。
今回のコラムでは、
育成就労における外部監査人の立ち位置や
監理支援機関との関係性、
監理支援機関が事前に注意、準備すべきポイントを
VISAサポートのプロが解説します。
【監理支援機関に設置される外部監査人】
2027年4月をターゲットに準備中の育成就労制度。
その運用は、
団体育成就労型
(業界団体or事業協同組合が外国人を受け入れ
運用管理や監督も主体的におこなう)
と
監理育成就労型
(単独の事業者が外国人を受け入れ
監理支援機関が運用管理や監督などサポート)
の2パターンに分かれます。
制度ルールは異なるものの
現行の技能実習ルールが踏襲されており、
これまでの実績からも
後者の監理型運用がほとんどの割合を占める
と見込まれています。
※外国人技能実習機構:技能実習の現状
育成就労機関をサポートする
監理支援機関は、
技能実習監理団体が手続きなしに
そのままなれるものではなく、
非営利団体が
一定要件を満たすことによって
主務大臣の許可を得て登録
されるものです。
この、一定要件のなかに、
外部監査人の設置
が義務として定められています。
※監理支援機関とその要件については、
こちらのコラムで詳しく解説しています。
育成就労外部監査人のおもな役割は、
次のとおりです。


【重要性が際立つ育成就労外部監査人】
育成就労制度においては、
外国人と育成就労機関の間の
中立性と独立性キープ
が図られ、
育成就労法にもそうした要素が
条文の端々に散りばめられています。
一方、過去に
一部の技能実習監理団体が引き起こした、
- 違約金を含む不適切な契約
- 監督不履行
- 人権侵害の放置
- 行政処分・命令の多発
は、
外国人就労において深い傷跡を残しました。
※朝日新聞の報道
※厚生労働省:監理団体取消処分含む報道発表資料
監理支援機関は
運用サポートの役割を果たす存在
としてルールに加えられていますが、
技能実習制度で実際にこうして起こった
トラブルが再発しないよう、
監理支援機関自体も
サポートオペレーションにおいて
公正&適切な管理を受ける
ことが望まれます。
そのため、
外部の実効的なチェック機能
として
技能実習時よりも
さらに厳格に運用管理するため
登録時点から
監理支援機関に
外部監査人を設置することは
絶対重要条件
であり、
監理支援機関の登録許可はもちろん、
育成就労全体の適正な運用においても
外部監査人は
非常に重要な役割を果たす存在となります。
ちなみに、
団体型育成就労では
外部監査ルールはありません
が、
違反事実や不適正事案に対する
行政の報告徴収、立入検査、処分
がおこなわれるなど
行政監督の対象となるため、
監理支援機関を付けないパターンの
育成就労であったとしても
ノーチェックというわけではない
ルール設計となります。

【外部監査人の必要不可欠な3要素】
育成就労において
外部監査人は
制度ルールにおける中核的役割を担う存在
として、役割が担保されています。
この就任における必須要素は、
次の3つです。

主務大臣は、許可の申請があった場合において、その申請者が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときでなければ、その許可をしてはならない。
1 本邦の営利を目的としない法人であって主務省令で定めるものであること。
2 監理支援事業を適正に遂行するに足りる能力を有するものとして主務省令で定める基準に適合しているものであること。
3 監理支援事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有するものとして主務省令で定める基準に適合しているものであること。
4 個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第四十条第一項第四号及び第四十三条において同じ。)を適正に管理し、並びに監理型育成就労実施者等及び監理型育成就労外国人等の秘密を守るために必要な措置を講じていること。
5 監事その他法人の業務を監査する者による監査のほか、監理型育成就労実施者と主務省令で定める密接な関係を有しない者であって、職務の執行の監査を公正かつ適正に遂行することができる知識又は経験等を有することその他主務省令で定める要件に適合するものに、主務省令で定めるところにより、役員の監理支援事業に係る職務の執行の監査を行わせるための措置を講じていること。
6 外国の送出機関から監理型育成就労の対象となろうとする外国人からの監理型育成就労に係る求職の申込みの取次ぎを受けようとする場合にあっては、外国の送出機関との間で当該取次ぎに係る契約を締結していること。
7 前各号に定めるもののほか、申請者が、監理支援事業を適正に遂行することができる能力を有するものであること。
(育成就労法第25条1項)
①独立性と中立性
育成就労の外部監査人が求められるもの
の中でも最重要要素と言えます。
外部監査人は、
密接な関係者が形式的に就任するのではなく、
実質的に独立しており
どの関係者にも寄らない中立性
が確保されていなければなりません。
そのため、
次の者は外部監査人に就任できません。
これは、
技能実習でおこなわれたような
監理機関によるセルフ監査
密接な関係者の外部監査人就任
の選択肢は絶たれる
ことをあらわしています。

※過去の雇用関係者を含む役職員や
2親等以内の親族なども
外部監査人の要件対象外とされます。
②専門的知見と能力
育成就労を適正運用していくためにも
外部監査人には、
制度ルールを適切に理解、判断
人権や国際基準にも配慮ができ
高度な法的知見と実務実績の両輪が確立
できていることが求められます。
これを満たし、
外部監査人の役割を十分に果たす存在と
認められる者は、
次のような有資格者が想定されています。
特に行政書士は、
申請から要件コンサルティングまで
VISAサポート全般に業務に精通する
制度の複雑さを理解していることから
外部監査人には適任です。

※出入国在留管理庁:育成就労制度Q&A
※役職員は外部監査人に就任できませんが、
指定外部役員の場合は、
上記士業有資格者であれば就任可能です。
※このほか、
大学教授
外部監査講習20回以上実施機関
も外部監査人の資格があります。
③適切な遂行体制
育成就労における外部監査人には
実績やノウハウを生かして
監査実務が確実に遂行でき、
育成就労の適切な運用に機能する存在
であることが求められます。
そのため、
単なる書類作成だけであったり
形式的なチェックしかおこなわない者は
育成就労ルールの趣旨に反し認められない
と判断されます。
また、
今後詳細ルールがリリース予定ですが、
少なくとも次に該当する者は
欠格事由者としてこの要件を満たさないと
考えられます。

ご紹介してきた
制度上の立ち位置や要件を踏まえて、
技能実習外部監査人との違いを
まとめると、次のとおりとなります。
技能実習では
監理業務のひとつに過ぎなかった
外部監査人の対応は、
育成就労では
制度運用のカギを握るピース
として厳格化され、
育成就労機関や監理支援機関は
外部監査を決して甘くみることはできない
ことがわかります。


【外部監査人設置における注意事項】
育成就労は
グランドルールがすでに確定しており、
2027年4月に施行=本格導入予定
です。
外部監査必置が登録要件となっている
監理支援機関の事前登録申請受付も
2026年9月よりスタート
が決定していることから、
外部監査ルールは
2026年夏ごろには公表される
と見られています。
※JITCOでは2026年4月15日から
施行日前申請受付をスタートします。
こうした動きから、
外部監査人の設置において
準備できることや注意事項を
監理支援機関目線でピックアップしました。
是非ご参考ください。
①外部監査人の選任
登録を希望する団体は、
要件をすべて満たし、
登録申請のうえ主務大臣の許可を得ることで
監理支援機関となりますが、
そのためには、要件のひとつである
外部監査人を設置し、
リスクヘッジをとることが重要です。
登録申請のタイミングに間に合うよう、
外部監査人としての要件を満たす
行政書士をはじめとした専門家に
コンタクトをとり
要件のラストピースとして早めに選任する
ことをおすすめします。
②外部監査人対象業務の理解
詳細ルールがリリースされていない
ことも原因ではありますが、
対象業務の区別は
関係者の皆さまでも誤解されやすく、
当事務所にも多くお問い合わせをいただきます。
外部監査人がおこなうのは
監査実施のほか
コンプライアンスチェックと
関連アクションとなりますが、
以下の業務は
外部監査人の対象ではありません。

③外部監査の代理
育成就労の外部監査人は、
外国人はもちろん関係機関まで
その運用実施状況を厳格にチェックします。
そのため、
原則、代理実施はNG
育成就労機関内に
監査役が設置されているとしても、
その監査役が外部監査人に兼任NG
となります。
④外部監査人の就任と任期
グランドルールである育成就労法から
今年中に詳細ルールが順次公表の見込みですが、
外部監査人の要件で公表されているのは
重視されるべき素養や実績
などの範囲までに留まり、
任期や契約可否など、詳細条件については
まだ定まっていません。
育成就労法公布となった
2025年のタイミングで、
ネットでは、
私は育成就労外部監査人の資格があります
当社は育成就労外部監査資格を持つ
社員がいます
といった
エージェントや企業のアピール
を見掛けますが、
こうした営業アピールに惑わされず、
監査やVISAサポート実績
法ルールに詳しい知見などの要素をふまえて
良識をもって
外部監査人の選任準備にあたりましょう。
※当面は
技能実習監理責任者資格が
育成就労外部監査人資格として
「考慮」されますが、
完全に資格を満たしてはいません。
また、
任期につながる要素として、
契約自体は締結できるが
顧問など
固定的地位が確約されるものではない
設計となる旨、
監査の形骸化防止、密接な関係や癒着の回避
を目指すとすれば、
現時点では単年契約、都度更新
(不適格な監査人は任期更新しないor解任)
が現実的であると考えられ、
契約任期が残っていても続投
では通用しない可能性が高いですので、
条件面を網羅している契約書の用意
もまた大切であると考えます。
⇒契約書ドラフト作成サポートも可能です。
当事務所までご相談ください。

【運用スタート間近!外部監査体制の準備を】
監理型育成就労をサポートする
監理支援機関の許可要件として、
そして適正な運用を支える存在としても
外部監査人の存在は大きくなると考えられます。
厳格な監査が求められるこの新制度上、
セレクト制であった技能実習とは違う肌感
で認識すべき一方、
監理支援機関の登録申請準備としては
申請受付がおこなわれる今年中には
外部監査人を選任することが望ましいでしょう。
監理支援機関として就任予定の団体の皆さまは
選任要件を十分に確認のうえ、
事前準備対応を進めていきましょう。
WINDS行政書士事務所は、
外部監査を含め、育成就労制度に関わる
VISA申請サポートやコンサルティング、
セカンドオピニオン
など幅広く対応を承っております。
技能実習における外部監査実績も多数ございます
ので、過去制度をふまえて
関係機関の皆さまのお役に立てると考えています。
どうぞお気軽にご相談ください。

