コラム

コロナ禍での技能実習VISAの取り扱い

2020.04.22[VISA]




【入管による特例措置】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

前回のコラムで、
技能実習生や特定技能外国人、内定取り消しを受けた留学生
に対する特例措置についてご紹介しました。
こちら

この特例措置に沿って現在、
出入国在留管理庁でも具体的なワークフローを展開しています。
今回は、技能実習生に対する救済措置について、さらに詳しくご紹介いたします。



【当面の技能実習生の取り扱い】

現在、コロナウイルスの感染拡大により、
日本における状況は環境的、経済的に、引き続き余談を許さない状況が続いています。
この状況は、在留している能実習生に対しても、直接影響が及んでいます。
こうした事態を踏まえ、出入国在留管理庁によって、
在留資格の切り替えにより、
融通が利くよう、便宜がはかられています。

切り替えるVISAは、
現在の実習生のステータス別に、以下の選択をすることができます。
変更申請にいたる理由や状況を合理的に説明するための書類を
提出することが必要であることに、注意したいところです。

①フライト制限・入国禁止措置により、本国への帰国ができない
 ⇒90日間の期滞在または3か月間の特定活動(就労可)
 ※この要件に限り、顔写真が不要となります。
 ※この場合の特定活動が選択できるのは、
  同じ受入機関・業務での就労を希望する場合だけです。
 ※帰国できない状況が長引く場合は、更新申請もできます


②滞在するため、生活費を稼ぐため、仕事をしたい
 
30日間以上の特定活動(就労可)
 ※理由書の提出が必要です。(テンプレートあり)

③技能実習3号へ移行したい
 
技能実習3号
 ※3号実習は、優良な監理団体・実習実施者のもとでおこなわれる必要があります。
 ※理由書の提出が必要です。


④試験が受けられず、次の実習ステータスに移行できない
 ⇒4か月間の特定活動(就労可)
 ※説明書の提出が必要です。(テンプレートあり)
 ※技能の修得が非常に優良な人材であることを合理的に証明できれば、
  申請時に「やむを得ない不受験者」として受理される場合があります。


⑤特定技能に移行したいが、準備が整っていない
 
4か月間の特定活動(就労可)
 ※技能実習3号修了者も対象です。
 ※誓約書の提出が必要です。(テンプレートあり)


⑤特定技能に移行できる準備が整っている
 
特定技能1号

⑥解雇を受けて、実習を続けることが難しい
 
現ステータスの技能実習または最長1年間の定活動(就労可)
 ※コロナウイルスの影響により、
 「当面の間」、他職種への変更申請ができます
  ⇒ウイルス事態の収束後のフローは、まだ決定していません。
 ※実習先の変更のための転職支援



ご紹介したステータス別のVISAの選択肢を図にまとめると、
このようになります。

 他のVISAに関しては、申請の受理期限が3か月延長されています。
  
以前のコラムでご紹介しておりますので、合わせてご参考ください⇒こちら


「帰国」という選択肢については、
その旅費は、監理団体・実習実施者が負担する方針に変わりはありません。
しかし現在、多くの海外線フライトが欠航となっていること、
また入国拒否の措置をとっている国も多いことから、
実習生の皆さんの立場を考えると、現実的に難しいのではないかと考えます。

一方、在留資格認定証明書交付申請については、
発行された証明書の有効期間が、3か月⇒6か月と緩和されています。


【技能実習生を守る「切り札」】

技能実習VISAは本来、
技能を修得し、母国に還元するという趣旨で創設されたVISAで、
特定の公私の機関との契約にもとづいて、業務にあたり、
その活動は限定されていましたが、
特例措置は、
コロナウイルスが収束する間の「つなぎの措置」として
とられることとなります。

日本国内のコロナウイルス感染者数は、日に日に増加しており、
5月6日までとする緊急事態宣言も、全国に拡大されました。

こうした事態に、各業界でも混乱をきたしており、
技能実習の中断や実習生の雇い止めといった報道も多く耳にするようになりました。

フィリピンやベトナム、インドネシアなどの外国からいらっしゃり、
日本で仕事や実習をがんばってきた外国人皆さんにも、
外出の自粛や生活の調整など、大きな影響がおよんでいると想像します。

今回の特例措置は、こうした不幸から、

実習生や実習実施者を守る盾になり得るだけでなく
今まで組み立てられてきた技能実習制度そのものをも
見直し、またさらに磨き上げる、きっかけにもなるのではないか


そう、考えることもできます。

また、外国人の皆さんは、VISAの申請だけでなく、
現在報道がされている、10万円特別給付の制度も活用することもできます。
実習生の皆さんは、こうした制度も最大限利用していただきたいです。
 ※10万円の特別給付金は、国民1人あたり一律で給付。
  在留期間が3か月を超え、住民基本台帳に記載されている外国人も対象となっています。
 
総務省:特別定額給付金の概要⇒こちら

日本にいる国民、在留いただいている外国人、力を合わせて、
この難局を乗り切って、1日でも早く平和な日常に戻りたいですね。

こうした特例措置に関連するご相談、ご依頼につきましても、
当事務所で随時お受けしております。
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