コラム

【2025年10月からの改正要件を網羅!】経営者や役員のための「経営管理VISA」

2025.10.14[VISA]





【外国人経営者のためのVISAルールが変わる!】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
日本に在留する外国人が、
日本で起業したい場合
VISAはどうすればよいのか

との相談をお受けすることがあります。
そんな在留外国人が、
会社を設立するために必要なVISAが

経営・管理VISA

です。

2024年6月現在、
VISAを取得している外国人のうち、
経営管理VISAを取得しているのは
VISA全体のわずか1.1%

と、
ほかのVISAに比べてかなり少ないです。
出入国在留管理庁:令和6年6月末現在在留資格取得外国人数

VISA申請の中でも、取得できる外国人が限られ、
審査の難易度も高いこのVISAですが、
2025年10月16日よりルールが厳格化
します。
どこがどのように厳しくなるのか、
経営管理VISAの許可実績豊富な専門家が
最新ルールをふまえた
具体的要件や注意ポイントを解説します。




【新要件!経営・管理VISAとは】

経営・管理VISAは、
日本で貿易その他の事業の経営
をおこなう、または
当該事業の管理に従事する活動
のことです。
※法律・会計業務の経営や管理
 といった従事活動は
 このVISAの活動範囲からは外れます。


一般的に
このVISAを取得すべき外国人は、

①日本での起業、経営者
②日本企業で管理職や役員への就任者


となります。

万が一、
このVISA申請が不許可となった場合は、
会社の経営ができない
だけでなく、
融資の審査に通らない
会社名義の口座が開設できない

など
会社に大きな影響をおよぼす
と考えて良いでしょう。

経営管理VISAの要件は
従来でも、申請者自身だけでなく、
事業内容や組織体制など
幅広く設定されていましたが、

許可基準の改正によって厳格化
2025年10月16日から
改正ルール施行


となります。

そのため、
このVISA取得を希望する
事業者さまや外国人の皆さまは
アップデートされたルールを踏まえて
すべての要件をクリアすることが
必要になります。

<取得要件1⃣(申請者)>
申請者に求められる要件は、

①起業・経営者
②管理者・役員など


に分かれます。

また許可基準になかった要件が
今回の改正で追加されます。



まず、
従来まで求められていた
3年の実務経験は
①②共通要件としてカスタマイズ
され、
学歴要件とは完全に切り分けられ、
経営管理VISA取得前の準備期間としての
特定活動VISA在留期間もカウントOK

となります。

また
学歴要件は
外国で取得したものも対象

になります。
実務経験、学位の要件は
どちらかを満たせばOK

です。

一方、
これまで特に基準がなく
重要視されてこなかった
日本語スキルは必須要件
となります。

気になるそのスキルレベルですが、

相当程度
⇒「日本語教育の参照枠B2」レベル以上


と定義されており、
満たすべきその判断基準としては、

 
  • 日本語能力試験(JLPT)N2レベル以上
  • BJTビジネス日本語能力テストで400点以上
  • 中長期在留者として日本に20年以上在留
  • 日本の大学などを卒業
  • 日本の義務教育修了&日本の高校卒業


のいずれかとなります。


文化庁:日本語教育の参照枠概要

今までは
まったく日本語がわからなくても
経営管理VISAを取得できたのに対して
大きな変更点のひとつとなりますので、
注意が必要です。
ただし、
申請者がこの要件を満たさない場合は
雇用スタッフがこれをカバー

できれば、問題ありません。

申請者の立場に応じて
要件も以下のようになります。

①日本での起業、経営者
事業の安定性や継続性
を見極めるために、
その経歴や資質が重要視されます。

ちなみに、申請者が
図の要件に該当しない場合であっても、
永住者
永住者の配偶者等
日本人配偶者等
定住者
高度専門職

といったVISAを取得して、
経営者となることも可能です。

ちなみに、個人事業主としても
経営管理VISAの申請は可能ですが、
新規のVISA申請(認定、取得申請)
では許可の可能性は低く、

VISA変更申請の方が許可は出やすい傾向
がみられます。

②日本企業で管理職や役員への就任者
管理者や役員としてVISA申請する場合は、
役職名にとらわれず総合的に審査される
ことを認識すべきでしょう。

<取得要件2⃣法人>
設立、または所属する法人は
以下のいずれかに該当すること
が求められます。
あえて法人とお伝えしていますが、
法人設立は必須ではなく、
要件を満たせば

個人事業主でも経営管理VISAの取得が可能
です。



ただし、
資本・出資金要件は
 500万円⇒3,000万円

と大幅に引き上げられ、

雇用スタッフ要件は
 2名⇒1名

に引き下げとなります。

また従来ルールで、
資本・出資金要件と雇用従業者要件
いずれかを満たせばよかった
ところ、改正によって
両方を満たすことが求められます

ちなみに、
個人事業主の場合は資本金を設定しない
ため、
資本金または出資金3,000万円の代わりとして、
ビジネスに必要経費
(オフィス家賃・店舗、備品、商品仕入)
として3,000万円以上を使った証明
見積書や請求書、領収書
口座の出金履歴などのコピー

を提出しなければならない場合があります。

要件上、フルタイムで雇用すべき社員
は、

 日本人

そして


 永住者
 永住者の配偶者等
 日本人の配偶者等
 定住者

 のいずれかをVISAを持つ外国人

であることに変更はありません。

日本語スキル要件については
申請者がを満たさない場合
雇用スタッフがカバー

する必要がありますので、注意しましょう

<取得要件3⃣オフィス>
最低限必要なのは、
法人名義の事務所や店舗がある
(=賃貸借契約などをかわしている)
その事務所や店舗が
事業目的で使用されている
こと
(=居住用物件NG)
必要設備(電話、FAX、PC、コピー機など)
が備わっている

ことです。

これまでは
個人事業主や1人会社のような
申請者の単独組織構成で事業をおこなう場合
自宅スペースと事務所スペースが
はっきり区別できる間取り
であれば許可とされてきました

が、今回の改正で、

原則自宅と別に事務所を用意

する必要があり、
要件ハードルは高くなります。

日本のマンションはあくまで
「居住住宅」が使用目的であり
賃貸借契約上ビジネスなどの他用途はNG
という場合が多い

ですので、
オフィス使用がOKかどうかを確認
したうえで、
事前に賃貸借契約を結びたいところです。



<取得要件4⃣ビジネス安定性>
経営管理VISAを取得したい場合、
事業の安定性を証明するための重要書類が、

事業計画書

です。

VISAの審査では、事業計画の内容から、
事業を安定して継続できるかどうか
をチェックされる点は、
従来ルールと変わりません。
そのため、
事業をはじめた経緯や準備内容
どのくらいの期間で
どれだけ利益をあげることができるか
どのように経営を安定させて黒字化していくか

をこの書類で明確に説明しなければならず、
事業計画書の内容上、
将来の見通しが不透明またはずさん
と思われるような内容と判断されてしまうと
経営管理VISAの要件にフィットするとは
認められなくなってしまいます。


まさに、

経営管理VISAの許可を得られるかは
事業計画書にかかっている


といってもおかしくほど
重要と考えてよいでしょう。
※事業計画書については、
 以前のコラムでもご紹介しています。
 ⇒
こちら

これまでも事業計画書は
提出必須書類としてラインナップ
されていましたが、
今回の改正で
経営に関する専門家の事前確認が義務
付けられました。

気になる専門家ですが、

  • 中小企業診断士
  • 公認会計士
  • 税理士


のいずれかとなります。
※当事務所は
 上記の各専門家とも提携しておりますので、
 サポートの際にお任せいただけます。
 
ご相談ください。

<そのほか>
改正にともない、
施行日=10月16日以

 経営・管理VISA、高度専門職1号(ハ)VISA
 高度専門職2号VISA
 (「経営・管理」活動が前提)からの永住
 高度専門職1号(ハ)VISAから
 高度専門職2号VISAへ変更

が許可基準に適合していない場合は
認められません。


ご紹介した改正ルールを
以下のようにまとめてみました。





【経営管理VISAに関するQ&A】

経営管理VISAの申請において
当事務所でもっとも多いお問い合わせを
5つピックアップしました。ご参考ください。

Q1 経営者は高卒者でもOK?
A1 一定要件を満たせば高卒者でもOKです。

学歴要件を満たさない場合であっても
3年以上の経営管理実務経験を証明すれば
VISA要件を満たし、許可のチャンスはあります。  
申請にあたっては、
 職務経歴
    取得している資格
    習得した知識やその経緯

などを書面で証明することで
VISA審査上、有利になると考えます。

Q2 来日してなくてもVISA取れるの?
A2 認定申請が可能ですが、
   現実として厳しいこともあります。

たとえば、
海外在住の外国人が日本で未起業の状態で
経営管理VISAを取得するには、
在留資格認定証明書交付申請をおこない、
新規にVISAを取得します。

この場合に許可が得られると、
4か月期限の経営管理VISAの付与
を受けられます。
この4か月の間に

  • 日本国内の銀行口座開設
  • 資本金の振込
  • 法人登記

などをはじめとした
一連の会社設立手続きを済ませる
ことが必要です。

Q3 雇用スタッフは派遣社員ではだめなの?
A3 要件を満たす雇用スタッフが
   最低1名必要です。

改正ルールで追加された通り、
相当レベルの日本語スキルを持ち
フルタイムで直接雇用する従業員が1名以上

事業者内に所属することが必要です。
これを満たせば、
そのほかのスタッフについては

雇用形態、日本語スキルレベル
を問われません。

Q4 はじめて進出するビジネスでも
        VISAは許可してもらえるの?

A4 タフな審査対応を覚悟しましょう。
提出書類のなかの事業計画書で
収支の見通しや事業内容など
を記載しアピールしていくことになります。
ここで注意したいのは、
申請者の実務経験はノウハウでしょう。

日本で予定している事業が未経験の場合は
事業の継続性や暗転性を疑われ不許可
となるリスクも高い

でしょう。

Q5 2か月前から申請書をもらって準備中。
       VISA申請で問題ってある?

A5 最新の申請書で申請しましょう。
今回の要件ルール改正によって、
当局が公表する申請所の内容も変わります。
そのため、
10月15日までであれば
従来の申請書で申請OK

ですが、
10月16日以降は
アップデートされた申請書で申請が必要

です。

<VISA申請書にも次のような項目が追加されます>


そのほか
申請で提出すべき立証書類も
10月16日を境に若干異なります

ので、くれぐれも注意しましょう。
出入国在留管理庁:在留資格「経営・管理」申請必要書類

Q6 今持ってる経営管理VISAは
          従来ルール要件をクリア。
    VISA取り消しとかなったりはしない?

A6 取り消しにはなりませんが、
          今後の更新では注意しましょう。

現在すでに経営管理VISAを保有する
外国人の皆さまについては
要件ルール改正にともなう
VISAの取り消しや失効はありませんので
安心していただいて大丈夫です。
が、
VISA期限満了を迎え
次回更新申請では改正ルール要件が適用

されます。
ただし、
今後3年以内(2028年10月16日まで)に
更新申請予定の外国人については
申請時点で改正ルールを満たさない部分
があったとしても、

それまでの経営状況や更新後に適合する見込み
などを勘案するなど
VISA審査上、柔軟に判断がなされる

ようです。

Q7    10月14日に申請して現在許可待ち。
    審査は改正前/後どっちでされるの?

A7 改正前の要件ルールが適用されます。
改正ルールの適用は
2025年10月16日以降の申請から
となりますので、
10月15日までに受理された申請に関しては
改正施行前のルールで審査がなされます。

審査結果を待っている外国人の皆さまは
ひとまず審査結果を待ち、
当局の要請があれば
必要な情報提供、書類の追加提出
に応じましょう。

Q8    J-Findを活用して在留中。
    経営管理VISAに変更したいが、要件はどうなるの?

A8 改正前の要件ルールが適用されます。
優秀とされる海外び大学などの卒業者で
日本での起業準備活動を希望する
高度外国人材向けに
J-Find制度が存在し、
特定活動51号VISAが認められます。
※J-Findについては、
 こちらのコラムで詳しくご紹介しています。


この
特定活動51号VISAから
経営管理VISAへ変更する場合は、

改正前の要件ルールが適用されます。
2025年10月15日までに
 特定活動51号VISAビザの認定・変更申請済み
 で審査結果待ち
の場合も、同様です。


Q9    要件に該当するフルタイム従業員は
          技術・人文知識・国際業務VISAでもOK?

A9 改正要件対象外となります。
相当レベルの日本語スキルがある
1名以上のフルタイム従業員とは、
法人要件でご紹介したとおり、

 日本人

そして


 永住者
 永住者の配偶者等
 日本人の配偶者等
 定住者

 のいずれかをVISAを持つ外国人


です。
この点だけは、
従来要件ルールから変更はありません。

したがって、

フルタイム外個人従業員が
相当レベルの日本語スキルを持っている
としても、
保有するVISAが上記4種類以外、
たとえば、

 技術・人文知識・国際業務
 特定技能
 技能実習
 介護
 技能

などを持つ外国人は
経営管理VISAの改正要件対象外となります。


ネットでは
ほかの一般的な就労VISAの従業員でもOK
という誤情報が出回っていますが、
惑わされないように十分注意しましょう。



出入国在留管理表:在留組閣一覧表

Q10    投資家も要件を満たせば
             
経営管理VISAとれるよね?

A10 要件を満たせば許可となります。ただ。。。
従来ルールからも
経営管理VISAについて
当事務所にも非常に多くいただいていたのが、

投資業も経営管理VISAは取れる?

というお問い合わせでした。
新要件ルールにのっとって、
適切&将来性の見込める事業計画や
申請者、事業者の要件をクリアすれば
もちろん、許可の方向で審査が進むでしょう。

ただし、投資業というのは、
携わる立場(トレーダーor投資会社に勤務)
また
取り扱うモノ
によって
その安定性や将来性が大きく異なる
と言え、
こうした要素を
事業計画書でどのようにアピールできるか
審査を有利に進められるかがカギとなるでしょう。
⇒当事務所にて
 投資業における
 経営管理VISA許可実績ございます。

 
ご相談ください。





【経営管理VISAの申請は確実に】

経営管理VISAは
今回の要件ルール改正によって
クリアすべき要件ががらっと変わります。
事業計画の作成や
提出が義務付けられていない書類の添付
CEOなどの経営者さまであれば、
申請前に会社設立が必要であることなど、
要件にフィットした申請が必要で
書類や情報などの準備作業負担は大幅に増える
ことになります。
また、個人事業主でも申請はできますが、
審査の難易度がアップするため
独自のノウハウが不可欠です。

せっかく会社を設立したのに
VISA要件を満たさない
役員を呼び寄せたいのに
古い要件ルールを前提に申請してしまった

などで、
経営はおろか
営業していくことができなくなる

ということだけは
避けたいところです。
最新ルールをふまえて
実現できる事業計画と必要書類
しっかりVISAを取得できることの立証が、
確実な許可への近道となる
ことは間違いありません。

必要書類をはじめ、
経営管理VISA申請の申請準備で
お困り、お悩みの外国人の皆さま。
継続可能な経営のためのお手伝いを、
WINDS行政書士事務所が承ります。

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