【2027年施行!どうなる?】育成就労の対象分野と職種
2025.10.22[VISA]

【もう判明?育成就労VISAでできる仕事】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2024年の入管法改正によって
技能実習に代わる新制度として創設決定した、
育成就労。
現在は、2027年4月本格スタートに向けて
ルール整備がおこなわれており
各業界から早くも熱い視線が注がれています。
この施行する2年後の2027年までに、
育成就労VISAを取得する外国人、
事業者、サポート機関など関係者の皆さまは
育成就労で従事できる仕事
を把握しておく必要があります。
本コラムでは、
グランドルールから現時点で判明している
育成就労の対象業界分野、職種&作業
技能実習とのマッチングをまじえて
わかりやすく解説、
行政書士の目線から、
今後注意すべき関連要件などもご紹介します。

【育成就労制度とは】
育成就労は、
人材不足を深く懸念する
日本各業界の事業者の
外国人マンパワーの確保・育成
を目的とし、
将来的に特定技能VISAを持って
働く意思のある外国人に
日本で現場作業スキルを学びながら就労
させる「人材育成」制度で、
2027年4月施行に本格スタート
を控えています。
この制度対象となる外国人は
育成就労VISAを保有し、
特定技能1号レベルに達する
現場作業スキルを修得します。
レベルアップのターゲットとなる
特定技能制度は創設された2019年以来、
特定技能外国人の増加を果たすことで
外国人マンパワーの確保における
一定の成果をあげており、
今後もより多くの労働力確保のため、
受け入れ体制の幅を広げる施策が組まれます。
<出入国在留管理庁:2025年6月現在特定技能外国人数推移>

なお、
もうひとつの現行制度として存在する
技能実習は、
一定期間内に現場作業スキルを学んだ後は
母国に帰ってそのスキルを還元
することを目的とする
「研修制度」でしたが、
2027年3月をもって
育成就労と入れ替わるように
発展的解消
となり、
実習生の新規募集は停止となります。
※育成就労スタート以降、
実習生は2030年頃まで実習継続可能
とするなど、
実習生に不利益が生じないように
経過措置が設けられます。
※育成就労とそのグランドルール
については、
こちらのコラムでもご参考ください。

【対象職種に直結?!技能実習であぶり出された課題】
育成就労制度の対象職種を確認するには
技能実習制度の対象職種を見つめる
必要があります。
対象職種面で
技能実習においては
次の2点が課題として挙げられます。
課題①特定技能とのアンマッチ
技能実習生が特定技能外国人として
就業、在留するには、
技能実習2号以上のレベルを良好に修了し
技能実習VISAから特定技能VISAへの
移行=変更申請をおこないますが、
大前提条件として、
技能実習の対象職種
と
特定技能の受入対象分野=特定産業分野
のマッチング
も大切です。
たとえば、
現場作業スキルを積んだ技能実習生が
特定技能へのレベルアップを希望しても
そのスキルを活かす分野や職種が
特定技能対象でなければ
特定技能に移行できない
ことになります。
もし移行できないとなれば、
実習生を育ててきた事業者さまも
優秀な外国人材を雇用できず
長期的なマンパワー確保にはほど遠いですね。
課題②詳細「過ぎた」職種
技能実習は、修得スキルや経験に応じて
- 1号イ、ロ
- 2号イ、ロ
- 3号イ、ロ
とカテゴライズされ、
このレベルに応じたVISAが付与されます。
<出入国在留管理庁:技能実習レベル分類>

技能実習生がこうした分類に応じて
レベルアップ(=移行)ができる職種を
移行対象職種と呼び、
作業で使用する機器や赴く現場、製造する製品
などによって
大分類「職種」から小分類「作業」まで設定
されています。
2025年3月現在の移行対象職種は
91職種168作業
です。
<厚生労働省:技能実習移行対象職種と作業>

ごらんいただけるとおり、
技能実習制度は
職種が非常に細分化されていますが、
これは
技能実習生にとって
修得できる職場や作業範囲が多い
半面、
詳細過ぎるがゆえに
外国人に従事してもらえる業務範囲が
限られてしまうという課題が発生、
その結果、①で挙げた
特定技能対象職種とのアンマッチ
にもつながっている
のが現状です。
これらの課題をふまえて、
国際貢献ありきの人材育成目的
である技能実習から
日本国内の発展にベクトルを定めた
人材育成&確保を目指すに育成就労へ
制度見直し&スイッチをおこない、
基本的には
3年間の育成期間をもって
特定技能1号レベルの人材育成
を推進
します。
特定技能へのステップアップ
という制度の位置づけから、
育成就労で受け入れる対象分野や職種は
原則、特定技能対象職種と一致
する予定で、
外国人は
従来の技能実習よりもVISA変更しやすく
事業者も
外国人材長期雇用につながる
ことが期待されます。
ちなみに、
原則と付け加えている理由としては、
国内での育成になじまない対象分野は
育成就労制度の対象外
と方針付けられているためです。
(この次に詳しく解説します。)
また育成就労でも現行制度と同様、
分野別に受け入れ人数上限も
設定される予定ですが、
現行制度での受入状況や新制度としての期待値
をふまえると
相当規模の人数設定が予想できるでしょう。
※育成就労グランドルールについては
こちらのコラムで詳しくご紹介しています。

【育成就労の対象業界は?】
育成就労の対象業界分野は
育成就労産業分野と呼ばれ、
特定技能対象分野の中で
就労を通じた技能修得に適した分野
と定義されています。
2027年4月の施行までには
分野別運用方針が定められる予定となっており、
その正式決定を待つところですが
この定義どおりに解釈すれば、
育成就労の対象分野は、
特定技能と同様、
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 宿泊
- 鉄道
- 工業製品製造業
- 介護
- ビルクリーニング
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
- 資源循環(新設予定)
- 物流倉庫(新設予定)
- リネンサプライ(新設予定)
の17分野となる可能性が非常に濃厚です。
※航空と自動車運送業は、
制度設計や議論が不十分
専門性や安全性の要件が複雑すぎる
などの理由から育成就労対象外
となっています。
現在の特定技能受入分野と職種、作業は
次のようになっています。

※出入国在留管理庁:特定技能1号各分野仕事内容
この一方、
技能実習移行対象職種と比べると若干減少
すると思われます。
現在までの有識者会議、そして各省庁の協議
の内容を確認しているかぎり、
育成就労対象職種に関連して、
季節的に業務内容や業務量が変動する
業界分野は実情に応じて派遣就労OK
(例:農業・漁業など)
but分野またぎで複数分野での従事はNG
工業製品製造業
造船・舶用工業
飲食料品製造業
の3業界分野で対象職種&作業を追加
の2点が協議されているようです。
※出入国在留管理庁:育成就労受入対象分野追加(案)

【技能実習と比較!育成就労対象職種&作業】
すでに現行制度から、
技能実習移行対象と特定技能受入対象の
マッチング結果は公表されており、
これを踏まえて、
育成就労対象職種をうかがうことができます。
※厚生労働省:現行両制度の関係
現時点で判明している育成就労の対象職種を
分野別に、チェックしていきます。
<建設>
育成就労の建設分野に対応する
技能実習移行対象職種は13職種22作業です。

<造船・舶用工業>
育成就労の 造船・舶用工業分野に対応する
技能実習移行対象職種は6職種17作業です。

<工業製品製造業>
特定技能ではもともと
素形材産業
産業機械製造業
電気電子情報関連製造業
の3つであったのを統合した産業分野です。
育成就労上
この分野にに対応する
技能実習移行対象職種は19職種39作業
となるでしょう。



<自動車整備>
育成就労の自動車整備分野に対応する
技能実習移行対象職種は自動車整備のみです。

<航空>
育成就労の航空分野に対応する
技能実習移行対象職種は
空港グランドハンドリングのみです。

<宿泊>
宿泊分野に関しては
該当する技能実習移行対象職種はない
ため、
育成就労産業分野に加わるかは
詳細ルール待ちとなります。
<農業>
育成就労の農業分野に対応する
技能実習移行対象職種は2職種6作業です。

<漁業>
育成就労の漁業分野に対応する
技能実習移行対象職種は2職種9作業です。

<飲食料品製造業>
育成就労の飲食料品製造業分野に対応する
技能実習移行対象職種は10職種15作業です。

<外食業>
育成就労の外食業分野に対応する
技能実習移行対象職種は
医療・福祉施設給食製造のみです。

<介護>
育成就労の介護分野に対応する
技能実習移行対象職種は介護のみ
です。
もともと技能実習要件としては、
日本語能力試験N4レベルと職歴が
求められていましたので、
育成就労ルール導入となれば
人材確保のハードルが低くなる唯一の職種
となる可能性が見込めます。
ただし、
対人サービスという職種の観点からは、
さらなる日本語スキル要件が追加される可能性
も十分に考えられます。
また今年春から解禁となった
訪問介護についても
注目されますが、
現段階では
育成就労対象から外れる
と思われます。

<ビルクリーニング>
育成就労のビルクリーニング分野に対応する
技能実習移行対象職種はビルクリーニングのみ
です。
特定技能受入分野での建物内清掃も
問題なく定義に織り込まれると思われます。

これら以外の、
以下職種と作業は
国内での人材育成にはなじまないとして
育成就労対象からは外れる
方針です。
各分野からの一部に加えて、
繊維や衣服関連の分野はそのまま外れる
ことになりそうです。


【対象職種はまだまだ追加の可能性?!】
現時点で判明している育成就労の職種と作業を
ご紹介しましたが、
技能実習の繊維・衣服関係などが
特定技能の工業製品製造業分野に
とび・配管などが
特定技能の造船・船用工業分野に
関連付けられる
などのカスタマイズが確認されました。
また今年の春以降
特定技能では、受入分野や業種、作業の追加
がおこなわれています。
確かに
繊維・衣服関連職種は
特定技能産業分野には該当しませんが、
工業製品製造業分野としてみれば
外国人の受け入れが可能
となるでしょう。
<出入国在留管理庁:特定技能対象分野追加>

育成就労対象職種も今後こうした
現行制度のカスタマイズや
各業界からのニーズに合わせて
変動する可能性があります
ので、
各分野別の正式な運用ルールの発表を
待ちたいところです。

【職種と合わせてチェック!育成就労ほかの要件】
育成就労においては、
対象職種と作業以外にも
2年後の本施行に備えて次の要件を見据えて
受け入れを準備する必要があると考えます。
①日本語スキル
育成就労外国人は
日本語能力A1(日本語能力検定N5)以上
に相当する日本語レベル
or
出入国在留管理庁認定の
日本語教育機関での試験合格レベルの
日本語教育受講完了
が求められます。
現時点では具体的な機関が明示されていません
が、今後の運用ルール詳細の発表を待ちましょう。
※育成就労における
日本語スキル要件については、
こちらのコラムでも解説しています。
また外国人だけでなく
受入機関にも、
入国前や特定技能1号への移行時日本語要件
を設けるほか、
優良受入機関認定要件として
日本語教育支援への取り組み
日本語教育機関認定法のスキームを活用した
教育クオリティアップ施策
といった方策が取られる予定です。
<出入国在留管理庁:日本語スキルアップ方策>

育成就労から特定技能1号にレベルアップ
するときは
さらなる日本語スキルのレベルアップ
も求められる
ことを見据えて
人材育成計画を立てたいところです。
②転籍・転職
育成就労においては、
外国人本人の意志、
そして一定要件を満たせば転籍が認められます。
※育成就労の転籍要件については
こちらのコラムで解説しています。
またここにきて政府は、
やむを得ない事情がある場合も転籍を認める
転籍前の受け入れ機関が初期負担した費用は
正当に補填が受けられるよう措置をとる
(例:転籍先となる次の受入機関が負担するなど)
といった緩和策も検討しており、
策定される運用方針をチェック
していきたいところです。
<出入国在留管理庁:転籍要件の提言>

③監理・支援体制
現行制度上、
技能実習は
監理団体(協同組合)や外部監査人
特定技能では登録支援機関
といった、サポート機関が存在しますが
これらと同様、
育成就労でも
監理支援機関や外部監査人
が設けられ、
受入機関と密接な関係がある役職員
の関与は制限
など、
独立性を担保する体制が作られる予定です。
<出入国在留管理庁:育成就労における関係機関の在り方>

ちなみに
技能実習制度で認められている監理団体も、
監理支援機関へ無条件で自動的にスライド
できるわけではなく、
一定要件を満たさなければ
監理支援機関にはなれない
ルールが策定される方針で、
今後詳細ルールを十分に注意すべきと考えます。
※育成就労で今後注視すべき要件
については
こちらのコラムで解説しています。
④支払手数料
政府からの予定方針によると、
育成就労では
外国人が送り出し機関に支払う手数料
の負担を軽減
することをを目的として、
外国人と受入機関がその手数料を分担する
などの仕組みが検討されています。
<出入国在留管理庁:支払手数料分担の提言>


【確定はもうすぐ!育成就労の対象職種】
現行の技能実習制度のデメリットを踏まえて、
育成就労制度での育成就労産業分野では
特定技能制度と原則一致させる方向で
現在体制整備が進められています。
育成就労の導入によって
現場仕事のスキルを持つ外国人が
従事できる業務範囲が広がる半面、
2026年以降の実習生のスキルや希望進路
によっては
特定技能へのステップアップは
ハードルが高くなる見通しとなります。
育成就労の運用方針を含めた
最新情報をチェックして、
2年後の施行に向けて
準備を固めていきましょう。
WINDS行政書士事務所は
現行制度におけるVISAサポートの実績に
裏打ちされたノウハウ、
そしてリアルタイムの最新情報をふまえて
外国人材を受け入れる事業者の皆さまが
安心して育成就労をご活用いただけるよう、
幅広く情報、サービスを提供しています。
外国人の採用、育成就労移行を
ご検討中の段階でも、
お気軽にお問い合わせください。
