コラム

【許認可申請における影響大!】行政書士法改正

2025.07.02[行政書士・業務]





【皆さまにも関係ある?行政書士の法律が改正!】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
今年、国会に行政書士法改正案が提出され、
衆・参両議院の本会議でそれぞれ可決、成立、
来年より改正ルールが本格スタートします。
その内容は、
行政書士の業務範囲が広がり、
これまで見解留まりだった
法ルールの解釈や方針が
政府によってはっきり示されている
ことが大きな特徴です。

私たち行政書士にとっても、
皆さまに対する日々のサポートに大きく関わり
また専門家としての社会における役割を
改めて自覚するものとなる、
今回の改正内容をご紹介するとともに
皆さまにも
行政書士ってこういう役割や立場なの?
行政書士ってこんなこともお願いできるの?

と、改めて知っていただける機会
となればうれしいです。




【行政書士法改正の経緯】

行政書士法の一部を改正する法律案は、
第217回国会に提出、
2025年5月30日衆議院可決、
2025年6月6日参議院可決、
の結果、成立しました。
この改正ルールは
2026年1月1日施行⇒本格スタート

となります。
日本行政書士連合会:行政書士法の一部を改正する法律案要綱


この法律の改正に踏み切られた背景としては、
次のようなものが挙げられ、
日ごろご依頼を頂いている皆さまにとって、
行政書士という国家資格とその役割が
今回の改正でより信頼度の高いものに進化
することになると考えています。

日本行政書士連合会:会長談話




【大きな改正ポイントは5つ!】


今回の行政書士法改正は、
デジタライズされた各許認可申請手続き
にフィットするとともに、
これまで私たちが考えてきた
行政書士の業務と責任範囲が
明確にったことが、特徴です。

気になる大きな改正ポイントは、次の5つです。



①行政書士の「使命」

私は、
今回の法改正の中でも法律の根幹にせまる
と言っても過言ではないと考えているもので、
私たち行政書士の存在意義の見直し
について明文化されています。

行政書士法の冒頭には従来、
行政書士の目的が定められてきましたが、
改正によって使命という表現に変わる
という、画期的なものです。



法務サポートをおこなう士業界で、
弁護士法や税理士法、司法書士法においては
こうした使命を掲げており、
行政書士法も、これらと同様に規定を固める
形となります。

これまでも私たち行政書士は、
官公署向けの申請届出、予防法務
といったサポートを通して
皆さまと関わっていますが、
行政書士資格における認知度は発展途上
な傾向もあり、
近年では
専門家としてその役割を明文化すべき
という声が高まっていました。
私は、この第1条の改正が、
単純に法律条項の言い換えを超えて、
私たち行政書士の専門性や社会的責任が
法律を通して改めて宣言されたもの
として非常に大きな意味を持つ
もの
であり、
改めて使命感と誇りを持って
皆さまのサポートをしていこうと
気持ちを新たにしています。

②行政書士の「職責」
次にご紹介する改正ポイントが、
改正法で新たに追加された職責条項です。
行政書士個人はもちろん、
行政書士全体としても
その基本姿勢を律していくことが
宣言されています。

この明文化を受けて私は、
行政書士の実務的スタンスとして、

 要件や準備書類における適正なコンサルティング
 法令、ルールに沿った堅実・正確な申請代行
 守秘義務や報酬の適正化
 不祥事やトラブルの予防


をこれからもキープし、職業倫理を実践
すべきと考えています。

もうひとつ見過ごせない要素が、
行政手続きの急速なデジタル化です。
現在の各許認可申請は、
オンライン前提の手続きが浸透してきており、
専門性・倫理性に加えて
デジタライズ対応力
も求められるようになってきました。

私たち行政書士は専門家として
デジタル対応にお困りの皆さまに寄り添い
コンサルティング、手続き代行対応をおこなう
ことで、
効率的で見える化された手続きの実践
を担う第一人者
の立場を確立していきます。

③特定行政書士の「業務範囲」
3つめの改正ポイントは、
特定行政書士の業務範囲拡大です。

私たち行政書士の中でも
行政処分に対する不服申立て代理ができる
特定行政書士

が存在しますが、
これは行政書士の中でも
特別な試験にパスした者だけが認められる
資格です。
※当事務所は
 特定行政書士資格を保有しています。
 特定行政書士については、
 
こちらのコラムで詳しくご紹介しています。

しかしながらこれまで、
この不服申立て代理ができる範囲は、
その行政書士自身が作成した申請書類
だけに限定
され、
実際の不服申立て手続きも代理だけ
に留まっていました。
この制限によって、たとえば、
皆さま本人が申請して不許可になった
行政処分においては、関与ができない
ということになります。

これに対して改正でメスが入り、
これまでの不服申立て代理の制限が解かれ、
業務範囲がさらに拡大となります。



まず目を引くのが、
不服申立て代理手続きにおいて
特定行政書士が作成することができる
という表現です。
これによって、
従来の業務範囲の制限が取り払われ、
これまで自分自身が関わらなかった
行政処分も対応が可能となります。


まさに、
許認可申請から不服申立てまでの
ワンストップ対応にアップグレード

されたことになり、たとえば、
皆さまが自力申請で不許可となった事案
不当・違法に審査が長引くor放置事案
に対しても速やかに審査請求が実現

できるだけでなく、
不服申立て単体としてもサポート
を承ることができます。

ちなみにこれまで、
こうしたワンストップ対応は
弁護士などしか対応ができない
と考えられていました
が、
これからは特定行政書士が
直接的&速やかにサポーターになれ
お客さまも安心してご依頼いただける

メリットが生まれます。

④行政書士の「業務執行」

私が行政書士として、
今回の法改正の中でも、社会的に影響大
と考える、改正ポイントです。

行政書士は
官公署に提出する書類
その他権利義務ot事実証明に関する書類
の作成を、報酬を得ておこなえる

一方、
行政書士でない者=無資格者が
行政書士業務である
報酬を得た許認可申請サポート業務
をおこなうことは
を、名目や有償無償を問わずNG
(無資格者として違法行為)

と、法律ではっきり定められます。



これは、
許認可サポート業務の専門家として
認められる行政書士以外の無資格者
(エセコンサル、闇コンサル)の撲滅

を目指すものです。

実は、
行政書士の資格を持たないにも関わらず、
行政向け許認可申請における必要書類を
ノーライセンスで作成する業者
が現在も存在
しており、
誰がこの業務をできると認められるか
のリーガル的な判断もグレーな状態

となっていました。
私自身も、
許認可申請のサポートをおこなううえで
お客さまから
さまざまな無資格者業務状況の噂を耳にし、
お客さまに詳細をお伝えすると
「あのとき頼んだあのコンサルって
 違法業者だったの?!」

と、驚いてリアクションされる
こともありました。
※政府でも、当該業務をおこなうのは
 行政書士である必要を
 今回の改正前から見解として示してきました。
 
総務省:新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表

こうした無資格者の違法サポートは
皆さまにとっても重大なトラブルリスク
が高い
ため、やはり、
社会的信用度の高い資格と
政府に認められる私たち行政書士が
適正なノウハウ、スキルと法的根拠に基づいた
プロフェッショナルとして
許認可申請サポートをしていくことが不可欠

と考えます。

この改正によって、
さまざまな行政向け申請を
ご検討の皆さまにとって
誰にこの業務をお願いするにふさわしいか
を安心してジャッジできる
だけでなく
対象業界が健全な活動の展開につながる
ことを、確信しています。

⑤行政書士法人などに対する「両罰規定」
最後にご紹介するのは、
行政書士法人やその代表者など
に対する罰則適用の強化です。

改正前の両罰規定は、
調査記録簿の記載などをしない
行政書士法人or行政書士がペナルティ対象

となっていますが、
今回の改正で
新たに4項目の行為が違法、
両罰規定対象に追加
されました。
業務上、これらの違反行為があった場合は、
その業務行為者だけでなく
行政書士法人も責任が問われる

ことになります。


私たち行政書士のなかでも
法人化・組織化してサポート展開する形
が増えています
が、
こうした両罰規定は、
単なるペナルティ強化だけでなく、
コンプライアンスと職業倫理の土台整備
の意味でも、
行政書士が安心、信頼の立場に値する
ことの礎として、
私自身も非常に身の締まる想いで見つめています。




【改正がもたらす社会的影響は?】

今回、行政書士法が改正されることによって
許認可申請に関わる皆さまにとっても
私たち行政書士にとっても
次の3つが大きな影響と予想しています。


①無資格業者や闇コンサルに対するけん制

誰がやるべきか、なにができる/できないか
といった法ルールが整備され、
法的根拠が明確になることで、
これまでグレーな判断のなか
許認可サポートで暗躍していた
無資格者、闇コンサルなどの取り締まりが強化
されるでしょう。

実際の取り締まりや摘発方法は、
管轄する行政当局に運用によるものの、
少なくとも
申請の受付窓口や事務局が
違法の申請代行、書類作成のチェック
に目を光らせ、
取り締まりがすぐに厳しくならないとしても
該当業者にとってはビジネス上不利となる

ことが予想されます。

特に
補助金申請においては、
もしも採択決定事業に
無資格コンサルの関与が判明すれば、
採択の取消しとなるリスクも十分に高い

です。
依頼をされる事業者の皆さまも
ご相談、ご依頼先を
適切に慎重に吟味していく必要があります。

②他士業との業務役割
これまでも
私たち行政書士と、ほかの士業の皆さま
(弁護士、司法書士、税理士、弁理士など)
は、専門業務と共通業務もまじえながら
それぞれの役割を担ってきましたが、
この改正をきっかけに、
各士業の業務範囲の線引きがより明確になる
と予想しています。

補助金申請サポートを例に挙げると、
資金繰りや中小企業の事業支援面から
行政書士以外の専門家、たとえば、
中小企業
診断士や税理士などの関与も
珍しくない
と考えます。
事業者の皆さまをバックアップできるよう
各専門家それぞれが専門性を活かしつつ
お互い協力する場面も増えていく
と思われます。

③行政書士サポート機会&クオリティ向上
ご紹介してきた5つの改正ポイントが
私たち行政書士にもたらすのはやはり、
社会的責任の自覚と自負
そして
サポートの重要性の自覚
をさらに強める
ことではないか感じています。

これまでも
事業者の皆さまのサポートを
第一に考えてきたことは間違いありませんが、
行政書士が本当の意味で
皆さまを専門的に支えていく立場
であることを改めて自覚しています。
今回の改正で、
専門家の立場で
このように考える機会を与えてくれた
政府の対応に感謝しつつ、
許認可サポートの本領発揮を
強く誓わずにはいられません。





【いよいよ行政書士の本領が発揮されます】

今年可決、成立した改正行政書士法は、
私たち行政書士が許認可サポートのエキスパート
であることを、
法律面からも多岐にバックアップする
ものとなりました。

私自身も一行政書士として、
単に書類を作成するだけでなく、
制度の理解、士業としての使命と責任の自覚
をもって今後も
より多くの皆さまの未来予想図や想いを
乗せられるよう、
また、安心と納得を提供できる存在であるよう、
これからもがんばりたいと思います。

ご相談、お困りごとがありましたら、
今後もお気軽に当事務所までご連絡ください。