コラム

【6月スタート!】刑法改正⇒拘禁刑の導入

2025.06.18[行政書士・業務]





【今月からスタート!改正刑法ルール】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
私たちが法律に違反すれば、
その違反の重要度に応じて
国からなんらかのペナルティを受けます。
そのペナルティが刑罰などに該当する場合、
これまで長く
懲役や禁錮といったペナルティが
中心となっていましたが、
今回刑法が改正され、
6月より拘禁刑というペナルティに一本化
されました。

刑法上、初の大変革と言われている、
このペナルティラインナップの見直し。
改正の背景や拘禁刑の定義、
従来刑罰との違いなどについて、
行政書士の目線でチェックしてみました。



 

【これまで&これからのペナルティ】

今回の刑法改正となった背景としては、
従来のペナルティである
懲役刑と禁錮刑の格差がなくなってきた
という現状が挙げられます。

従来のペナルティ内容は原則、
次のようになっていました。



懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、1月以上20年以下とする。
(旧刑法第12条)
禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、1月以上20年以下とする。
(旧刑法第13条)
法務省:刑務作業


これらは
刑務作業の強制有無という点で、
明確に定義が分かれていますが、
禁錮刑受刑者は
懲役刑受刑者に比べて非常に少なく
そのほとんどが過失犯

拘置される禁錮刑受刑者がいるとしても
大半は任意で刑務作業に従事している

=刑務作業に従事しない
 純粋な禁錮としての受刑者が
 ほとんど存在していない

という実態が
統計上明らかになりました。
e-Stat:2023年矯正統計調査「施設別 新受刑者の刑名・刑期 」

こうした現状から
両刑が実質的な執行において違いがなく
両方の刑を分けている意味が薄く
その区別をキープする理由もない

ことが示され、
それならばシンプルに
ペナルティを統一してはどうか
との見解が挙がり、
今回の刑法改正へのきっかけとなりました。

さらには、この改正を機に、
受刑者の処遇を柔軟化し
再犯防止と社会復帰へのより強い結び付け

という政府の意図もあります。

統計結果によると、
刑法犯としての検挙された者の4割が再犯者
でした。

法務省法務務総合研究所:令和5年版犯罪白書


受刑者が刑務所などの受刑施設に入所する
本来の目的は
矯正教育を施し更生させる
ことですが、
再犯が多いということは、
その矯正教育の機能性が不十分
であるかもしれないという考え方もできます。

こうした現状、
また刑務目的に立ち返る結果、
ただ刑務作業を科すだけでなく
個別の状況や特定に合わせた更生プログラムを実施
することによって
受刑者に対する教育の適切性を高め
社会復帰を強くバックアップするための対応

が可能とすべく、
拘禁刑の導入がフィットすると判断されました。
法務省:刑法等一部改正法案

この改正刑法は
2022年6月17日に公布され、
2025年6月1日施行=本格ルールスタート
つまり、
今月から
従来の懲役&禁錮のペナルティは廃止され
新設された拘禁刑ルールがスタート

となっています。
1907年の刑法制定以来
存在してきた刑罰ラインナップも変更されました。

法務省矯正局:拘禁刑の一本化





【新ペナルティ:拘禁刑誕生】

拘禁刑(こうきんけい)とは、
犯罪をして受刑が確定した者に対して
刑務所などの刑務施設への収容・拘束を行う
刑のひとつで、
懲役刑と禁錮刑を廃止、一本化した刑罰
です。

一本化前の懲役・禁錮刑はいずれも、
受刑者を刑事施設に拘置し
社会生活から隔離する
自由刑の要素の強い刑罰です。

懲役刑と禁錮刑が、
刑務作業強制の有無によって区別され

懲罰的な要素が高かったのに対して
拘禁刑は、
刑務作業の義務付けは個別に決定し
受刑者の特性や必要性に応じて
トレーニングや矯正指導、更生プログラム
を組む、教育刑の要素が強まります。
拘禁とは、
 人を捕らえて一定の場所に閉じ込める
 ことを意味します。


法務局矯正局:拘禁刑下の処遇





【拘禁刑導入による影響は?】

拘禁刑の運用スタートによって
私たちへの直接的な影響は、
ペナルティを受けない限り、ありませんが、
これまで懲役刑や禁錮刑といったペナルティが
科せられていた関係法律、
たとえば
入管法風俗営業法
などのようなものは

改正にともなうペナルティのカスタマイズ
がおこなわれるため、

これらの法ルールに関わるビジネスを
展開する事業者や関係者の皆さまは、
間接的に影響を受けることになり、
チェックをしておいた方が良いでしょう。

e-Gov:刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律

一方、
拘禁刑が確定する受刑者には
この法改正による直接的な影響が及びます。


拘禁刑は実際に、
刑事施設への収容を余儀なくされる点は
従来のペナルティと同様ですが、

所内での過ごし方は大きく変わることになります。

まず拘禁刑下では、
受刑者の改善更生を図るために
必要に応じて
刑務作業をさせるor矯正指導をおこなえる

ことになっています。


拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。
(改正刑法12条3項)


そのため、受刑者に対しては
単に受刑施設に閉じ込め、強いるだけ
だった従来のペナルティに対して

強制ではない必要な作業として
従来の刑務作業を命じる
ことがあります。
また、

受刑者の特性に応じて
刑務作業をおこなわせるかどうかを判断
⇒刑務作業をする/しない受刑者に分かれる

ことになります。

法務省矯正局:拘禁刑への一本化



法務省矯正局:集団編成の見直し


法務省矯正局:処遇イメージ

刑事施設の長は、受刑者に対し、その改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要と認められる場合には、作業を行わせるものとする。ただし、作業を行わせることが相当でないと認めるときは、この限りでない。
(改正刑事収容施設法93条)。


従来のペナルティと拘禁刑を比べてみると
次のようになります。



ちなみに、
拘禁刑下の
矯正指導や刑務作業は、
従来のペナルティと同様、

原則TOTAL8時間以内/日とされ、
刑務作業免除or軽減対象とされれば、
その受刑者の特性に応じた
更生プログラムを実施予定
とのことです。

※更生プログラムは24種類用意されており、
 受刑者個別にセレクトされます。


法務省:矯正処遇課程・特別コース一覧


これまでのペナルティのながれを
くみながらも
科せられる刑務作業が
単なる義務や強制ではなく
更生や社会復帰のシナリオがなされた
プログラムの充実を目指すシステム


に生まれ変わるということですね。





【ペナルティルールは新たな基軸へ】

今月から導入、スタートした拘禁刑。
刑法改正のメインの目的は、
受刑者の更生と社会復帰を図ることにあります。
私たちが実際に
日常生活を送り、ビジネスをおこなううえで、
ペナルティとして設定されている内容を
インプットしておくこと
そして、罪を犯した方は
自分自身の処遇が変わってくること
を、より深く理解していくことが
大切だと考えます。

法律はさまざまなものが
さまざまにつながって成り立っていることを
実感するような、今回の改正に注目してみましょう。



 

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