【キラキラネームどうなる?!】戸籍法改正2025
2025.05.07[日々のあれこれ]

【戸籍が変わる!5月改正ルール】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
昨年、改正された戸籍法の施行が続いています。
2024年3月に施行第1弾がおこなわれ、
本籍地以外の市区町村でも戸籍証明が入手可能
戸籍届出時の証明書類添付負担が軽減
など、
戸籍関連の手続きがより便利になっています。
<法務局:2024年3月施行ルール>

そして今月末、
改正ルールの施行第2弾が控えています。
それが、
戸籍の名前ふりがな完全ルール化
です。
連日報道で世間をにぎわせている
この新ルールによって今後は
戸籍の名前情報にふりがなが追加
されるだけでなく、
私たちの手続きや名前の確認、変更
にも影響があります。
改正の背景や重要性から、
実際の改正ポイントや手続きのながれ、
自治体の想定対応もまじえて
行政書士が解説します。

【戸籍法改正の背景】
政府は現在、
デジタル社会の実現に向けた重点計画
に基づいて
行政手続き効率化&サービスレベルアップ
を目指しており、その実現のために、
既存システムやネットワークを活用して
DX(デジタルトランスフォーメーション)
を推進しています。
※デジタル庁:デジタル社会の実現に向けた重点計画
そんななか、日本の戸籍は
自治体別にシステム管理されてはいたものの、
これまで
ほかの行政システムと連携ができない
などの課題が認識されており、
エンドユーザーとなる私たちもまた、
本籍地の自治体でしか
戸籍証明書類を取得できない
などのネガティブ材料がありました。
<法務省民事局:従来の戸籍制度>

こうした課題を解消するため、
2年前の2023年6月2日、
行政手続における
特定の個人を識別するための
番号の利用等に関する法律等の一部を
改正する法律
が成立、同月9日に公布、
行政のデジタル化の推進のための基盤整備
に着手しました。
※デジタル庁:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案
これをもって、戸籍においても
さまざまなルール改正がおこなわれ、
最新の改正ルールも
5月26日に施行=ルール本格スタート
が決定しています。
<法務局:お知らせパンフレット>

今回ご紹介する
戸籍に関する法ルールの一部改正には
次のようなさまざまなメリット
が期待されています。

※法務省民事局:改正戸籍法について

【行政書士がチェック!改正戸籍法ポイント】
戸籍法の改正によって
いよいよ5月26日から施行されるルールは、
戸籍記載情報のひとつである
氏名にふりがな追加が法制化です。
この法制化にともない
私が思う改正ポイントは、大きく次の4つです。

①戸籍への氏名ふりがなマスト
戸籍上の氏名のふりがなは
今まで付けられていませんでしたが、
今後、カタカナ付けで義務化されます。
新生児が出生した際に
出生届に記載された氏名ふりがな情報は
すぐに戸籍にも反映されます。
その一方、
すでに戸籍に掲載している者については
経過措置が設けられ、
順次戸籍へ氏名ふりがなが付けられます。
この措置において
もしふりがな情報が誤っている場合、
私たちは
氏名ふりがなを届け出なければなりません。
(⇒後ほど詳しく説明します!)
反対に
ふりがな情報が認識のとおりの場合
or誤っていても届け出ない場合、
現在住民基本台帳などに掲載されている
ふりがなが自動的に戸籍に記載されます。
そのため、私たちは、
本籍地を管轄する市区町村から
戸籍ふりがなに関する通知を受けます。
(⇒後ほど詳しく説明します!)

②ふりがなには一定基準あり
①で説明しました
戸籍上の氏名ふりがなは、
従来からの判断基準に、
氏名として用いられる文字の読み方として
一般に認められているものでなければならない
という基準が加わり、
社会的に混乱をきたすような読み方
差別的等明らかに名前にふさわしくない読み方
はNG
とされます。
※法務省:戸籍法等の改正に関する要綱案たたき台
判断基準が具体的にどう作用するのか、
想定されるふりがなジャッジをまとめてみました。

ただ、政府は、
すでに使われている氏名のふりがなは認める
常用漢字表や辞書に掲載されていない読み方
であったとしても
届出者の説明を受けたうえで認める
方針で、
これまでの日本の命名文化を最大限リスペクト
する形で、
自治体が出生届などにおいて
ふりがなとなる読み方を審査します。
これに対して今後
私たちが気を付けたいのが、
新生児の命名=ふりがな付けであり、
俗に言う
キラキラネームの命名が制限される
ことになることに、注意しましょう。
一方、
すでにあるふりがなを変更する場合は
原則、家庭裁判所の許可を得て届け出る
運用です。(⇒後ほど詳しく説明します!)
※法務省民事局:戸籍に振り仮名が記載されます
③自治体の対応・アクション
改正法施行対応としての自治体のアクション
は、次のようなものが想定されます。

全国300の自治体を対象とした
民間企業アンケートによると、
改正戸籍法対応において多くの自治体が
納期や体制に不安
通知書発送準備、住民届出受付対応の
工数予測や財源について懸念
という結果が出ているようですが、
改正法施行が間近に迫る現在、
各自治体でも
ふりがな情報の収集や登録体制の整備を
迅速に進めていると思われます。
※アグレックス社:改正戸籍法における自治体アンケート
④ふりがなのローマ字表記も検討
改正戸籍法の施行と同時期に、
5月27日からは
海外でもマイナンバーカードを利用できる
ようになります。
※地方公共団体情報システム機構:マイナカードの国外利用
この動向から、
マイナンバーカードへのローマ字表記
も検討されていますので、
戸籍情報との連携も十分に予想されます。
これについては、
今後の政府からの発表を待ちたいところです。

【要チェック!ふりがなの「届け出」】
今後私たちがとるべきアクションである
自治体への届出
については、
どんなながれで、どのように進めるか、
気になるところです。
まず、
本籍地を管轄する市区町村長は、
戸籍に氏名のふりがなを付けるために
データベース上の保有情報などを参考にした
予定ふりがな情報を認識し、
今年5月26日以降、
私たちに、戸籍記載予定の氏名ふりがなを通知
します。
この通知が手元に届いたら、私たちは、
予定ふりがなが
戸籍に記載しても問題ないものかを確認します。
確認の結果、もし、
自分の認識と違うフリガナが記載されていた場合、
5月26日から1年以内に
郵送or自治体の窓口に直接
振り仮名の届出
をおこない、認識するふりがなを申告します。
自治体で届出内容が受理されれば
申告したふりがなが戸籍に記載されます。
この届出は、「氏=苗字」「名」で分かれます。
<法務局:届出様式書類>


ふりがなが自分の認識と間違いなく
届出をしない場合は、
市区町村長が
管轄法務局長などの許可を得て、
2026年年5月26日以降、
通知に記載されたふりがなを戸籍に記載
します。
ちなみに
戸籍上の世帯として
すでに登録されている情報
については、
氏:戸籍上の筆頭者
名:届出対象のそれぞれの者
が届け出ることができます。
届出のながれを書類ベースでご紹介しましたが、
この届出は紙ベースだけでなく
マイナポータルを利用したオンラインでも
おこなえます。
<法務局:オンライン届出フローチャート>

※公開されているフローチャートは、
項目ごとにウィンドウが設けられ
詳細アクションを説明されているので
非常に便利です!
※オンライン届出の説明動画も公開されています。
※そのほか
一般の読み方以外の読み方で届け出る場合
実際にその読み方が使用されている
or読み方が通用することの証明書類
が必要です。
なお、
5月26日以降に
出生や帰化などで新たに戸籍が作成される方は
出生or帰化届と合わせてふりがなを届け出ます。
ここまでご紹介したシチュエーションからの
イレギュラーケースとして想定されるのが、
この届出をせず
戸籍にふりがなが付けられた「後」に
ハッとして
氏名ふりがなの変更リクエスト
といった場合でしょう。
これについては、
1回にかぎり
家庭裁判所の許可を得ずに変更が可能です。
反対に、
「届出後」に氏名ふりがなを変更する場合は
家庭裁判所の許可が必要になる
ことに注意しましょう。

【改正ルール迫る!最新知識をインプットしましょう】
今年改正スタートする戸籍ルールで
これまで記載されなかった名前のふりがなが
記載マストとなり、
このアクションで私たちの生活も便利になり、
行政手続きもサービスアップ、
ひいては行政デジタル化の推進にもつながり、
官民ともに意義ある改正と言えるでしょう。
すでに使われてきたふりがなは
原則認められるなど救済措置もありますが、
今後新生児や氏名変更などの際は
手続きを慎重におこなう必要があり、
私たちはもちろん、事業者の皆さまも
最新知識としておさえるべきでしょう。
さまざまな法改正は
リアルタイムでおこなわれますので、
ニュースや報道、
そして
私たち法律サポートのプロからの発信
を是非参考に、
ネクストアクションに備えてください。
