コラム

【ちょっと面倒な】法令用語

2021.11.03[日々のあれこれ]




【日常会話と法律的な言い方の違い】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。

行政書士という職業柄、業務上、
入管法や民法、会社法や特定商取引法
など法律の条文や
政令や条例、規則、
制度における要領や要綱
に目を通す機会がよくあります。

条文の中の法令用語を
ひとつひとつみていくと、
いろいろな表現が
詰め込まれているものです。
一見、日常生活では
特に違いがなさそうな言葉であっても、
しっかりした意味や強調された意味で
使われていることも多いです。

これら法令用語が持つ
特有の意味を理解できないと
法令を厳密に解釈することが難しく、
申請の許可を得ることができなかったり、
契約や日常生活でトラブルに巻き込まれる
リスクも高くなってしまいます。




【「その他の」VS「その他」】

たとえば、

その他の

その他

という法令用語があります。

どちらも、
このことばの前にある名詞をたとえて、
もう1段階広い内容を引き出す表現です。

非常に似ていますが、
じつは、それぞれ意味が異なり、
法令上、はっきりと使い分けがされています。

「その他の」は、
直前に示されたことばが、
後に続く内容のことばの一部に
広く含まれる場合
に使われます。(包括的例示)

たとえば、
田中さん、鈴木さんその他の専門家という場合、
私と鈴木さんは、その他の専門家に含まれる
という読み方をします。

これに対して、
「その他」は、
このことばの前後の語句が独立していて、
後に続くことばとは別物として
並列的に並べる場合
に使われます(並列的例示)
したがって、
田中さん、鈴木さんその他専門家という場合は、
私と鈴木さんは、その他専門家とは違うもの
という読み方をします。
私と鈴木さんは、
いわゆるその他専門家の皆さんとは違う存在
(行政書士&弁護士の皆さん
 法律の専門家&教育の専門家の皆さんなど)
なのかもしれませんね。



【「および」VS「ならびに」】

ほかにも、
言葉をつなげる法令用語として、
および

ならびに
というものがありますが、
これらも意味が異なります。

「および」
 レベルの差が小さく、同列でつなげるとき
「ならびに」
 「および」のレベルにはおさまらず、
 別のレベルでつなげるとき

に使われます。

たとえば、
「行政書士、司法書士及び弁護士並びにこれらの職にあった者」
という文章があるとします。
ここでさらに、
現役でバリバリの士業者
と、
これらの職にあった者=引退や退職された方など
に分けるとします。
そうすると、
現役バリバリという小さなグループを
「及び」で結び
現役バリバリグループと退職者グループを
大きくつなげたグループを
「ならびに」で結びます



民法の条文でも、
こうした表現を複雑にからめている条文が
あります。

583条 売主は、第587条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。

729条 養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。

※同じ段階の中で3つ以上の言葉を並べるときは
 1番最後以外の言葉を「、」で結び、
 1番最後を「及び」か「並びに」で結ぶ
 という表現手法もあります。





【日常生活にあふれる法令用語】

そのほかにも、
言葉を結び付けたり関連付けるために、
こんな法令用語もあります。



いずれも、
実際に法令でなくとも、
新聞や雑誌、ネットコラムなどで、
皆さまも目にしたことが
あるのではないでしょうか。

行政の許認可にひもづいたルールや
ベースとなっている法律、契約書などで
こうした表現が多用された文章を
理解しなければならない場面があります。

決して読みやすくはないかもしれませんが、
それだけ事例やケースがグループ分けされ、
応用できるように条文が構成されています。
このことから、
行政サイドでも
様々なケースに柔軟に対応してくれるよう、
工夫されている証

なのではないのかと、考えることもできます。

私は、行政書士として、
法令の条文に含まれたこれらの表現を
明確に解釈していくことが、
皆さまのビジネスや生活における
トラブルを未然に防ぐ

ことにもなり、ひいては、
皆さまの発展や
健やかに毎日を過ごされるための
コーディネートをさせて頂いている

のだと、認識しています。

WINDS行政書士事務所は
これからも、
より多くの方々のお役に立つことができるよう、
充実したリーガルチェックや書類作成、
許認可対応と、サポートをしてまいります。