コラム

【今後の制度改正を読み解く】 第2次出入国在留管理基本計画

2026.08.05[VISA]




【入管行政の方向性を示す新たな計画が公表】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2026年7月31日、出入国在留管理庁は、
第2次出入国在留管理基本計画
を公表しました。

公表直後のニュースでは、

「永住申請が厳しくなる」
「外国人の在留管理が強化される」


といった内容が取り上げられていますが、
この計画は法律ではなく
新しいVISAルールを直ちに施行するもの
ではありません。


一方で、
今後の入管行政が
どのような方向へ進んでいくのか
を示す重要な指針
であり、
外国人の皆さまはもちろん、
外国人を雇用する企業にとっても
把握しておきたい内容が
数多く盛り込まれています。

本コラムでは、
第2次出入国在留管理基本計画の概要と、
今後注目すべきポイントについて解説します。




【第2次出入国在留管理基本計画とは】

出入国在留管理基本計画は、
出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、
外国人の入国や在留に関する施策の
基本的な方向性を
法務大臣が定めるものです。
※2019年以前には
 出入国管理基本計画という
 非常によく似た名称の計画があり、
 1992年から2015年にわたって
 第5次計画まで策定されてきました。
 ⇒
出入国在留管理庁公開データ

今回、「第2次」と付いていることから、

前にも同じ計画が作られていたの?
第1次と何が違うの?


と思われた方も多いのではないでしょうか。

この基本計画の第1次計画は、
法務省の入国管理局が
外局である出入国在留管理庁へ改組された

2019年4月に策定
されました。

法務省:第1次計画


今回の第2次計画は、
この第1次計画を引き継ぎながら
その後の外国人の受入れ状況や制度改正、
社会情勢の変化などを踏まえて
内容を更新したものです。

第1次計画が策定された2019年以降、
日本では特定技能制度の運用が本格化し、
技能実習制度に代わる育成就労制度の創設
も決まりました。
また、

在留外国人数の増加
マイナンバーなどを活用した
行政機関同士の情報連携
経営・管理VISAや永住許可制度見直し


など、
入管行政を取り巻く環境も大きく変化しています。

つまり、
これまでのすべての入管行政上の基本計画を
通算した2回目の計画
という意味ではなく、
出入国在留管理庁発足後に策定された、
現在の出入国在留管理基本計画としての2回目

という位置付けです。

出入国在留管理庁:第2次計画


第2次計画はこのような変化を踏まえ、
今後どのような制度整備や運用改善を
進めていくのか
を示した行政計画
です。
そのため、
この計画が公表されたからといって、
記載されているすべての内容が
すぐに新しい許可要件となる
わけではありません。

一方で、
今後の法改正や審査基準、実務運用の見直し
につながる方針が幅広く示されている
ことに注目したいところです。




【永住・就労・留学など幅広いVISA制度が対象】

実際に第2次計画に目を通してみましたが、
特定のVISA(在留資格)だけでなく、
幅広いVISAカテゴリーについて
今後の方向性が示されている
ことが分かりました。

対象となるのは、
外国人本人のVISA(在留資格)申請や在留状況
だけではなく
外国人雇用企業の受入れ体制
特定技能外国人に対する支援
育成就労制度の運用
留学生の資格外活動
外国人が経営する事業実態

など、
外国人と関わる企業や関係機関の対応についても、
さまざまな方針が盛り込まれています。


永住許可制度における改定案については、
 
こちらのコラムで詳しく解説しています。

そのため、この計画は
外国人本人だけでなく、
外国人受入れ企業
育成就労監理支援機関
特定技能登録支援機関
外国人が在籍する教育機関

などにとっても、
今後の制度改正や運用の変化を考えるうえ
で重要な内容と言えるでしょう。

第2次計画は
外国人本人のVISA手続きだけを
対象としたものではなく、
外国人を受け入れ、
雇用・支援し教育する側の体制まで含めて、
今後の入管行政の方向性を示した計画です。
まずは、
自分自身や自社に関係するテーマがどこにあるのか
を確認しながら、
計画全体を読み進めていくことが大切でしょう。




【「審査」だけでなく「在留管理」が重視される時代へ】

今回の第2次出入国在留管理基本計画
から読み取れる最も大きな特徴は、

VISA(在留資格)を取得する
「入口」の審査

だけではなく、
許可後の在留状況や活動実態を
「継続的に確認」していく
という考え方が
これまで以上に明確になった

ことです。

これまでのVISA(在留資格)手続きで
審査の中心となっていたのは、

申請時に必要書類を提出して
許可要件を満たすことを説明する


ことでした。

しかし今後は、

申請時に提出した書類の内容と
実際の活動内容や生活状況が一致しているか


についても、
関係行政機関同士の情報連携など
を活用しながら確認していく方向性

が示されています。

もちろん、
これは新たな制度がすぐにスタートする
という意味ではありません。
しかし、基本計画全体を読んでいくと、
外国人本人だけでなく、
外国人の受入れ企業や関係機関に対しても、
VISAの許可を得ることではなく、
適正な在留状況を継続して維持すること
がより重要になる

というメッセージが読み取れます。

この考え方は、
永住許可、特定技能、育成就労、留学、経営管理
と、多くのVISA制度に共通する方向性であり、
今回の計画を理解するうえで
最も重要なポイントといえるでしょう。




【今後の制度改正で注目したいテーマ】

第2次出入国在留管理基本計画では、
特定のVISA(在留資格)だけではなく、
幅広い在留資格制度について
今後の方向性が示されています。

たとえば、
永住許可制度では
審査の在り方や日本語能力に関する検討

特定技能制度では
登録支援機関の登録要件や支援体制の見直し

育成就労制度では
2027年の制度開始に向けた運用体制整備

などが盛り込まれています。
永住許可制度における改定案については、
 
こちらのコラムで詳しく解説しています。

このほか、

留学生の資格外活動管理
高度専門職制度の見直し
経営管理VISAにおける事業実態の確認
在留管理DX
電子渡航認証制度(JESTA)
の導入


など、
幅広いテーマが取り上げられています。

もっともこれらは、

すでにスタートしている制度
今後施行される制度
これから検討が進められる制度


が混在しています。そのため、
基本計画に書かれているから
全部のルールが急に厳しくなった

と誤解するのではなく、
各制度がどの段階にあるのかを正しく理解する
ことが重要です。
※本コラムでは
 第2次計画の全体像の紹介にとどめ、
 各テーマについては今後のコラムでも
 詳しく解説したいと思います。





【今から準備しておきたいこと】

第2次出入国在留管理基本計画が公表された
からといって、
外国人本人や受入れ企業が
すぐに新しいVISA申請や届出を
しなければならないというわけではありません。

現時点で最も重要なのは、
将来の制度改正を推測して先走った対応
をすることではなく、
現在適用されているルールを
適切に守れているかを確認する

ことです。

外国人本人であれば、
VISA(在留資格)に応じた活動を
適正におこなっているか
所属機関の届出状況
税金・社会保険料の納付状況などを確認

しておくことが大切です。

また、
外国人受入れ企業においても、
申請時の内容と実際の雇用状況に相違がないか
支援体制や各種届出が適切に運用されているか

を見直す良い機会になるでしょう。

今後制度がどのように見直されるとしても、
現在のVISAルールを適切に守っていること
は、引き続き重要な前提になります。




【まずは現在の状況を確認し変更に備えましょう】

今回ご紹介した
第2次出入国在留管理基本計画は、
今後の入管行政の方向性を考えるうえで
重要な行政計画です。
しかし、その内容は非常に幅広く、
制度ごとに実施時期や検討段階が異なります。
そのため、
ニュースやSNSの情報だけで
慌てて判断することなく、
現行制度と今後の検討内容を区別しながら理解する
ことが大切です。

WINDS行政書士事務所では今後も、
第2次出入国在留管理基本計画で
取り上げられたテーマについて
ひとつずつ取り上げ、
実務への影響や準備すべきポイントを
詳しく解説したいと思っています。

外国人本人のVISA・永住申請に関するご相談
のほか、
外国人雇用企業の受入れ体制、届出
特定技能・育成就労制度への対応
についても
個別カウンセリングを承っておりますので
当事務所までご相談ください。


 
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