コラム

【2026年改正】外国人雇用管理指針とは?企業が確認すべき対応と注意点

2026.06.17[VISA]


【外国人雇用は「採用」から「適正管理」の時代へ】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
近年、深刻な人手不足を背景に、
外国人材を採用する事業者さま
が急速に増えています。
たとえば、
特定技能制度の活用はもちろん、
現在では
一般的な就労系在留資格(就労VISA)である
技術・人文知識・国際業務VISAで
海外人材を採用する事業者
も珍しくありません。

出入国在留管理庁:令和7年末在留資格別在留外国人構成比


さらに2027年春からは
技能実習に代わって、
育成就労制度がスタート予定
となっており、
外国人材の受入れにおいて
新たな時代を迎えようとしています。
※育成就労の制度ルールや要件については、
 
以前のコラムで解説しています。

こうした制度のながれに沿う形で、
外国人雇用を取り巻くルールも年々複雑化
しています。

こうしたなか厚生労働省は2026年、

外国人労働者の雇用管理の改善等に関して
事業主が適切に対処するための指針
(外国人雇用管理指針)


を改正、
6月14日より段階施行されます。
厚生労働省:改正外国人雇用管理指針

この改正は
VISAルール自体を変更するものではありません。
しかし、
国が求める
外国人の雇用管理体制や支援体制の方針が
明確に示されており、
外国人雇用事業者にとっては
非常に重要な改正と言えます。

外国人雇用に関する法令違反や管理不備は、
VISA申請だけでなく
事業者の社会的信用にも影響します。
本コラムではこの指針の改正ルール内容や
事業者への影響、チェックすべき内容などを
解説します。




【外国人雇用管理指針とは】

外国人雇用管理指針
(外国人労働者の雇用管理の改善等に関して
事業主が適切に対処するための指針)とは、
事業主が外国人労働者を雇用する際に、
適切な労務管理や職場環境の整備
をおこなうための基本的な考え方を示したもので、
厚生労働大臣が定めている指針です。

具体的には、

在留資格(VISA)や就労資格の確認
外国人雇用状況届出の実施
労働条件の明示
安全衛生の確保
日本語学習機会の提供
相談体制の整備
職場への定着支援


などについて、
事業主が取り組むべき事項が示されています。

この指針そのものには
法律のような直接的なペナルティはありません。
しかし、

外国人雇用に関する
法令遵守や適切な受入体制の構築について
国が事業者に求める方向性を示す重要なルール

といえます。

また、外国人雇用を取り巻く制度は、

出入国管理及び難民認定法(入管法)
労働施策総合推進法
労働基準法

など複数の法令と密接に関係しています。

そのため、
外国人雇用管理指針を理解することは、
外国人材を受け入れる全事業者にとって
コンプライアンス体制整備のうえで
重要な第1歩となります。


厚生労働省:外国人雇用管理指針の主な改正内容





【外国人雇用管理指針の改正内容】

今回の改正では、
外国人労働者が能力を十分に発揮し、
安心して働ける環境づくりを推進するため、
事業者が取り組むべき事項が
整理・拡充されました。

主な内容としては、

 外国人雇用状況届出の適正な実施
 在留資格(VISA)や就労資格の適切な確認
 労働条件の明確な説明
 日本語学習機会の提供
 相談体制の整備
 キャリア形成支援
 ハラスメント防止対策
 地域社会との共生支援


などが挙げられます。
厚生労働省:外国人雇用管理指針改正の主なポイント

特に注目すべき点は、
外国人材
単なる労働力として扱うのではなく、
育成し、定着してもらうための環境整備
が事業者に求められていることです。
これは
来年春に運用スタートする
育成就労の方向性とも一致しており、
外国人雇用政策全体の流れを示す
ものと言えるでしょう。




【改正ルールは段階的に施行】

気になるルールの改正時期ですが、
今回は1度に施行されるわけではなく、
関連法や制度の改正に合わせて
段階的に施行されます。

STEP1⃣:2026年6月14日施行
第1段階の改正は、今月14日におこなわれました。
おもな改正ルールとして
外国人雇用状況届出制度に関する運用改善
などが挙げられます。

事業者には
外国人労働者の就労状況の適切な把握と
正確な届出
が求められます。

外国人雇用状況届出は、
外国人を雇用、そして離職した場合に
ハローワークへ提出する法定手続きです。
実際に採用時の届出はおこなっていても
離職時の届出漏れや記載誤りが発覚

するケースも少なくありません。
今回の改正をきっかけに、
自社の管理体制の見直しが大切になります。

STEP2⃣:2026年10月1日施行
次の施行タイミングは、今年の10月予定
となっており、
改正対象ルールとしては
改正パートタイム・有期雇用労働法施行規則
などとの整合性を図るもの
が反映されます。

外国人労働者についても
日本人労働者と同様、
適切な処遇や労働条件を確保

することが求められ、
たとえば
賃金や福利厚生、教育訓練などについて
不合理な待遇差が生じていないか
などを確認しておく必要があります。

STEP3⃣:2027年4月1日施行
2027年4月には
育成就労制度スタートに伴う改正
が施行されます。
育成就労は、
人材育成と人材確保を目的に
技能実習に代わる新制度
として創設されるものです。
※育成就労と運用ルールについては、
 以前のコラムで解説しています。


これに伴って、

日本語能力向上支援
キャリア形成支援
定着支援
相談体制の整備


などの重要性がさらに高まります。

今後は、
外国人は採用して終わり
ではなく、
育成して活躍してもらう
ことが
事業者に求められる時代になっていくでしょう。




【指針は「努力義務」でも企業への影響は小さくない】

法律や規則などといった法ルールではない
こともあり、
「指針」と聞くと、
あまり関係や影響がない
と思われる事業者さまも
いらっしゃるかもしれませんが、
実務上はそうではありません。

出入国在留管理庁や厚生労働省は
従来から、

法令遵守状況
社会保険加入状況
労務管理体制
外国人雇用状況届出


などを重視しています。
特定技能外国人の受け入れや
VISA更新の場面では
事業者側の管理体制が確認される

こともあります。

今回の指針改正は、
国が企業に求める望ましい対応
を明確化したものであり、
今後の行政運用の方向性を示すもの
として認識するべきでしょう。




【今すぐ確認したい!コンプライアンスチェック】

改正指針の内容を踏まえ、
外国人を雇用されている、
または雇用をご検討中の事業者さまに
チェックしていただきたいポイントを6つ、
行政書士の視点で挙げてみました。
ご参考ください。



①適切に VISAを確認していますか?
雇用する外国人のVISAは
身分内容や可能な在留活動を示しており、
事業者は雇用上、適切に確認する必要があります。

内定や採用時はもちろん、雇用中においても、

 VISA期限
 VISAが就労資格か身分資格か
 資格外活動許可の有無
 担当業務内容との適合性


を継続的に確認する必要があります。
※在留カードやその確認方法については、
 以前のコラムで解説しております。
 ⇒
【関係者必見!】在留カードとその確認方法
 ⇒
【2027年6月運用スタート!】特定在留カード

VISAの確認のためにチェックする
在留カードに関しては、
券面様式の変更や特定在留カード
の運用が6月14日にスタートしたばかりです。
新様式の在留カードを提示された際には
戸惑うことなく正確に情報を確認できるよう、
事前に見本などで内容を確認しておきましょう。

厚生労働省:新様式在留カード



厚生労働省:特定在留カード

※特定在留カードについては、
 
こちらのコラムで解説しています。

② 外国人雇用状況の届出を提出していますか?
外国人雇用状況届出は
一部を除き、ほとんどのVISAを対象に
外国人を雇用する事業者が届けなければなりません。
厚生労働省:外国人雇用状況の届出について

外国人を採用するとき、離職するとき
届出漏れがないかどうか

をチェックしましょう。
社内で担当者任せになっている場合は
定期的に確認できる仕組みも大切です。

またVISA管理の観点から、
出入国在留管理庁にも届出が必要ですので
並行して対応しましょう。
※外国人に必要な届出については
 
こちらのコラムで解説しています。

③ 労働条件を適切に説明していますか?
慣れない異国で
事業者に入社・所属し、仕事をする外国人
に対しては、
その待遇や業務内容を把握できるように
していなければなりません。

事業者は採用にあたって
給与額、労働時間、残業、有給休暇の有無など
について、
外国人本人が理解できる形で説明している
ことが大切です。
たとえば、

 雇用契約書
 雇用条件書
 労働条件通知書
 誓約書


などの雇用関連書面をはじめ、
多言語対応の契約書や説明資料の整備
が重要となるでしょう。
行政機関からも
書面の記載項目やひな形を公開していますので、
ご参考いただけます。
厚生労働省:労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール
厚生労働省:労働条件通知書

④ 社会保険は漏れなく加入していますか?
事業者が雇い入れをする場合、
それが外国人であっても
加入要件を満たせば社会保険加入義務が発生

します。
社会保険の未加入は
事業者のコンプライアンス上問題

となりますので、
十分なチェックは欠かせないところです。
厚生労働省:社会保険加入の条件

⑤ 日本語学習や相談体制を整備していますか?

今回の指針改正で特に重視されているのが、
外国人労働者に対する
日本語学習支援や相談体制の整備
です。

外国人材を採用したものの、
業務指示が十分に伝わらない
社内ルールが理解されていない
生活上の悩みを相談できる相手がいない

といった理由から
早期離職につながるケースは少なくありません。

特に近年は、
外国人材を
単なる労働力として受け入れるのではなく、
長期的に活躍できる人材として育成・定着させる
ことが重視されており、今回の指針改正でも、
日本語学習機会の提供
職場・日常生活に関する相談体制の整備
キャリア形成支援

の重要性が改めて示されました。

これら取り組みは、
外国人労働者の職場定着率向上や離職防止
につながるだけでなく、
特定技能や今後スタートする育成就労
といった制度において
求められる受入体制の整備
にもつながります。
外国人材が安心して働ける環境を整備することは、
事業者の人材確保という観点からも
重要な経営課題と言えますので、
早い段階から支援体制を整備しておく
ことが望ましいでしょう。

⑥ 将来の制度改正に対応できる体制がありますか?

近年、外国人雇用を取り巻く制度は
大きな転換期を迎えています。
特に2027年には、
これまでの技能実習に代わって
育成就労がスタート予定です。
この制度は、
外国人材の技能習得だけでなく、
人材確保やキャリア形成を目的として設計
されており、
受入企業にはこれまで以上に
適切な管理体制や支援体制が求められる
ことになります。

また、特定技能についても
継続的に対象分野の拡大や運用見直し
おこなわれており、
今後も外国人雇用に関するルールは
変化が予想されます。
こうした制度改正に対応できず、

VISAルールの変更を把握していなかった
受入要件の変更に気付かなかった
必要な支援体制を整備していなかった


といった状況になると、
外国人材受け入れや雇用継続へ支障
が生じるおそれがあります。

外国人雇用は、
1度採用すれば終わりではなく、
VISAの更新
制度改正への対応
受入体制の見直し

など、継続的な管理が必要になります。
だからこそ、
定期的に最新情報をチェックし、
自社管理体制を点検する仕組みを整えておく
ことが重要です。

今後のVISA制度の動向を見据えて、
外国人雇用に関する専門家と連携しながら
コンプライアンス体制の構築が、
事業者の安定的な人材確保につながる
と言えるでしょう。




【外国人雇用は「専門家との連携」が重要な時代へ】

外国人雇用に関する問題の多くは、
採用時ではなく採用後の管理体制から発生します。
VISA情報や雇用管理、各種届出、
特定技能や育成就労、
厳格化された就労VISA制度への対応など、
事業者が継続的におこなわなければならない
対応は数多く存在します。
今後は

「採用できればよい」ではなく
「適切に管理して定着してもらう」


ことが求められる時代になっていくでしょう。
外国人雇用管理指針の改正をきっかけに、
まずは自社管理体制を1度点検しておく
ことが重要です。


法改正の度に社内だけで対応することは、
容易ではありません。
外国人を雇用する事業者では、
専門家と連携しながらの
継続的なコンプライアンス体制構築
が有効となるでしょう。




【<初回無料>外国人雇用コンプライアンス診断受付中】

WINDS事務所では、
外国人雇用事業者の皆さま向けに、

外国人雇用コンプライアンス診断
(初回無料)


を実施しております。

現在の外国人受入体制を確認のうえ、

 在留資格管理
 外国人雇用状況届出
 特定技能制度対応
 外国人雇用コンプライアンス体制
 育成就労制度への備え


などについて、
リスクや改善ポイントを
分かりやすくご案内します。

また、対面やオンラインをご希望の場合は
30分無料相談
でも承っております。

 自社の管理体制に問題はないだろうか
 今後の制度改正に備えたい
 外国人雇用について
 継続的に相談できる専門家を探している

こういった事業者さま。
外国人材の採用からVISA手続き、
特定技能・育成就労制度への対応まで、
継続的にサポートしますので、
是非お気軽にご相談ください。




 
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30