コラム

【今後は下方修正!】特定技能外国人の受入上限数

2026.02.11[VISA]




【特定技能って人数制限されてるの?!】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2025年末、政府は有識者会議において
既存の特定技能
新制度である育成就労
に関する基本方針を閣議決定

しました。
この方針で各業界が注目しているのが、

両制度における今後5年間は
MAX1,231,900人の受け入れの見込み

と打ち出したことです。

年々増加中の特定技能外国人と
その人材確保と育成を目的とした、
育成就労外国人。
これらのマンパワーが何人までと決まれば、
各業界で受け入れる事業者や
サポートする監理支援機関、登録支援機関は

外国人を何人まで雇用、サポートできるの?
自社関連業界の人数枠は何人まで?


といった点に
疑問や不安をお持ちになるのではないでしょうか。

特定技能をご活用の関係機関の皆さまにとって
この受入人数枠は非常に重要なポイントと言え、
正しく理解をしないと、
事業計画上大きな影響が出る可能性があります。

今回のコラムでは、
現状の受入人数と設定上限と
関係機関で備えていくべき点など
VISAサポートのプロフェッショナルが
政府が公表している最新情報に基づいて
解説します。




【こんな制度!特定技能&育成就労】

受入見込み数をより深く認識するためにも、
特定技能、育成就労両制度の概要
を知っておく必要があります。

特定技能は、
日本国内業界の人手不足解消
を目的に、
2019年度に創設された制度です。
2026年現在は16の特定産業分野
で構成されており、
創設初年度以降、
コロナ禍などのライフクライシスを
ものともせず
このVISAを取得して活躍する
特定技能外国人は増加が続いています。

出入国在留管理庁:2025年6月現在特定技能外国人数推移


また、
2027年春には新たに3分野が追加され
TOTAL19分野

となることが決定しています。
※特定技能の特定産業分野については、
 
こちらのページでご確認いただけます。

この特定技能外国人人材の育成、確保
を目的として、
2024年6月の入管法改正ルールのひとつ
として創設された新制度が、育成就労です。
従来の技能実習は制度見直しの結果
発展的解消とする代わりに、
昨年の育成就労法の公布につづき、
今年1月末に特定技能とともに
分野別運用方針が閣議決定と、
運用基盤の整備が
急ピッチで進められており、
2027年4月(遅くとも6月20日まで)
の本格導入
を控えています。
※育成就労の概要については、
 
こちらのコラムで解説しています。

対象となる育成就労産業分野は、
19の特定産業分野から
航空、自動車運送業を差し引いた
17分野で運用される予定です。
※上記2分野が対象外となったのは、
 制度設計や議論が不十分
 専門性や安全性の要件が複雑すぎる
 などの理由から、
 育成就労にフィットしない
 と判断されたためです。





【政府が方針発表!5年間の受入上限数

特定技能は制度創設時から
5年間でMAX〇〇人と国が定める
外国人の受入見込み数
が設定されており、
実質上の受入上限数として運用
されています。
このような人数枠が設定されるおもな理由
としては、
国内雇用への影響を最小限に抑えるため
であり、
まるで移民かのように外国人を受け入れる
のとは違い、
日本国内の労働マーケットへの影響を考慮して
あくまでも人手不足が深刻な業界分野に
必要な分だけ計画的に外国人材を受け入れる

という制度趣旨に則っているものです。

この人数を指標として、
特定企業やエリアに外国人材が
集中し過ぎすぎないように調整されており、
人数オーバーが見込まれる場合は
分野別運用方針の見直し
各分野所管大臣から法務大臣に対する
在留資格認定証明書(COE)の交付停止措置
などを求めることができる

仕組みになっているため、
特定産業分野に該当する事業者にとっては、
採用計画にも直結しかねない
非常にインパクトのある指標と言えます。

同時に政府は、対象分野に対して
単なる外国人受入れだけではなく、
ロボットやICTを活用した生産性アップ
処遇改善による国内マンパワー確保
も同時に推し進めることも求めています。


2026年1月に閣議決定された
分野別運用方針に基づき
両制度で設定された受入見込数(案)は、

特定技能19分野
育成就労17分野


を対象に、両制度合わせて、

TOTAL 1,231,900人

と設定されました。

航空と自動車運送業に関しては、
現時点で育成就労産業分野対象外であり、
特定産業分野のみでの受け入れとなります。

出入国在留管理庁:分野別運用方針資料




出入国在留管理庁:分野別運用方針資料


特定技能では、
2024年3月に試算された受入見込数は
820,000人
でしたので、

今後(2029年3月末までの)5年間の
特定技能外国人の受入計画は
約15,000人規模で下方修正された


ことになります。

もうひとつの新制度、
育成就労での受入見込み数は
2年間で426,000人

と設定され、
現在の技能実習生人数(=約450,000人)
と比べると
現行の技能実習レベルと同等or微減ペースで
育成就労外国人で受け入れる

アプローチ方針が立てられたことから、
育成就労がスタートしたからといって
在留外国人が爆増するというわけではない

と言えるでしょう。

ちなみに、
技能実習については、
2027年の育成就労がスタート後も
既存の技能実習生がVISA期間満了まで
実習継続できる経過措置
がなされます。




【行政書士が分析!受入上限数の「下方修正」】

特定技能のMAX受入数が下方修正された背景
としては、
政府の省人化と国内マンパワー確保の要請
によると考えられます。

政府は、
受入見込み数を以下のとおり算出しています。



このロジックから、
単純に人手不足分を
全部外国人マンパワーで埋めるのではなく、
営業や手続きのDX&AIやロボット導入による
生産性アップ(省人化)

そして
賃上げ、リスキリング、処遇改善など
(国内マンパワー確保

といった企業努力でまずは人手不足を補い、
それでも不足する部分を
外国人マンパワーで穴埋めする

その結果、試算として、
前回よりも企業努力を高く見積もっている
(=企業努力を進めて
  外国人に頼る割合を減らしてほしい)

というアプローチがうかがえます。
そのため、
今回の両制度TOTAL受入上限数は
外国人の採用目標というよりは、
両制度で受け入れる外国人数はここまでです
という、防波堤としての目安

と認識するのが良いのかもしれません。




【受入人数見直しによる影響は?】

特定技能の特定産業分野は
2024年3月に4分野、
そして今年春にはさらに3分野が追加され、
その都度受入れ見込数が調整されてきた
という経緯があります。

MAX受入数が下方修正されてはいるものの、
各分野の現場レベルで
依然として人材不足は深刻な課題であり、
今後も一層、特定技能の活用が期待されます。

社会経済情勢の変化や
各業界からのリクエストなどを踏まえ

特定産業分野の内容やMAX受入数は
継続的に見直しがおこなわれる


でしょう。

またMAX受入数という、
ある種の人数枠で運用される制度
ととらえると、

採用における人気産業分野では
将来的な人数枠の人材取り合い


が起こり、

後続対応となる駆け込みVISA申請や
申請後の当局VISA審査厳格化
&審査期間の長引き


なども懸念されるでしょう。




【関係機関必見!実務上準備ポイント】

今回、関係機関にて注目すべきポイントを
一言で挙げるとすれば、


受入れの見込み=受け入れ枠の運用
が明確にデフォルトとなった


ことでしょう。
さらに、
分野別運用方針が閣議決定となり、
近い将来には


詳細ルールを示す運用要領の改定

がおこなわれる予定です。

外国人を受け入れる事業者や
登録支援機関/育成就労監理支援予定機関
などの関係機関としては、
政府や本コラムなどで最新情報を確認し


自社に関係する特定産業分野に
どれだけの受入枠があるかインプット
今後の伸びしろ有無など専門家に相談


などをしておくのが先決です。


情報収集としては、

 ①分野別定義
 ②分野別MAX受入数
 ③運用要領などの詳細ルール


の順番での情報を把握すると間違いない


と考えます。


そのうえで、
関係機関同士での要検討・チェック事項を
行政書士の目線でピックアップしてみました。
ご参考ください。



対応①自社関連分野のチェック徹底
外国人を受け入れる事業者
サポートする登録支援機関や監理支援機関
どちらも、

 自社分野と作業がどの産業分野に該当するか
 自社分野のMAX受入数のボリューム感
 分野別MAX受入数と比べて
 自社受入規模はオーバーしていないか

 特定技能と育成就労で扱いは変わらないか


といったチェックを徹底することが大切です。
該当する産業分野について
些細なボタンの掛け違いが、
大きな事業損失リスクを引き起こしますので
十分に注意するのがよいでしょう。

対応②外国人採用ルートの再設計
対応①でインプットした、

 自社関連の産業分野の受入枠をベースに
 外国人の国籍、人数、採用時期を策定


していきましょう。

特定技能と並行して
育成就労も運用していくのであれば、
各制度における採用バランスを考慮する
ことも大切と考えます。

 育成就労枠が大きい分野であれば
 経験ゼロ者の生え抜き育成ルート
 特定技能枠が大きい分野であれば
 試験合格者&即戦力者の途中採用ルート


を据えていくことになるでしょう。

自社規模や事業内容によっては
上記両方のルートを併用


することもご検討いただけます。

また、採用する外国人人材においても、

 国籍
 現在の在留状況(海外?国内?)
 紹介やあっせん機関や学校


など、チャネルが複数あれば、
枠人数の詰まりや人材不足、採用時期の集中
といった事態に備えて
採用ルートをカスタマイズしやすくなります。

対応③マンパワー省人化の投資
政府から外国人受入事業者にこめられた
省人化の強いメッセージから、

受入人数が多い事業者に対しては今後
VISA審査や外部監査において
省人化における取り組みが
政府の要請どおりとなっているか
が、チェック項目となる可能性


があります。

人件費や採用上のメリットも
大切ではありますが、
デジタル化・機械化を進めつつ

どうしても必要な作業やプロセスを
外国人の方に担っていただく

という雇用スタイルを構築して
採用計画人数を算出していく


ことが
今後は求められるかもしれません。
登録支援機関や監理支援機関という
サポーターも付いていますので、
事業計画の一環として協議する
のもよいでしょう。
 

対応④VISAリスクの認識
私自身、実際に実務で経験しましたが、
特定技能制度が創設されたばかりの
2019年春から夏にかけては
全国の出入国在留管理局へのVISA申請が
想定以上に殺到し
産業分野によって受入人数枠の消化率が急上昇

した経緯があります。

このようなMAX受入人数を急速に圧迫
しかねない現象が長期間続く場合には

在留資格認定証明書(CoE)発給
の一時停止

VISA変更審査の厳格化

といったリスクがはらんでいます。
※すでに特定技能や育成就労VISA
 を持って在留する外国人の更新を
 ストップする運用はないと考えます。


出入国在留管理局では、
特定技能在留外国人の公表等
というウェブページを設けて
受入進捗を4半期ごとに公表
していますので、

関係機関は
この人数推移を定期的にチェックして
企業雇用計画人数とすり合わせのうえ
VISA申請の時期や件数を調整


していくことをおすすめします。

受入人数枠はすぐに埋まるということは
現実的にあり得ませんが、

万が一人数枠が埋まりそうな場合は
VISA申請の時期を前倒しで進める


こともベターです。




【計画的な受け入れで制度の最大活用を】

特定技能外国人数とともに
受入事業者数も増加傾向にあり、
人材不足が課題であった産業分野で
特定技能外国人はもはや必要不可欠
となっています。
そんななか、
現行の特定技能と新しい育成就労
の両制度で設定された5年間のMAX受入人数は
事業者が受け入れられる外国人の人数にも
影響のある、重要な指標です。
事業利益や稼働を止めることなく
関係機関はこの指標をウォッチしながら
雇用とVISA申請の計画をバランスよく
構築していくことが大切です。


WINDS行政書士事務所は
特定技能や育成就労をはじめとする
VISA申請から、
要件、受入計画におけるカウンセリング
など、
多岐に渡ってサポートさせていただいています。
両制度の活用と外国人受け入れをご検討の際は
当事務所までお気軽にご相談ください。


 
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