【2026年段階的に施行!】改正薬機法
2026.01.28[医療法人・クリニック]

【医薬品関連法改正が本格スタート!】
こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
2025年5月、
改正薬機法が成立、公布されました。
今後はコンビニなどで医薬品が買えるようになる
ほか、
調剤業務委託や創薬スタートアップサポート
など、
私たちの日常生活からビジネスまで
薬局に関わる重要な施策が盛り込まれています。
改正ルールはすでに
昨年11月から一部施行となっており
今年5月以降もルールが段階的に施行され、
製薬企業や薬局・調剤事業者はもちろん、
小売業やスタートアップまでと、
あらゆる事業者に大きな影響をおよぼす
ことでしょう。
本コラムでは、そんな今回の改正内容と、
事業者の観点から求められる対応や体制準備
について解説します。

【薬機法改正2025の背景】
薬機法(医療機器等の品質、有効性
及び安全性の確保等に関する法律)
は、
医薬品や医療機器などの
品質、有効性、安全性を確保する基本法
であり、元々は
1960年に施行した旧薬事法から、
医療機器の独立規定と安全対策強化を経て、
現在の法律名に変更し、今日に至ります。
今回の2025年5月改正では、
医薬品供給や薬局の在りかたや創薬サポート
など、非常に多くルールが見直されています。
ここまで改正ボリュームが
広範囲にわたっている背景としては、
次の3つが挙げられます。
①医薬品メーカー不正と供給不安
薬機法改正の大きな目的のひとつが、
医薬品の安定供給と品質確保です。
これまで医薬品メーカーでは、
後発(ジェネリック)医薬品の不正製造
GMP(医薬品製造&品質基準)違反
が相次ぎ、
全国的に供給不安定な状況が生まれ
製造キャパオーバーの品目展開
経営体制の脆弱性
が露呈、結果として
患者の治療継続にも大きな支障
をきたしました。
※J-CASTニュース:ジェネリック医薬品供給不足の記事
医薬品メーカー単独の改善で
こうした問題解決には限界があることから
制度対応としての行政介入が不可欠
と判断され、
法的整備を通して再発防止と信頼回復が
求められています。
②創薬環境の変化と技術革新への適応
①で解説した
医薬品メーカー不祥事の社会的後遺症として、
また
再生医療やAI創薬など新技術の進展によって、
従来審査ルールでは
新薬実用化の遅れ(ドラッグラグ)が顕在化
していました。
条件付き承認制度もありながら
実態として進まなかった
ことから、
探索的試験段階で
承認プロセスをスピーディに進め
革新的に医薬品開発を促進
するという政府のねらいがあり、
法改正で
グローバルスタンダードに即して
柔軟な承認ルールに整備
します。
③薬局の社会的役割強化の必要性
高齢化の進展や在宅医療の拡大
といった社会的背景から、
調剤後の継続服薬サポートや
医療機関との連携が今以上に求められており、
薬局は地域包括ケアの担い手として
制度上の社会的役割強化
が急がれます。
今回の薬機法改正によって、
健康相談・副作用モニタリングなど
薬局が多様な機能を備えて
地域医療に貢献すべく、薬局の再定義
を目指しています。
ちなみに薬機法は
これまでもTOTAL5回、
改正がおこなわれてきました。

そして今回の2025年版改正は
最新&超大型となっており、
各改正ルールも
公布日から6か月~2年以内
にかけて
段階的に施行
されていきます。
改正ルールはまとめて施行せず、
医薬品の販売現場(薬局など)が
混乱しないよう配慮して制度移行
となります。

<厚生労働省:薬機法の一部改正概要>

※各改正項目は
政令や省令・通知などの発出状況によって
施行時期が前後する可能性があります。

【過去最大ボリューム!薬機法改正2025の内容】
薬局を取り巻く医療環境の変化
をきっかけとして
令和7年の薬機法の改正は
次の4つの柱で構成されています。
地域住民への貢献度や利便性アップ
が重要視され、
医薬品販売現場となる薬局などの
オペレーションや役割にも大きく関わる
法的枠組みとなっています。

改正ポイントごとの
具体的な改正内容を解説します。
①医薬品などの品質&安全性確保強化
医薬品の品質、そして安全性確保
を強化するべく、
次の3つの改正がなされています。
<厚生労働省改正概要資料>


①-1医薬品品質保証&安全管理責任者の設置
製薬企業の責任役員が関与した行政処分事案
が散見されたことから、
製造販売業者における
品質保証や安全管理のガバナンス強化体制
にメスが入りました。
この結果、
すべての製造販売業者に対して、
医薬品品質保証責任者
医薬品安全管理責任者
の設置が義務付けられます。
(薬機法第17条第6項)
組織内に品質や安全性に関する
明確な責任者を設置し法定化
することによって、
確実な情報共有と
品質不良や回収リスク発生時の
スピーディな対応
が期待されます。
トラブルがあった際の初動対応においても、
過去事例を基に
具体策を取りやすくなるでしょう。
①-2副作用情報収集などに関する計画の作成・実施
厚生労働大臣指定の医薬品
を製造販売する場合、
その医薬品の安全性や有効性
が確保される必要があります。
この点において、医薬品製造販売業者は、
医薬品の使用に伴う副作用発生
などの最小化するための計画の策定と実施
が義務付けられます。
(薬機法第68条の2)
①-3法令違反の場合の責任役員変更命令
薬事関連業務の責任役員が原因で
薬事関連法令違反などが発生し、
国民の生命・健康に重大な影響
を与えるおそれがあるとき
保健衛生上の危害の発生or拡大防止に
必要な業務運営の改善が見込まれない
とき、
厚生労働大臣はその責任役員の変更命令
ができるようになります。
(薬機法第72条の8)
また、このルールに沿って、
①-1で解説した
医薬品の品質保証&安全管理責任者
に対しても変更命令が出せます。
(薬機法第73条)。
②医療用医薬品などの安定供給体制強化
近年は
医療用医薬品の約2割が限定出荷・供給停止
特に後発(ジェネリック)医薬品を中心に
生産効率ダウンによる供給不足
が続いている状況です。
こうした課題対応として
特定医薬品などの安定供給体制を整備
すべく、次の5つの改正がなされています。
※特定医薬品とは、
要指導医薬品・一般用医薬品等
を除いた医療用医薬品を指します。
(薬機法第2条17項)。
<厚生労働省改正概要資料>


②-1医療用医薬品供給体制管理責任者の設置
特定医薬品製造販売業者は
特定医薬品供給体制管理責任者の設置
が義務付けられます。
この責任者の役割としては、
特定医薬品にかかる
製造販売計画の策定
供給状況調査
製造・卸売業者をはじめとする
供給関係者との連絡体制整備
供給体制の管理統括
が挙げられます。
②-2出荷停止時の届出
医薬品の供給不安に対しては
迅速な対応が求められており、
特にがんや感染症の治療薬などは
代わりのきかない医薬品として認識されており、
突然供給停止となる事態は避けたいところです。
そのため、
特定医薬品製造販売業者は、
6か月以内に特定医薬品が出荷停止or制限
もしくはそのリスクがある場合は
厚生労働大臣へ届出
が義務付けられます。
(薬機法第18条の3)。
この届出運用で
国がネガティブ情報を早期把握できれば、
他社への増産要請や代替薬の調整
といった必要対応を速やかに講じる
ことができ、
患者への影響を最小限に低減
医療現場の混乱回避
につながる体制が整います。
②-3供給不足時の増産など必要な協力要請
特定医薬品が供給不足になった場合
またそのリスクがあり
国民の生命や健康に影響を与えるおそれ
がある場合、
厚生労働大臣は、
特定医薬品の製造・小売卸売販売業者や関係者に
特定医薬品or代替薬の増産や販売調整など
必要な協力を求めることができます。
(医療法第36条第1項)
②-4製造販売承認の一部変更の際の手続き
医薬品などの製造販売承認における
一部変更する場合の手続きが存在しますが、
その変更レベルが中クラスの場合の手続き類型
が設けられています。
厚生労働省令で
特に適切な製造or品質管理が必要なもの
として定められている医薬品などについては、
製造方法などの承認事項を一部変更する場合
厚生労働大臣が3カ月以内に承認の可否を判断
するものとされています。
(薬機法第14条第15項、23条の25第14項)。
ちなみに、
医薬品品質に与える影響が軽微とされる
小クラスの変更の場合は、
個別届出ではなく年度別報告&確認
といったオペレーションも可能になります。
(薬機法14条20項、23条の25第19項)。
②-5後発医薬品製造基盤整備基金の創設
医療用医薬品の供給不足のひとつ
として認識されていた
後発医薬品産業における生産効率の低下
に対応するため、
後発医薬品企業の再編や設備投資をサポートする
後発医薬品製造基盤整備基金が設置
されます。
(改正国立研究開発法人
医薬基盤・健康・栄養研究所法附則27条)
<厚生労働省改正概要資料>

③より活発な創薬が行われる環境の整備
近年日本の創薬における課題としての
海外承認の医薬品であっても日本で承認遅延
(ドラッグ・ラグ)や
希少疾病用・小児用医薬品が国内で開発されない
(ドラッグ・ロス)
を踏まえて、
希少・重篤疾患患者が治療のために
速やかに必要な医薬品を利用できるよう
革新的医薬品の実用化や
創薬スタートアップサポート
に向けた新たな仕組みの整備といった
以下3つの施策で
より活発な創薬がおこなわれる環境
が整備されます。
<厚生労働省改正概要資料>


③-1医薬品・医療機器などの
条件付き承認制度見直し
希少で少数患者の疾患
重篤&代替治療法がない疾患を対象に、
探索的臨床試験などで
一定程度の有効性・安全性が確認され
臨床的有用性が合理的に予測可能な場合は、
承認後に検証的臨床試験の実施を条件に
早期に承認
するよう、承認適用が拡大されます。
(薬機法第14条の2の2以下)
③-2医薬品の製造販売業者に対する
小児用医薬品開発計画策定
小児用薬局医薬品の開発促進のため、
必要な小児の疾病の診断、治療or予防
に使用する医薬品の品質、有効性、安全性
に関する資料の収集に関する計画の作成
&
計画に基づいて遅滞なく必要資料の収集
が、努力義務として課せられます。
(薬機法第14条の8の2)
③-3革新的医薬品等実用化支援基金の設置
継続的な創薬基盤強化を目指して、
国庫と民間からの寄附金をもとに
官民連携して
創薬クラスターキャンパス整備事業者の
取組サポート
などを事業目的とする、
革新的医薬品等実用化支援基金が新設
されています。
(改正医薬基盤・健康・栄養研究所法附則第20条)
<厚生労働省改正概要資料>

④国民への適正な医薬品提供のため
薬局機能強化
改正薬機法最後の柱は、
国民への医薬品の適正な提供
を目指すものです。
少子高齢化が進み、医療ニーズが増大
する昨今、
薬局やドラッグストアが増加
していますが、同時に
薬剤師も慢性的な人手不足
に陥っています。
この課題を踏まえて、
薬局・薬剤師の対人業務の充実と
専門的知識を持つ人材の有効活用
のため、以下3つのルールが導入されます。

④-1調剤業務の一部外部委託容認
厚生労働省令で定める要件
をクリアする薬局には
一包化や錠剤分包など
特定調剤の定型的調剤補助業務
を外部委託することが可能
となります。
これによって
薬剤師は今まで以上に
患者への服薬指導や健康相談といった
対人業務に注力でき、
業務効率やサービスクオリティアップ
が見込めます。
(改正薬機法第9条の5)
ただし、この外部委託には条件があり、
都道府県の許可取得
業務内容の事前契約
委託元薬局による最終確認
が必要となることに注意しましょう。
④-2濫用医薬品の販売制限
若年層を中心とした一般用医薬品の濫用
が社会問題化している状況を受け、
医薬品の販売規制措置により厳格化されます。
具体的には、
指定濫用防止医薬品
(中枢神経系の興奮・抑制・幻覚
を生ずるおそれがある一定の医薬品)
の販売、授与、配置の場合に
書面などによる情報提供や
一定項目チェックが必要となります。
(薬機法第36条の11第1項・第2項)
<厚生労働省改正概要資料>

対象となる指定濫用防止医薬品は、
エフェドリン
コデイン
ジヒドロコデイン
ブロモバレリル尿素
プソイドエフェドリン
メチルエフェドリン
の6つで、内服薬のみに限定されています。
※厚生労働省:医薬品を安全に使うために
④-3リモート(薬剤師不在)販売解禁
本来は市販薬でも
薬剤師が販売の際に使用上の注意事項をチェック
が必要なところですが、
夜間、薬局が少ない地域、地方での
医薬品購入機会不足から
消費者の利便性確保
が課題として挙げられていました。
これを踏まえて、
薬剤師が常駐していない店舗
たとえばコンビニやドラッグストア
などの登録受渡店舗でも
事前登録済みの薬剤師が
複数店舗をリモート管理
することによって
一般用医薬品を販売可能になります。
販売責任は
リモート管理薬剤師が所属の薬局や販売業者が
負い、
購入者も情報提供義務が課される
スキームがとられます。
(薬機法第29条の5~9)
<厚生労働省改正概要資料>

そのほか、
次のようなバックアップ事項もあります。
◎薬局情報の提供義務と公表制度の整備
高齢化の増加や在宅医療の普及による
住民が薬局の機能や相談対応能力の
比較検討ニーズの高まりを受け、
医薬品利用者が薬局を選びやすくなるよう
薬局情報の報告義務と公表ルールが整備
されます。
具体的には、
薬局から自治体に
運営状況や提供サービスを報告する
「医療情報ネット」によって
住民に報告内容が見える化
などで、
かかりつけ薬局や健康サポート薬局などの特徴を、
利用者が理解しやすくなるでしょう。
◎健康増進支援薬局の新設
(名称使用の認定制)
従来の健康サポート薬局は届出制
であったため、
制度利用や住民の認知が
思ったほど進みませんでした。
公的認定を受けた薬局だけが
健康増進支援薬局の名称を使える
という新認定制度が創設され、
サポート薬局の信頼性確保と
機能の明確化が図られるよう
見直されます。
<厚生労働省改正概要資料>


【改正に向けて準備すべきこと】
今回の薬機法改正においては
すでに一部ルールが施行済み、
今年春にもルール施行が控えている状況です。
改正ルールへのスムーズな対応のためにも
現場機能と商流運用の両面での体制整備
が重要となります。
医薬品の販売に関連する制度が
大きく変容するなか、
薬局などの現場や事業者も当然、
施行タイムラインに沿って
段階的に事前準備が求められるでしょう。
そこで、
改正法において
立場別に準備すべきことをまとめてみました。
<製薬・医療用医薬品製造販売事業者>
製薬業界全体としても、事業者としても、
団体規模や事業内容に応じた
品質管理&サポート
供給体制整備
両面での対応
が求められます。
不正製造防止、医薬品供給不足解消、
創薬推進のためにも、
法改正にフィットするサポート制度の活用
も欠かせないでしょう。

<薬局・調剤薬局>
メインで関係するのは、
調剤の一部業務アウトソーシング対応
となるでしょう。
求められる体制確立のためにも
対象業務の範囲の確定と
オペレーション体制の構築、
安全管理面の整備が大切となります。

<ドラッグストア・コンビニ、そのほか小売業者>
医薬品販売の最前線にたつ
コンビニエンスストアやドラッグストア
などの小売業者は、
一般用医薬品販売体制整備
に早急に対応する必要があるでしょう。
近年、顧客の支払い方法は多様化している
こともあり、
現場オペレーション、販売システム
両面で体制を見直し
していくことが大切です。


【迅速&安全に医薬品ニーズに応える!】
昨年5月に成立した改正薬機法によって、
安定供給から創薬サポート、販売店機能拡張と、
医薬品の品質や安全性が多角的に強化された
だけでなく、
私たちが医薬品をより手軽に手に入れやすくなる
など、
さらなるビジネスチャンスが期待されます。
改正内容の施行は段階的に設定されており、
内容ごとに対応スケジュールも異なりますので、
関係事業者の皆さまは
政府や業界団体のガイドラインをもとに
改正ポイントの正しい理解と
体制整備や届出などの義務履行
は早期の対応をおすすめします。
WINDS行政書士事務所は、
本改正における対応カウンセリングや
関連書類のリーガルチェック、
補助金申請対応など、
医薬品関連事業者の皆さまをサポートします。
本格施行までの期間準備に
法務専門家を是非活用下さい。
