コラム

外国人入国制限の緩和策

2020.06.17[VISA]




【入国制限の緩和は近い?】

こんにちは。西新宿の行政書士、田中良秋です。
各地域での新型コロナウイルスの感染状況は、
日によって増減はあるものの、ようやく収束の様相を見せ、
現在、日本全国でも緊急事態宣言が解除されています。
事業者に対する各自治体での休業要請も、段階的に緩和されており、
飲食店やスポーツジムをはじめとして、
少しずつ、営業を再開する店舗が増えてきています。

外国人の出入国においては、引き続き細心の注意がはらわれ、
政府は、これまで査証の無効など、
各国や各地域に向けて、事実上の入国制限をおこなっています。

現在、入国拒否となっている対象国と地域は、111か国です。
※以前のコラムで対象国と地域について説明させていただきました
 ⇒
こちら

また、すべての国と地域からの入国者に対しては、
宿泊施設などで14日間、
待機を要請するなど、入国手続きは慎重におこなわれています。

世界では、一部地域を除いては、日本と同じく、
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることに成功し、
収束に向かっている国も増えています。

外務省は、こうした世界各国の状況を注視しながら、
新型コロナウイルスの感染が収束しつつある国・地域に対する
入国制限を3段階で緩和する方向で調整を始めています。




【入国規制緩和はビジネス関係者⇒留学生⇒観光客の順】

<第1段階の緩和>
全世界を対象とする日本の入国制限は、6月末まで
となっていますが、
日本は、いよいよその制限の緩和に動き出します。

第1段階としては、

7月以降を目標
ビジネス関係者や研究者を対象


に緩和を実施できるよう、審議が進められています。

外国人が日本に入国するためには、

事前のPCR検査を実施する
公共交通機関は使用しない
受入企業が用意した手段を使って移動する
スマートフォンのGPS機能などで位置情報を確認する
入国後14日間の待機を免除される


といった条件をクリアすることを前提条件となります。

緩和の対象国については、
各国のウイルス感染状況を分析して、
経済的な結びつきや往来の必要性などから判断し、
段階的に広げていく計画がなされています。

5月末、経済再生担当大臣によって、

「TPP(環太平洋経済連携協定)の国では
 豪州やニュージーランド、ベトナムと
 入国管理について意見交換したい」


という発言がなされました。
 
この後、明らかになった計画として、

タイ
ベトナム
オーストラリア
ニュージーランド

の4か国に対して

1日200~250人程度で
ビジネス関係者や研究者


をファーストターゲットとして、
6月25日以降に入国制限を緩和する方向で、
最終調整中です。

台湾や、欧州の一部なども、規制緩和の候補にあがっています。
「ビジネス関係者」には、技能実習生も含まれています


この4か国が、初めの段階で、
制限緩和の対象に選ばれたのは、なぜでしょうか。

それは、

TPP加盟国(ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド)として、
現在も多くの日本企業が進出ていることから、
企業関係者からの往来再開の声が高まっている
また、
ウイルス感染を比較的順調に抑え込むことに成功している

ということが、あげられます。
※タイは現在、TPPへの加盟を検討中です。

実際、新規感染者数の推移をみると、
4か国は比較的落ち着きをみせていると、確認できます。

<worldometer:2020年6月14日現在の4か国新規感染者数推移>
https://www.worldometers.info/coronavirus/





もちろん、出入国を再開するための、
相手国との双方の合意がとれているかどうかも、
重要な要素です。

現在、
日本では、PCR検査をすぐに実施できる体制が整っていません
が、出国者向けに感染の有無を調べる
PCR検査センター(仮称)の設置案が出されるなど、
検疫体制を整えることも急務とされています。
※新宿区新型コロナウイルスPCR検査スポットのご紹介
 ⇒こちら

<第2段階の緩和>
留学生等を対象として、現在調整中です。

<第3段階の緩和>
観光客等を対象として、現在調整中です。
しかし、現在の感染状況、検疫体制から、
観光客を対象とする緩和は、当分先となるのではないか
と考えられます。


【中国や韓国に対する緩和の見通し】

一方、近年で最も多くの在留申請が多い国、中国や韓国の情勢はどうでしょうか。

現在、中国では、
海外から入国する者に対しては、
政府が指定する施設で14日間の隔離措置を要請しています。
具体的には、

上海や天津などの都市に訪問する韓国人
に対して、
5月1日から

ビジネス目的での訪問に限定
出国の72時間以内にPCR検査を実施
PCR検査の陰性証明書を持参
入国後、再度PCR検査を実施して陰性であることを証明


を条件として、入国を認めています。
「ファストトラック制度」といいます。

しかし、中国は以前、
ウイルスの発生状況や、感染者数を正確に公表しなかった
との疑いがもたれ、
アメリカからの批判が強まったという経緯があります。
そのため、日本が出入国の再開を急ぐことによって、
アメリカの反発を招く可能性が高いと考えられます。
また、6月に入ってから
北京の食品卸売市場で感染者が急増するなど、
第二波感染が懸念されています。

そのため、
中国に対する緩和は慎重に進められるだろうと思われます。

韓国も、
外出制限の緩和直後、
ソウルでクラブ客を中心に集団感染

が発覚したことが不安視されていますので、
緩和は急がず、状況を注視するにとどめるのではないかと考えます。


【withコロナの生活へ】

新型コロナウイルスの感染防止の観点から、
出入国における厳しい条件はいまだ求められますが、
各国の日本に対する規制緩和もみられはじめています。

これからは、
コロナウイルス感染症の収束とともに、日々を過ごしていく、
withコロナの時代に入ります。

私たちは、日本にいらっしゃる外国人の皆さまと、
元の日常に戻るというよりはむしろ、
これからも続く暮らしや経済活動の過程で、
より良い仕組みをお互いに示し合い、気を配り合う、
まさに、「新しい日常」に変容していくことが大切だと感じます。

外国人の皆さまが、新しい日常の波に乗って、
日本での在留生活を有意義に送ることができるように
サポートすることが、
WINDS行政書士事務所の役割だと考えています。